本資料は、熱容量以外の制約要因でも、電制対象を効果に基づき選ぶ考え方を整理し、一般送配電事業者へのアンケートで現状を確認したものである。結論は、熱容量のような一律の優先順位を全制約に適用するのではなく、同期安定性・電圧安定性ではシミュレーション等で安定化効果の高い電源を選び、周波数維持では容量の大きい電源を優先するという整理である。実指令時は、多くのエリアで必要な電制量・台数を最小化するよう選定している。これは現状認識と今後の検討の方向であり、新たな統一ルールの決定ではない。
| 制約要因 | 選定の考え方(アンケートで確認された主な実態) | 留意点 |
|---|---|---|
| 熱容量 | N-1電制ガイドラインに沿い、潮流抑制効果、再起動時間、機会損失費用、装置費用の順に考慮 | 潮流抑制効果の評価では電源の地点・大きさ・系統混雑の見通しも考慮 |
| 同期安定性 | 高出力機、電制がない場合に内部相差角の増加が速い電源、電気的距離が遠い電源など、安定化効果の高い対象を選ぶ | 電源特性・系統構成で効果が異なるため、単純な順位付けは困難。Y法等のシミュレーションを用いる |
| 電圧安定性 | 電圧改善や潮流・無効電力損失の低減に効果のある電源を選ぶ | 需要地近傍の電源を遮断すると電圧支持を失い、安定性を悪化させる場合がある。Y法・L法・V法等で効果を確認する考え方である |
| 周波数維持 | 容量の大きい電源を優先し、一部では再起動時間も考慮 | 資料は、周波数応動は電制量が支配的で、電気的距離に左右されにくいとの考えを示す。シミュレーションを要しない選定案を提示している |
同期安定性向上の電制は、地内送電線のN-2故障では全エリアで適用実績がある一方、N-1故障では東京・中部・関西に限られる。地域間連系線では、N-2故障時に制約となり得る東北・北陸・中国・九州で実績があり、N-1故障時の実績はない。実指令ではオンライン演算等で必要最小限の電制量を選ぶ例が多いが、関西では事前検討に基づく整定、北海道では対象候補が単一のため選定方法が未整理などの差がある。
電圧安定性向上の実績は限定的であり、地域間連系線では関西中国間連系線の中国エリア、地内線ではN-1故障時の中部・四国、N-2故障時の中部・中国で確認された。周波数維持では、地域間連系線のN-2故障時に中部・北陸・四国・九州、地内線のN-2故障時に中部・北陸・九州で実績がある。これらの分布は適用実績であり、全エリア共通の基準が確立したことを意味しない。
第5回作業会の調査では、2回線にまたがるもののルート断に至らない故障をN-1と扱う、または検討対象から省くエリアがあること、片母線故障を一部でN-1想定に含むことが確認された。N-1では電制量上限の違いが安定限界潮流に影響する例があり、N-2では局所脱調の許容や、電源制限と負荷制限を組み合わせる場合の扱いが分かれる。今後、地域間連系線の平等性等も踏まえ、これらの差異について合理的な考え方を深掘りする予定である。
現状、多くの電制対象は事故発生エリア内の電源である。エリア外への拡大が限られる理由として、安定化効果が小さい場合があること、エリア内で必要量を確保できること、エリア外発電機の再起動時間等の情報を得にくいことが挙げられる。将来、系統状況が大きく変化する場合は、広域選定により効果・経済性の高い対象を選べる可能性があるが、実現には新たなシステム構築が必要であり、引き続き検討する課題である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「電制対象箇所の考え方について」(電力広域的運営推進委員会)(https://www.occto.or.jp/iinkai/unyouyouryou_sagyoukai/)をもとに当社作成
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