用語集の対象と役割
本資料は、需給調整市場の調達・運用、商品要件、参加者の評価、分散型リソースなどに関する用語74項目を整理した参照資料である。政策の決定や新たな提案を示すものではなく、小委員会で用いる概念の定義と、関連する制度・システムの関係を確認するための用語集である。
調整力の調達・運用と広域調整
- ΔkWは、実需給時に必要な能力を持つ電源等を、出力調整できる状態であらかじめ確保することである。一般送配電事業者は、需給調整市場で細分化された調整機能ごとに、ΔkW価格のメリットオーダーに基づき調整力を調達する。実需給の調整では、調達済みの調整力と、ゲートクローズ(GC)後に活用できる余力をメリットオーダーに基づき発動する。
- 調達と運用のシステムは役割が異なる。需給調整市場システム(MMS)はΔkW調達の共通基盤であり、広域需給調整システム(KJC)は需給調整運用の共通基盤である。KJCの機能には、エリア間のインバランスを相殺して発動量を減らすインバランスネッティングと、エリアにかかわらずkWh単価の安い順に発動する広域メリットオーダーが含まれる。
- 調達時期は商品により異なる。週間調達は前週に1週間分を56の3時間ブロックで確保する方式で、2025年度までの一次~三次調整力①が該当する。前日調達はスポット市場後に行い、三次調整力②に加え、2026年度以降の一次~三次調整力①および複合商品が該当する。資料では2026年度からの前日取引化に伴い、一次~三次調整力①・複合商品を扱う市場を「複合市場」と呼ぶ。
- 複数商品の最大必要量が発生する時点のずれ(不等時性)を考慮すると、同一リソースで複数商品を確保し調達量を減らせる可能性がある。複合約定ロジックは、商品別・複合での入札を組み合わせ、必要量を満たしながら落札価格が最も安価となるように約定する考え方である。
商品要件と評価
2025年度以降の商品要件では、一次調整力はオフライン制御で応動3秒以内、二次調整力①はオンラインのLFC信号、二次調整力②・三次調整力①②はオンラインのEDC信号を用いる。応動時間は三次調整力②が30分以内、他商品は3秒以内または5分以内であり、継続時間は一次が5分以上、二次が30分以上、三次が3時間である。全商品で最低入札量は1MW、刻み幅は1kWである。表中の商品要件には、指令・監視方式や間隔、供出可能量の判定時間なども整理されている。
- 参加・実績評価では、事前審査でリソースが商品要件を満たし指令に応じられるか確認する。アセスメントⅠはGC時点で約定ΔkWを供出できる状態かを、アセスメントⅡは指令への応動実績が要件を満たしたかを評価する。アセスメントⅡでは、実績と比較する基準、指令からの乖離を許容する範囲、その範囲内に実績が滞在する率を用いる。
- 指令・通信方式は、専用線または簡易指令システムを用いてリアルタイムに指令・制御・監視するオンラインと、それらのシステムを用いないオフラインに区分される。オフラインで出力実績を管理する場合、提供者が周波数や出力値などを後日提出することが前提である。
参加リソースと関連用語
- 調整力提供者には発電事業者やアグリゲーターが含まれる。アグリゲーターは需要家エネルギーリソース(DSR)や分散型エネルギーリソース(DER)を統合制御し、DRやVPPの機能を提供する事業者である。DSRは需要家の受電点以下の発電・蓄電・需要設備、DERはDSRに系統直結の発電・蓄電設備を加えた総称である。
- 需要家リソースを束ねて市場参加する場合は、個々のリソースの詳細を記載する需要家リストと、応札・発動時に選ぶリソースの組み合わせであるリスト・パターンを用いる。評価・精算の計測点には、需要家と系統の接続点で測る受電点計測と、需要家内の制御対象設備を測る機器個別計測がある。
- 契約・地域の用語では、需給調整市場への参入に際して一般送配電事業者と提供者が締結する契約、GC後の余力活用に関する契約、電源の立地エリアを管轄する属地TSOなどを区別する。また、全体の調整力は足りていても個別エリア内で不足する状態を「調整力電源の偏在」と定義する。
調達上の例外と予測関連用語
週間商品の調達量が必要量に届かない場合は、市場外でエリア内外の電源から不足分を追加調達する。相対契約を前提とし、前日商品の未達時には追加起動の指令時間等を考慮して市場外調達を行わない。再エネ予測誤差に関する用語として、信頼度階級予測は翌日の日射量と信頼度階級に応じて必要量テーブルを使い分ける手法、信頼区間幅予測は日射量の下振れ予測から太陽光発電の下振れリスク量を算定する手法である。効率的な調達の定義では、1σ相当を基本とし、広域予備率や再エネ予測の下振れ条件に応じて3σ相当まで追加確保する方法が整理されている。