本資料は、再生可能エネルギーの拡大に伴う供給ギャップへの対応策として、長期エネルギー貯蔵システム(LDES)と熱エネルギー貯蔵(TES)の市場環境を示す討議用資料である。シミュレーションでは、間欠性の自然変動電源が発電全体の50%を超えると長時間の供給ギャップが増え、LDESの重要性が高まる。CAISOの例では、自然変動電源比率25%の現在はギャップ発生日が年28日、50%の2030年は148日、70%の2035年は280日となり、2035年には8〜12時間のギャップが167日と試算されている。資料は、リードタイムを踏まえれば2030年の操業開始には2025年頃の最終投資決定が必要との見方を示す。
世界のLDES導入容量は、電力部門の脱炭素化の進度で大きく異なる。8〜24時間型LDESの必要量は、2040年に緩やかな移行シナリオで1TWh、ネットゼロ遅延シナリオで14TWh、1.5℃シナリオで97TWhと推計される。各シナリオの電力ネットゼロ達成時期は異なり、緩やかな移行ではいずれの国も未達、遅延シナリオではEU・米国が2040年、中国が2050年、インドが2060年、1.5℃シナリオでは先進国が2035年、途上国が2040年と置かれている。これらは前提に基づく推計であり、確定した導入計画ではない。
貯蔵技術には熱、機械、電気化学、化学方式があり、LDESは電力を供給するPower LDESと熱を供給するTESに分けられる。資料の比較では、LDESは電力設備費が高い一方、エネルギー設備費が低く貯蔵時間を延ばしやすい。リチウムイオン電池は電力設備費が低く短時間貯蔵に有利だが、エネルギー設備費は放電時間に応じて増えるため、LDESは6〜9時間以上のギャップでコスト優位となる可能性がある。比較結果は2030年の均等化貯蔵原価(LCOS)試算であり、技術の学習率などに左右される。
リチウムイオン電池は2010〜2024年にコストを約95%削減し、累積設置容量は2024年時点でバナジウムフロー電池やナトリウム硫黄電池の約100倍とされる。フロー電池やナトリウム硫黄電池には学習によるコスト低下余地が示される一方、導入規模の差から足元ではリチウムイオン電池が価格面で有利なケースが多い。
熱需要は2019年の世界最終エネルギー消費の約50%、エネルギー関連CO₂排出の約45%を占める。TESは再エネ電力を熱として貯蔵し、柔軟性の低い熱需要に対応するほか、熱・水素・電力にまたがる用途を提供し得る。資料では、蒸気・温水需要を持つ産業施設や地域暖房、オフグリッド温室などの事例について、前提条件に基づくIRRレンジ(0.5〜28%等)を提示している。欧州を中心に導入例が挙げられているが、収益性や稼働時期は個別案件の前提・目標である。
資料の討議上の整理では、欧米など2035年の電力脱炭素化を掲げる地域がLDESの先行市場となる可能性があり、海外市場の取り込みが事業化に重要とされる。また、日本でもTESを省エネや余剰再エネ利用に活用できるか検討対象となり得る。これらは資料の示唆であり、導入方針や決定事項は示されていない。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「長期エネルギー貯蔵システム (LDES)を取り巻く市場環境」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/storage_system/index.html)をもとに当社作成
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