需給調整市場における一次調整力の見直し
1. 資料の目的・背景
2024年度から需給調整市場における一次調整力の調達が開始される予定で、必要量の確保が求められている。これに伴い、調整力の供出可能量の見直しが必要である。
2. 一次調整力の概要
一次調整力は以下の目的で設定されている:
- 短周期の時間内変動および急峻な周波数変動への対応
- かつては発電機のGF機能で周波数変動に対応していたが、一次要件との乖離が見られる
3. 調整力確保状況の確認
- 2024年7月の委員会において、2023年度以前のGF機能と比較した際に一次供出可能設備量が少ないことが指摘された。
- 全エリアでの充足は見込まれるが、エリア単独では不足の可能性が確認された。
4. 一次供出可能量の見直し
- 異常時の周波数低下基準の設定が提案され、現行の要件では発電機のGF幅に対して供出可能量が制限されているため、見直しが求められる。
5. 技術要件の検討
- 一次調整力の技術要件には、応動時間が10秒以内である必要があり、これは供出可能量に影響を及ぼす。
6. 今後の予定
需給調整市場検討小委員会において、供出可能量の見直し結果が示され、委員の意見を求める予定である。
7. 一次調整力の要件一覧
| 要件名 | 詳細 |
|---|
| 指令制御 | オフライン自端制御 |
| 応動時間 | 10秒以内(異常時のみ) |
| 継続時間 | 5分以上(異常時のみ) |
| 並列要否 | 必須 |
| 監視間隔 | 1数秒 |
| 計測間隔 | 0.1秒以下 |
| 計測誤差 | 0.02Hz以下 |
8. GF供出可能量の試算
8.1 GF供出可能量に関連する要因
- 負荷制限(ロードリミット): 周波数低下時の出力増加の上限を設定し、発電機の出力調整機能の限界値を決定する。
- 系統連系技術要件:
- 火力機のGF幅は定格容量の5%以上。
- 揚水機の供出可能量は最低出力の**50%**と仮定。
8.2 GF供出可能量の制約
GF供出可能量は以下の条件の小さい方で制約される:
- 調定率を考慮した供出可能量
- GF幅などの機械的限界
8.3 電源種別別供出可能量の試算
電源脱落による周波数低下を1Hzと仮定した場合の試算は以下の通りである。
| 電源種別 | 機械的限界 | 調定率に応じた供出可能量 (1Hz周波数低下) |
|---|
| 火力機 | 定格容量の5%以上 | 基準周波数50Hz: 25.3% 基準周波数60Hz: 21.1% (調定率5%) |
| 揚水機 | 定格容量の50%程度 | 基準周波数50Hz: 42.1% 基準周波数60Hz: 35.1% (調定率3%) |
8.4 現状の運用要件
9. 一次供出可能量の見直し検討結果
9.1 検討の背景
一次供出可能量の見直しを通じて、発電機のより効率的な利用が目指されている。
9.2 見直しの内容
- 現行の供出可能量: 0.2Hzの周波数低下時に10秒以内で供出できる量。
- 見直し案: 0.6Hzの周波数低下継続時に供出できる量を基準とする。
変更の利点
- 機械的限界が大きい発電機等を効率的に利用可能。
- 火力機の供出可能量はGF幅の5%で制限されているため、大きな変化は見込まれない。
9.3 一次供出可能量の試算結果
| 考え方 | 基準周波数 | GF供出可能量2023年度まで | 一次供出可能量現行 | 一次供出可能量見直し案 | 参考機械的限界 |
|---|
| 火力機調定率5% | 50Hz | 25.3% | 5.1% | 24.0% | 5%以内 |
| 火力機調定率5% | 60Hz | 21.1% | 4.2% | 20.0% | 5%以内 |
| 揚水機調定率3% | 50Hz | 42.1% | 8.4% | 40.0% | 50%程度 |
| 揚水機調定率3% | 60Hz | 35.1% | 7.0% | 33.3% | 50%程度 |
9.4 一次供出可能量のアセスメント II
アセスメント IIでは「周波数低下最下点に応じた供出量を確認する(応動時間の考慮なし)」へと変更することを目指し、逐次ハンドで対応する。
9.5 効果の期待
供出可能量の見直しにより、2023年度以前のGF機能との乖離が解消される見込みであり、応札不足の解消も期待される。
10. オフライン枠に関する考え方
- オフライン枠では、応動時間を30秒以内に緩和し、平常時の要件として「0.2Hzの周波数低下時に30秒以内で供出できる量」とする。
11. 調定率の変化に関する取扱い
11.1 原則
調定率については周波数変動幅に応じて変更しないことが原則であり、平常時の供出可能量に悪影響を及ぼすため際限なく変動することは認められない。
11.2 将来的検討事項
調定率の下限値についても検討を要する。
12. まとめ
一次供出可能量の見直しにより、機械的限界が大きい発電機の活用が進み、早期の見直しが求められる。今後の議論により、需給調整市場がより効率的に運用されることが期待される。