第56回需給調整市場検討小委員会報告
1. 会議の基本情報
- 会議名: 第56回需給調整市場検討小委員会
- 日付: 2025年6月3日
- 事務局: 電力広域的運営推進機構(OCCTO)
2. 市場外調整力の控除について
2.1 検討の背景
- 第55回本小委員会(2025年4月15日)において、応札不足対策の一環として「市場外調整力の控除」が議論された。
- 2024年度以降の実需給データを用いて評価した結果、全9エリアで一定の自然体余力が確認された。
2.2 今回の議題
- 中部エリアを除く8エリアについて、要因分析を実施し、控除の具体的な考え方や適用開始時期を整理する。
3. 検討内容の整理
3.1 論点
- 応札不足に関する課題整理
- 揚水発電の市場活用
- 制度的措置に関する残余論点
- 市場外調整力の実態調査および控除検討
| 課題 | これまでの整理事項 | 小委における論点 | 小委での議論における方向性 |
|---|
| 揚水発電所の市場活用における課題整理 | 揚水公募量の控除方法やボブアップ原資の確保方法の対応案 | 契約価格の在り方、池全体の水位管理の在り方 | 具体的な方針を検討する必要あり |
| 制度的措置に係る残余論点の整理 | 制度的措置に関する基本的な考え方や個別論点整理(技術面) | 技術的観点から制度的措置の導入検討 | 2024年度の応札状況を踏まえ、技術的な強度を持った制度措置導入が重要 |
| 市場外調整力の実態調査および控除検討 | 市場外調整力の実態調査および検討事項 | 自然余力の扱い | 今後の検討で措置の実施方針を整理する予定 |
4. 具体的な検討内容
4.1 自然体余力の分析
- 自然体余力の活用を把握するため、以下の要因を評価:
- 調整力としての機能があること
- GC時点で蓄然性が高く存在すること
4.2 自然体余力の調査結果
- 調査を通じて確認された要因:
- 市場売れ残り分
- 契約要因
- 燃料制約
- 要件起因の入札制約
| 調整機能 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 |
|---|
| 有 | 市場売れ残り分 | 市場売れ残り分 | 市場売れ残り分 | 契約要因 | 燃料制約 | 市場売れ残り分 | 市場売れ残り分 | 市場売れ残り分 | 市場売れ残り分 |
| 無 | 燃料制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 | 要件起因の入札制約 |
5. 控除の具体的な検討方針
5.1 自然体余力の控除に関する考え方
- 以下の観点で再整理を進める:
- 市場調達の重要性: 多様な電源の公正性、透明性、効率性を確保する。
- 控除の妥当性: 控除量が過少または過剰になる場合の不合理な状況を避ける。
5.2 控除量の調整必要性
- 適切な控除量の設定は、需給調整市場の機能維持に必要である。
- 控除量が過少の場合: 調達未達が続く可能性。
- 控除量が過剰の場合: 電源の解列が引き起こされ、コストが増加するリスク。
6. 今後のスケジュール
- 2024年度の実績を基に、控除対象及びその適用についてさらなる議論を進める予定。
- 自然体余力の調査結果については、引き続き各エリアでの分析が必要。
7. 制度要因による自然体余力の概要
7.1 自然体余力の形成要因
- 「制度要因」による自然体余力の一つとして、取引単位が3時間ブロックである点が挙げられる。
- 3時間内で供出できる最小値しか応札できず、一部がGC時点で自然体余力として残存する。
7.2 2025年度からの変更
- 現在、週問商品(一時〜三次①、複合)は依然として存在しているが、三次②は2025年度から30分化される予定。
- これにより、2024年度と比較して自然体余力が減少する可能性がある。
7.3 自然体余力の動向
- 三次②の30分化によって、募集量が効率化され、市場売れ残り分の自然体余力が増加する可能性も考えられる。
- 商品ごとに段階的に30分取引化する2025年度以降は自然体余力に増減両方の可能性があるため、控除対象外として扱うべきである。
8. 自然体余力の要因分析まとめ
8.1 主要要因と控除可否
| 要因 | 概要 | 調整力の機能 | 控除可否 | 控除期間 |
|---|
| 市場売れ残り | 市場応札の結果不落になったもの | 〇 | 全商品前日取引化までの期間は可 | 2025年度のみ |
| 契約要因 | 相対契約の通告変更権行使期限が入札時刻以降の余力 | 〇 | 可能 | 契約変更までの期間 |
| 燃料制約 | 限られた燃料消費での市場応札 | - | 不可 | |
| 要件起因の入札制約 | 商品要件を満たさない出力変化率の余力 | - | 不可 | |
9. 市場外調整力控除に関する具体的な論点
9.1 検討事項
- 自然体余力の要因分析をもとに控除対象を整理
- 市場外調整力の控除の基本方針は次の通り:
- 市場応札できずに自然体余力となる調整力を、応札できない要因への抜本対策実施までの期間に限定して控除する。
9.2 論点の整理
| 論点 | 項目 | 検討事項 |
|---|
| 論点1 | 控除対象 | どの商品を控除対象にするか、どのエリアに適用するか |
| 論点2 | 控除量の算定方法 | 要因/商品毎の控除量算定方法を具体的に検討 |
| 論点3 | 控除適用の時期 | いつから控除を開始するか、期限の設定 |
10. 控除開始時期の方針
- 自然体余力に関する相対的状況を踏まえ、控除は準備が整ったエリアから順次導入することが適切と考えられる。
- 2026年度以降の状況に応じて再検討する必要がある。
10.1 今後の調査とヒアリング
- 自然体余力の要因を深掘りし、控除対象や算定方法の具体性を高める必要がある。
11. 揚水発電の市場外調整力控除に関する検討
11.1 揚水発電への市場外調整力控除の提案
-
背景と経緯
- 現在、火力発電を対象にした市場外調整力の控除が行われている。
- 第55回本小委員会で、揚水発電についても同様の扱いを検討するよう提案があった。
-
委員の意見
「揚水発電には自然体余力があると考えられるため、控除対象として検討をお願いしたい。」(東京電力パワーグリッド 岸オブザーバ)
11.2 揚水発電特有の課題
- 揚水発電は、火力発電と比較して以下の運用制約が存在する。
- 上池容量が小さい。
- 最低出力が火力発電より高い。
- 一次、二次①の並列運転が必須であり、応札量が限られている。
11.3 揚水発電の控除量に関する考え方
-
自然体余力
- 揚水発電にも自然体余力が存在する。
- kW余力(設備容量)とkWh余力(池水位)を考慮する必要がある。
-
控除の具体的な算定方法
- kWh余力は水位計画を基に算定される。
- 発電計画やΔkW約定量を考慮し、kW余力を上限にkWh余力を各ブロックに配分する必要がある。
11.4 市場外調整力控除の対象
| エリア | 適用状況 |
|---|
| 北海道 | 対象 |
| 東北 | 随意契約箇所が多く対象外 |
| 東京 | 対象 |
| 中部 | 対象外 |
| 北陸 | 対象外 |
| 関西 | 対象 |
| 中国 | 対象外 |
| 四国 | 対象 |
| 九州 | 対象 |
11.5 研究結果と今後の予定
- 市場外調整力の控除率は、商品やエリアによって2割〜7割程度であると見込まれる。
- 揚水発電に関しては、2024年度以降に防災指標が導入される予定であり、調整力の確保に向けた取り組みが進められる。
本資料は、市場外調整力控除の実施方針及び課題を明確にし、需給調整市場の健全な運営に貢献するために作成されたものである。