ネガワット取引に関する審議会資料の説明
資料の概要
審議会について
- 日付: 平成28年5月25日
- 主催: 経済産業省
- 目的: ネガワット取引の業務フローと事業者に求める規律についての議論
本日の議題
本日は以下の内容を議論する予定である。
- ネガワット事業者に求める規律の具体的内容
- 同時同量・インバランスの取引スキームのモデル
- 契約関係の整理
- 時系列ごとの業務
前回の議論内容
- ネガワット事業者の規律の必要性
- インバランス料金単価の取り扱い
- 託送供給の審査方法における原価洗替え要否
次回以降の議論予定
- ネガワット取引の監視のあり方
- 第三者仲介スキームの具体的内容
- その他の必要な論点の整理
ネガワット取引の検討対象
- **DR(ディマンドリスポンス)**は、需要家の電力消費を抑制(ネガワット供給)するだけでなく、需要の増加によるコントロールも含む広範な概念である。ただし、現行制度では「特定卸供給」により、需要家による電力消費の引き上げは成立しないため、需要抑制にフォーカスを当てる。
ネガワット取引の業務フロー
ネガワット取引は、事業者間や事業者と需要家間での契約に基づいて行われるため、柔軟性のあるスキームが求められる。ネガワットの適正な取引を確保するため、複数の取引スキームを示して、事業者に選択肢を提供することが重要である。
業務フローの概要
| ステップ | 内容 |
|---|
| (A) | ネガワット事業者が需要抑制計画を作成し、小売事業者に通知 |
| (B) | ネガワット事業者がベースラインを設定し、一般送配電事業者に通知 |
| (C) | インバランスの切り分け方法を協議し、その結果を一般送配電事業者に通知 |
| (D) | 小売事業者と需要家間での確定数量契約の締結 |
| (E) | ネガワット事業者と小売事業者間での売上補填契約が必要 |
取引スキームの選択肢
1. 確定数量契約スキーム
- 小売事業者と需要家が事前に決定した量に基づいて小売供給を行う契約。
2. 直接協議スキーム
- ネガワット事業者、小売事業者、需要家の三者が事前に諸条件について協議する契約形態。
3. 第三者仲介スキーム
- 一般送配電事業者などの第三者がネガワット事業者と小売事業者間の通信を仲介する。
各スキームのメリット・デメリット
| スキーム | メリット | デメリット |
|---|
| 確定数量契約 | - 契約関係がシンプル<br>- ネガワット事業者の匿名性確保が容易 | - 確定数量が普及していない<br>- 事前通知が必要 |
| 直接協議 | - 事前協議でスムーズなやりとり<br>- システムへの影響が小さい | - 協議に応じない場合の問題 |
| 第三者仲介 | - 匿名性確保が容易<br>- 海外事例がある | - 仲介主体が必要<br>- ルール設定が必要 |
今後の論点
- 各スキームの支払い方法、インバランスの切り分け方についての詳細な検討が必要である。
さらなる論点
以下の3つのスキームに共通する論点について整理が必要である。
-
需要抑制を行う需要家が部分供給を受けている場合の考え方
- 原則として、当事者間の協議や契約によって整理すべきとの意見がある。
- 第三者仲介スキームの場合、一般送配電事業者に情報が共有される必要がある。
-
需給調整やディマンドリスポンスとの既存契約との優劣
- 需要抑制の指令の優先順位について、既存契約に基づくものとネガワット契約に基づくもののどちらが優先されるかの検討が必要である。
-
ネガワットの適正な取引を確保するための監視のあり方
- 情報のやり取りを仲介する一般送配電事業者に対し、国が必要に応じてネガワット取引に関する業務報告を徴収するなどして情報確認が必要である。
ネガワット事業者に求める規律
具体的な要件
第3弾の電気事業法改正により、ネガワットの供給は「特定卸供給」と位置付けられる。この規定の具体的な内容は省令に委任されており、以下の要件が整理される予定である。
| 要件 | 内容 |
|---|
| 要件① | 需要家に対して需要抑制の指令を適時適切に出せること |
| 要件② | 電力の安定かつ適正な供給のための需給管理体制や情報管理体制を保有すること |
| 要件③ | 需要家保護の観点から適切な情報管理体制を保有すること |
| 要件④ | 小売電気事業者に対し必要な措置を講じること(売上げ補填等) |
各委員・オブザーバーからの指摘
以下の意見が第6回制度設計専門会合で挙げられた。
-
林委員
- ネガワットの要件に、節電能力や需要抑制の指令を出せる環境についてのシステム要件を含める必要がある。
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谷口オブザーバー
- ネガワット事業者は需要家の情報を扱うため、一定の規律が必要である。
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児玉オブザーバー
- 消費者参加型ビジネスモデルに対する資格の取得にハードルを上げない方が良いが、倫理的な観点での制限が必要である。
過去の議論
ネガワット事業者に対して発電事業者と同等の規制を課すべきかについての議論があった。
- ネガワット取引を活発化するためには、適正な取引ルールの整備が必要であるが、現在のネガワット量が少ないため、規制が参入障壁になる可能性もある。
- ネガワット提供者への規制は、必要性が生じた場合に検討することとする。
現状と今後の検討
現在のDRアグリゲーターが提供するネガワットの規模は小さいため、長期的な見通しが立てにくい。緊急時の要求抑制に関しては、経済産業大臣が使用制限を発動することが可能である。