運用容量は、通常想定する故障後も系統を安定運用するため、熱容量・同期安定性・電圧安定性・周波数維持の各限界潮流のうち、最も厳しい条件で定めるものである。N-1故障では原則として供給・発電支障を許容せず、N-2故障では支障を許容する場合があるが、社会的影響が大きいと懸念されるときは軽減策を検討する。地域間連系線の算定では、N-1は1回線故障等、N-2は同一ルートの2回線故障等を想定する。
| 制約要因 | 故障後に満たす基準 | 主な違反リスク |
|---|---|---|
| 熱容量 | N-1時に健全設備が常時容量以内。条件を満たす場合は短時間容量(一般に常時の約1.5倍)を適用 | 過負荷保護による設備停止、連鎖トリップ、停電 |
| 同期安定性 | N-1時に発電機が脱調しない。N-2時は支障の影響を考慮 | 連鎖脱調、発電機停止、系統分離 |
| 電圧安定性 | N-1時に電圧不安定に至らない。N-2時は支障の影響を考慮 | 発電機停止、設備過負荷、保護リレーの不要動作 |
| 周波数維持 | 1ルート交流連系のN-2時に周波数が上昇・低下限度内 | 発電機損傷・解列、周波数低下、停電 |
設備増強や制御により、故障後に生じる潮流・電圧・需給バランスの変化を抑える。主な手段は、送電線・変圧器の増強、系統インピーダンス低減、無効電力制御装置、ダイナミックレーティング、電源制限(電制)、負荷制限である。ダイナミックレーティングは気温・風速等の実測値を用いて熱容量を動的に評価する技術で、国内では導入に向けた検証が進められている。
N-1電制は故障時に発電機を自動的に解列・抑制し、残回線の過負荷等を避ける仕組みである。適用には対象事業者の合意・実施能力等が必要で、放射状系統は原則適用、ループ系統は制御の複雑さなどを踏まえ個別判断とされる。現時点で熱容量対策として地内系統への適用実績はあるが、地域間連系線への適用事例はない。N-1時の電制量にはエリア別の目安があり、目安を超える適用は設備実態や故障頻度等を考慮して一般送配電事業者が検討する。
負荷制限は供給支障を伴うため、資料では主にN-2以上の故障時の手段として説明される。地域間連系線では社会的影響から、同期・電圧安定性対策としての適用実績はない一方、周波数維持では多くの箇所に織り込まれている。電圧対策としては故障後に速やかに無効電力を供給する必要があり、SVC・STATCOMは数十msで応答する。
需給ひっ迫により需要抑制・負荷遮断を回避できない、またはそのおそれがある場合、広域機関は供給信頼度の低下を伴う一時的な連系線の運用容量拡大を承認できる。拡大量・期間等の情報提出と必要性の説明を受け、承認時には緊急時運用容量と想定される信頼度低下レベルを公表し、使用後に妥当性を検証する。
実績例として、2022年6月の需給ひっ迫時には東北東京間連系線を3時間、平均55万kW拡大した。N-2の送電線事故時には同期安定性を保てる一方、供給力減少により東北・東京エリアの一部で停電する可能性が示された。2012年2月には発電所の緊急停止を受け、供給信頼度低下を許容して連系線を一時的に容量超過で使用し、計画停電等を回避した。
本資料は、調整力の広域調達・運用や地内混雑の進展を見据え、制度と運用の両面から運用容量等を検討する作業会に向けた基礎整理である。運用容量の値や考え方が電源起動・出力配分、事業者収支に結び付くとの認識から、妥当性・透明性の確保と、従来の延長では対応できない事象の早期把握・検討を課題として示す。具体的な制度変更や結論は本資料では決定されていない。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「運用容量等に関する基本的事項について」(電力広域的運営推進委員会)(https://www.occto.or.jp/iinkai/unyouyouryou_sagyoukai/)をもとに当社作成
本サービスで提供される審議会資料は、各府省庁が公開している情報を公共データ利用規約(PDL1.0)に基づいて利用しています。詳細はデータソースページをご確認ください。
Policy Scope
関連する審議会・政策資料を継続的に収集し、AI要約と一次資料をまとめて確認。重要な変更を事業判断と社内共有につなげられます。