本資料は、需給調整市場において、発電設備や蓄電池、需要負荷などを機器個別計測により計測し、調整力として供出する場合の制度上・運用上の考え方を整理したものである。
主な検討論点は、以下の3点である。
なお、資料で示されている内容は、制度としての最終決定ではなく、今後の検討方向である。
機器個別計測では、需要場所全体の受電点ではなく、個別のリソースが接続される機器点で電力量を計測する。
対象として、以下のようなリソースが想定されている。
| リソース・動作 | 受電点での状態 | 調整力の把握方法 |
|---|---|---|
| 発電設備・蓄電池の発電・放電 | 逆潮流または順潮流 | 機器点で発電・放電量の増加を計測する |
| 発電設備・蓄電池の自家消費 | 受電点では順潮流 | 機器点で発電・放電量を把握する |
| 需要負荷の抑制 | 受電点では順潮流 | 機器点の基準値と実測値との差分を調整力とする |
現行制度では、リソースの種類に応じて、調整力の把握方法が異なる。
発電リソース
需要リソース
機器個別計測を導入する場合、機器点ごとに計画値や調整力供出量を把握する必要がある。そのため、以下の点が検討課題となる。
発電・放電リソースについては、アグリゲーターが複数の機器点リソースを束ね、全体の計画値との差分を調整力として供出する形が想定されている。
この場合、受電点の計量値を補正するため、以下の情報を把握する必要がある。
この方法では、あるリソースに不調が生じた場合でも、他のリソースで補完し、全体として必要な調整力量を供出できる可能性がある。
自家発電設備や蓄電池が発電・放電量を増加させ、その増加分を調整力として供出する場合、調整力として供出した電力量について、以下のいずれかの整理が必要となる。
これは、同じ電力量を外部販売と自家消費の双方に利用することによる二重取りを防止するためである。
そこで、調整力供出量を受電点の物理的な計量値に足し戻し、補正後の値を託送供給量とみなす考え方が示されている。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 調整力供出前の需要量 | 50 |
| 発電・放電による調整力供出量 | 20 |
| 物理的な受電量 | 30 |
| 調整力供出量を足し戻した受電量 | 50 |
物理的な受電量は30であるが、調整力供出量20を足し戻すことで、託送供給量は調整力供出前の需要量に相当する50として扱う考え方である。
一方、需要負荷を抑制する場合は、調整力供出分を外部販売または自家消費するという概念がないため、受電点の計量値は補正しない整理が示されている。
発電・放電リソースについては、機器点からの調整力供出量を把握するため、以下の契約を1需要場所ごとに設定する方向で検討されている。
自家発電量の自家消費は、現行制度上、外部の電力系統を使用していないため、託送料金の対象外と整理されている。この考え方は、機器個別計測を導入した場合も維持し、自家消費分は既存の接続供給契約の中で扱うことが適切とされている。
需要負荷を抑制する場合は、機器点に基準値を設定し、基準値と実測値との差分を調整力として把握する。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 機器点の基準値 | 100 |
| 需要抑制後の実測値 | 80 |
| 調整力供出量 | 20 |
| 受電点の物理的な順潮流量 | 280 |
この場合、需要抑制分20は調整力契約等で把握し、実際に使用した電力量80は、他の需要負荷と合わせて既存の接続供給契約で扱う。
電気事業法や託送供給等約款では、原則として以下の考え方が採用されている。
1需要場所・1引込・1契約・1計量
ただし、2021年4月の電気事業法施行規則改正により、一定の条件を満たす場合には、複数引込や複数需要場所に関する取扱いも可能となっている。
機器個別計測を導入すると、同一需要場所に以下の2種類の計量点が存在することになる。
このため、受電点と機器点の双方で計量を行う場合に、制度上どのように整理するかが課題となる。
資料では、機器個別計測を行う場合でも、以下のように整理する方向が示されている。
これにより、物理的には受電点と機器点に計量器が存在する場合でも、制度上は次の原則を維持できると考えられている。
1需要場所・1引込・1契約・1計量
この整理による主なメリットは、以下のとおりである。
なお、常時逆潮流しているなど、すでに受電点で発電量調整供給契約が設定されているケースについては、別途整理が必要とされている。
ネガワット調整金は、間接型DRにおいて、需要抑制により電力需要が削減された場合に、アグリゲーターが小売電気事業者に対して支払う補填である。
補填の対象は、主に以下のような費用である。
ERABガイドラインでは、類型1②および類型2②について、アグリゲーターが供給元小売電気事業者にネガワット調整金を支払う必要があるとされている。
| 調整力を供出するリソース | 受電点の扱い | ネガワット調整金 |
|---|---|---|
| 自家発電設備・蓄電池などの発電・放電リソース | 調整力供出量を受電点の計量値に足し戻す | 不要と整理する方向 |
| 生産設備などの需要抑制リソース | 調整力供出分を受電点の計量値に足し戻さない | 必要と整理する方向 |
自家発電設備や蓄電池の発電・放電を調整力として供出する場合、機器点で把握した調整力供出量を受電点の計量値に足し戻す。
その結果、他の需要負荷の変動を考慮しなければ、受電点の電力量は調整力供出前と変化しないものとして扱われる。
したがって、供給元小売電気事業者は当初予定していた電力量を販売したものとみなされ、ネガワット調整金は不要と整理できるのではないかとされている。
生産設備などの需要負荷を抑制する場合は、需要家が外部から購入する電力量そのものが減少する。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 需要抑制前の計画・基準値 | 300 |
| 需要抑制量 | 20 |
| 実際の受電量 | 280 |
| 受電点の補正 | 不要 |
この場合、小売電気事業者の販売量は300から280に減少する。そのため、ネガワット調整金の趣旨に照らし、ネガワット調整金を適用することが望ましいとの考え方が示されている。
間接型DRを実施する際には、以下の事項を小売電気事業者とアグリゲーターの間で定める契約が必要となる。
| 論点 | 示されている検討方向 |
|---|---|
| 機器点でのBG組成等 | 機器点で調整力供出量を把握するため、調整力契約または発電量調整供給契約等を1需要場所ごとに設定する。発電・放電リソースは、複数リソースを束ねた計画値との差分を調整力として供出する方法を確認する。 |
| 1需要場所における複数計量 | 機器点と受電点の計量が存在する場合でも、制度上は1需要場所・1引込・1契約・1計量として整理する。受電点で既に発電量調整供給契約が設定されているケースは別途整理する。 |
| ネガワット調整金 | 発電・放電リソースは、調整力供出量を受電点の計量値に足し戻すため、ネガワット調整金は不要と整理する方向である。需要抑制リソースは、受電量が実際に減少するため、ネガワット調整金が必要と整理する方向である。 |
今後は、示された方向性を踏まえ、広域機関および一般送配電事業者と連携しながら、以下の詳細検討を進めることとされている。
本資料の全体的な整理は、受電点で小売供給・託送を管理しつつ、機器点で調整力を計測・精算する仕組みを構築するという方向である。発電・放電リソースと需要抑制リソースでは、受電点の電力量への影響が異なるため、託送供給量の補正やネガワット調整金の扱いを分けて整理する考え方が示されている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「機器個別計測での調整力供出にあたっての各種考え方の整理について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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