次期中給システムの開発状況報告
一般社団法人 送配電網協議会が提供する資料は、第60回需給調整市場検討小委員会および第77回調整力の細分化と広域調達に関する作業会の内容をまとめたものであり、次期中給システム開発の進捗と検討内容に関する報告を目的としている。
資料の構成
資料は以下のセクションに分かれている:
- はじめに
- 今までの振り返り
- 次期中給システム開発の検討状況
- 次期中給システム導入による効果
- 次期中給システムに実装する機能
- まとめ
次期中給システム開発の現状
次期中給システムは、「中央給電指命令システムの仕様統一化」を目指し、一般送配電事業者が開発を進めている。以下のポイントが重点に置かれている:
- 2025年11月に基本設計フェーズを完了予定
- 4つの主要コンセプト:
- 一層透明性の高い共通プラットフォームの実現
- 全国でのメリットオーダーの追求
- レジリエンス確保とコスト低減の両立
- 将来の制度変更に向けた拡張性・柔軟性の確保
環境変化への対応
再生可能エネルギーの導入拡大や需要増加に伴い、需給運用の高度化と運用者負担の軽減に資するシステム設計が求められている。
次期中給システムの構成
次期中給システムは以下の2つのシステムで構成される:
-
メインシステム
- 需給状況と連系線・各エリア基幹送電線の潮流状況を考慮して需給制御を行う機能を備え、災害対策として分散配置される。
-
エリアシステム
- 各エリアに設置され、運用者の系統監視・制御と発電機への指令を行う。
メインシステムの特徴
- システム障害や災害への備えとして、広域分散配置がされている。
- 需給機能を統合し、1つのシステムで処理が可能となる。
次期中給システム導入による効果
- 全国的な最適化が実現されることで、燃料費の低減が図られる。
- 混雑時にはエリア間での電源の持替えを行うことにより、需給調整に係る費用の低減が期待されている。
スケジュール・今後の予定
次期中給システムの運用開始は2032年度を目指している。進行中のタスクや工程は以下の通り:
| 年度 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032以降 |
|---|
| RFP ~ 基本設計 | | | | | | | | | | |
| ベンダ決定 | 2023.10 | | | | | | | | | |
| 基本設計完了 | | | 2025.11 | | | | | | | |
| 詳細設計 | | | | | | | | | | |
| 運用評価開始 | | | | | | | | | | 2032年度 本格運用開始 |
課題・リスク
- 基本設計の完了後、詳細設計以降の仕様変更は工期やコストに大きな影響を与えるため、慎重な検討が求められる。
- 発電抑制順位や設備制約の影響により、運用開始時期が変更される可能性がある。
調査結果について
北米ISO/RTOの系統規模と技術的難易度
- SCUC/SCEDを実用化している北米ISO/RTOの調査結果より、系統規模やノード数等において技術的な難易度は同等と想定される。
系統規模比較表
| 次期中給 | PJM | CAISO | ERCOT | MISO | NYISO |
|---|
| 系統規模 | 約150GW | 約150GW | 約50GW | 約80GW | 約120GW |
| ノード数 | 約6,000-8,000 | 約13,000 | 約18,000 | 約4,000 | 数千規模 |
| 年間発電量 | 約1,000TWh | 約830TWh | 約195TWh | 約380TWh | 約720TWh |
| 再エネ発電量 | 約250TWh (27%) | 約50TWh (6%) | 約80TWh (40%) | 約105TWh (28%) | 約155TWh (22%) |
| 揚水発電所 | 約27,000MW | 約5,200MW | 約2,000MW | - | 約2,000MW |
出典: 2023 Common Metrics Report.pdf
まとめ
次期中給システムの開発は、透明性のあるプラットフォームを提供し、需給調整の効率化を実現することが期待されている。今後の具体的な進捗や課題を踏まえつつ、運用開始に向けた準備が進む。