第56回需給調整市場検討小委員会および第73回調整力の技術的検討に関する資料まとめ
資料の目的・背景
本資料は、第56回需給調整市場検討小委員会および第73回調整力の細分化に関する作業会における一次調整力のΔkWマージンについての議論を取りまとめたものである。2024年度から開始される需給調整市場における取引や、広域調達の運用に関する現状と課題について検討することを目的とする。
主要な検討内容・論点
広域調達の背景と制約
- 2024年度より、需給調整市場においてすべての商品取引が開始される。
- 一次調整力(GF)および二次調整力(EDC)の広域調達は既に開始されており、地域間連系線の運用容量制約を考慮した「ΔkWマージン」が設けられている。
- 一次調整力のΔkWマージンに関しては、運用容量が不必要に低下するリスクが指摘されている。
今後の方針
- 地域間連系線におけるGFのΔkWマージンの取り扱いについては、将来的にフリンジでの対応を基本とし、バックキャストによる対応方法の変更が提案されている。
- ΔkWマージンの取り扱いについては、場の状況や議論内容を踏まえ、深入りした議論が求められる。
課題・リスク
- 需給調整市場における応札不足が続き、特に一次調整力の不足率は80%を超えており、取引実績の把握が難しい状況である。
- すでに広域調達が開始されているGFについては、フリンジとΔkWマージンが二重に確保されており、運用容量の不必要な減少リスクが存在する。
商品導入スケジュール
| 年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028以降 |
|---|
| 一次運用 | - | - | - | - | 広域運用開始 | - | - | - | - |
| 一次調達 | 調達公募 | 調達公募 | 調達公募 | - | 広域調達開始 | - | - | - | - |
| 二次①運用 | - | エリア内運用 | エリア内運用 | エリア内運用 | 広域運用開始 | - | - | - | - |
| 二次①調達 | 調達公募 | 調達公募 | 調達公募 | 調達開始 | - | エリア内調達 | - | - | - |
一次ΔkWマージンの必要性に関する検討
1. 異常時対応調整力の見直し
- 異常時対応調整力について、広域調達の有無にかかわらずGF(一時)確保量は減少傾向にある。
- 系統制御を活用した低下補填などの影響評価と対応が始まっている。
2. 周波数維持制約と一次ΔkWマージン
- 現状において、一次ΔkWマージンは基本的に廃止方向性で進められている。
- 適用時期は今後の検討状況を考慮して判断する予定である。
3. 系統特性定数への影響
- 中西エリアの系統特性定数(5.2%MW/1.0Hz) は、GFを3%程度確保する前提で設定されているが、一次調整力が系統容量の3%を下回る可能性が指摘されている。
- N-1信頼度基準を遵守し、調整力確保費用を削減する取り組みが評価される。N-2信頼度基準も考慮し、異常時対応調整力の過剰確保は非合理的とされている。
4. 系統特性定数算出のシミュレーション結果
| 採用値 | 根拠 |
|---|
| GF応動 | ガバナ応動試験結果(5%変化/2.5秒)を基に設定 |
| GF容量 | 3%MW(実績調査) |
| 負荷特性(周波数依存) | 3.33%MW/Hz(1948年イギリスでの負荷特性把握試験結果に基づく) |
出所:第55回需給調整市場検討小委員会(2025年4月15日)
5. ΔkWマージン設定方法の見直し
- エリアを跨いだ複合約定時のΔkWマージンは、一次調整力から優先的にマージン確保が行われており、廃止に伴って設定方法の見直しが必要である。
6. まとめと今後の進め方
- 一次調整力に伴うΔkWマージンの取り扱いについては、以下のことが整理されている。
- 一次調整力は供給力に計上されず、一次ΔkWマージン設定の必要性は廃止可。
- 熱容量制約に基づいても、一次ΔkWマージン設定の必要性は廃止可。
- 同期/電圧安定性制約についても、広域調達の進展に伴い一次ΔkWマージンの必要性は廃止方向性。
- 周波数維持制約も同様に廃止方向性で進めつつ、適用時期は今後の検討次第で判断される。
7. 今後の課題
- 2024年度から開始された一次調整力の広域調達において、新たな応札不足が続いており、実績データに基づく議論は難しい。
- 必要な検討や対応を進め、一次ΔkWマージンの廃止時期を改めて示す予定である。
まとめと今後の進め方
- 今後の進め方として、広域調達の進展とフリンジの関係を見極めながら、一時ΔkWマージンの廃止に向けた判断が求められる。
- 各制約要因に基づき、ΔkWマージンの必要性・廃止の方針を議論し、他の審議会との連携を深めていくことが重要である。