本資料は、太陽光発電(PV)、電気自動車(EV)、蓄電池などの**分散型エネルギーリソース(DER)**が今後増加する見通しを踏まえ、以下の事項を整理したものである。
PV、EV、蓄電池などのDERは、今後増加する見通しである。DERを円滑に系統へ接続するためには、普及に伴う配電系統への影響を把握するとともに、DERを活用した系統運用の高度化が必要となる。
| 年 | 国内PV導入量 |
|---|---|
| 2020年 | 61GW |
| 2030年 | 100GW |
| 2040年 | 140GW |
| 2050年 | 200GW |
EV・PHEV普及率は、国内の全自動車保有台数に占めるEV・PHEVの割合である。
| 年 | EV・PHEV普及率 |
|---|---|
| 2020年 | 0.4% |
| 2030年 | 1.3% |
| 2040年 | 11% |
| 2050年 | 31% |
配電系統に接続されるPVが増加すると、発電電力が上位系統側へ流れる逆潮流が増加する。その結果、以下の問題が生じる可能性がある。
現在は、主に設備増強や電圧調整設備によって対応している。
| 想定される問題 | 現在の主な対応 |
|---|---|
| 系統容量超過 | 系統増強、配電線の太線化など |
| 電圧逸脱 | 電圧調整器(SVR・TVRなど)の設置 |
電圧逸脱については、さまざまな対応手法が議論されている。一方で、資料では定量的な評価が不十分であるため、今回の議論対象外としている。
EVの普及に伴い、普通充電器、急速充電器、超急速充電器などの充電設備が増加する。充電設備の種類によって、配電系統への影響の大きさは異なる。
| 充電設備 | 資料で示された影響・評価 |
|---|---|
| 普通充電器 | 現在の負荷管理で対応できる可能性が高い |
| 急速充電器 | 系統への影響の定量評価が不十分 |
| 超急速充電器 | 大容量かつ急峻な充電特性により、深刻な系統混雑を生じさせる可能性が高い |
超急速充電器については、以下の影響が想定されている。
資料では、250kW程度の充電器を複数台設置する例が示されている。また、配電線容量の例として3,500kW程度が示されている。
EV充電設備の系統接続ルールを整備し、蓄電池の併設などによって充電負荷の変動を抑制する方法が示されている。これにより、設備増強の回避やDERの普及・利活用の促進につながる可能性がある。
主な対応策の候補は以下のとおりである。
DERが増加すると、配電系統における電力の流れは複雑化する。そのため、センサや通信ネットワークを活用して系統状態を把握し、遠隔・自動で系統を操作・運用する取組みが進められている。
従来の電圧制御は、変電所から需要側へ一方向に潮流が流れ、電圧も一方向に低下することを前提としていた。そのため、電圧調整器を固定された整定値で自律的に制御していた。
一方、DER導入後は、天候などによって潮流や電圧が刻々と変化する。このため、次のような制御が必要となる。
このような計測・制御の活用により、配電線の新設などの設備増強だけでなく、再エネ連系量の拡大への対応を目指している。
DERの活用では、系統全体の需給バランス調整と、配電系統における局所的な混雑回避を区別する必要がある。
| 項目 | 系統全体 | 配電系統 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 需給バランス・周波数の調整 | 局所的な系統混雑の回避 |
| DERの位置 | 設置位置を問わず活用可能 | 混雑箇所との位置関係が重要 |
| 制御の特徴 | 系統全体で同期した制御が必要 | 混雑対象設備の下位にあるDERが制御対象となる |
| 制御方向 | 需給状況に応じて決まる | 混雑要因に応じて「上げ」「下げ」が異なる |
配電系統の混雑は局所的に発生するため、DERの容量だけでなく、どこに設置されているかが重要である。また、混雑の要因によって、需要を増やす「上げ」制御と、発電を抑えるなどの「下げ」制御のいずれが必要となるかが異なる。
配電系統の混雑を回避するには、混雑が発生する箇所に、必要な規模のDERが存在しなければならない。
| 混雑の要因 | DER活用の方向 |
|---|---|
| 再エネ電源の集中 | 調整可能な需要を増やすことで混雑を回避できる場合がある |
| 負荷の集中 | 発電設備の出力を増やすことで混雑を回避できる場合がある |
| 必要な場所にDERがない場合 | DERを活用しても混雑回避につながらない |
したがって、以下を把握することが課題となる。
配電系統では、停電や工事に伴い、日常的に系統切替が行われている。系統切替をDER活用のために運用することも選択肢となる一方、工事や停電を目的とした系統切替によって、DERを活用できなくなる場合もある。
そのため、DERの制御量を算定する際には、配電系統固有の系統切替を考慮する必要がある。
配電系統でDERを充放電制御するためには、DERに関する情報と系統情報を結び付けて管理する必要がある。
DERの位置情報と系統情報を紐付け、系統の接続状態を表す系統トポロジーを生成することが必要となる。
DER活用を進めるには、系統混雑に関する情報公開の仕組みも重要である。資料では、以下の情報が検討対象として示されている。
| 情報項目 | 例 |
|---|---|
| 混雑箇所 | 変電所、配電線 |
| 混雑要因 | 熱容量など |
| 混雑期間 | 年月から年月 |
| 対象エリア | 市区町村・地域 |
| 必要なDER量 | DERの充放電必要量の概算 |
今後は、情報の種類に加え、開示方法や更新頻度などを含む情報公開の仕組みが課題となる。
NEDO実証では、主に配電用変電所の混雑回避を対象として検討が進められている。DERの管理、監視、制御などの課題も実証の中で扱われており、その成果は配電系統の混雑回避に適用できるものと資料では整理されている。
一方、配電系統の混雑回避には、さらに以下の課題がある。
配電系統では、配電線の増強工事を比較的短期間で実施できる。そのため、DERを活用する場合には、設備増強の判断に間に合うよう、短期間でDERを調達・確保する必要がある。
| 項目 | 資料に示された内容 |
|---|---|
| 配電用変電所の増強 | 工事に数年程度を要する |
| 配電線の増強 | 数か月から数週間で実施可能 |
| DER活用の判断 | 数か月程度の短期間でDER調達の可否と増強要否を判断する必要がある |
| DER活用の前提 | DERが一定程度普及していることが必要 |
| 配電系統の増強費用 | 配電用変電所と比較して小さく、資料では1~2割程度と示されている |
このため、配電線を増強する場合の費用と、DERを調達・制御して混雑を回避する場合の費用を比較し、費用対便益を評価することが重要となる。
資料では、技術課題、費用対効果、DERの普及状況を踏まえ、次のような段階的な進め方が示されている。
本資料は、DERの増加に伴い、配電系統の設備増強だけでなく、計測・通信・制御を組み合わせた運用の高度化が必要になることを整理している。
特に重要な点は以下のとおりである。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「配電系統における分散リソース活用時の課題と貢献について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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