資料の説明
資料の背景
本資料は、経済産業省が作成したものであり、再生可能エネルギーの出力制御に関連する卸電力市場の状況および今後の対応について検討を行うものである。
資料の目的
- 再生可能エネルギー、特にFIT(Feed-in Tariff)太陽光発電の出力制御が頻繁に実施されている九州エリアにおいて、卸電力市場の状況を分析し、適正な価格形成を確保する方策を議論すること。
検討内容
出力制御の実施状況
- 2018年10月以降、九州エリアで8回にわたり出力制御が実施された。主に対象となったのは太陽光発電である。
主要な事象
-
エリアプライスの不適切な反映
- 九州エリアでの供給が需給を上回る状況にもかかわらず、スポット市場エリアプライスは3〜7円/kWh程度であり、需給の状況が適切に反映されていない。
- 理論上、電力余剰時は価格が0円/kWh近傍に下がるべきである。
-
インバランス料金の問題
- 出力制御の影響がインバランス料金に適切に反映されず、平均3〜6円/kWh程度にとどまっている。
-
連系線の空き容量
- 出力制御期間中に連系線に空き容量が生じ、市場を通じて活用されなかったことが確認された。
具体的な出力制御実施日
| 発生日 | 出力制御期間 | 出力制御量 (万kW) |
|---|
| 2018年10月13日 | 9:00-16:00 | 43 |
| 2018年10月14日 | 9:00-16:00 | 71 |
| 2018年10月20日 | 9:00-16:00 | 70 |
| 2018年10月21日 | 9:00-16:00 | 118 |
| 2018年11月3日 | 9:00-16:00 | 55 |
| 2018年11月4日 | 9:00-16:00 | 121 |
| 2018年11月10日 | 9:00-16:00 | 81 |
| 2018年11月11日 | 9:00-16:00 | 100 |
今後の対応
- 出力制御時における卸電力市場において、公正かつ適正な価格が形成されるよう以下の課題解決に向けた改善が求められる。
課題
-
価格シグナルの適切な反映
- 出力制御期間中の適切な価格シグナルを発信し、市場メカニズムを通じて効率的な電気の利用を促進する必要がある。
-
インバランス料金の適正化
- インバランス料金がエリアプライス以下とならなかった原因を分析し、料金の適正化を図る。
-
連系線の活用改善
- 連系線における空き容量の状況を改善し、市場システムを通じて有効活用できるよう対策を講じる必要がある。
出力制御量とインバランス料金に関する考察
出力制御量の算定方法
- 送配電事業者は、出力制御量の算定を実需給の前々日に実施しているため、需要量の予測技術には限界があり、出力制御量を過大に見積もる可能性がある。
- 現在の運用により、スポット市場における連系線活用が不十分になるおそれがある。
減少方針の提案
- 市場メカニズムを利用し、出力制御量の算定を精緻化することが望ましい。
- 具体的には、前日午前10時に開場するスポット市場での売れ残りの実績値を考慮した算定方法の導入が提案されている。
インバランス料金算定方法の課題
- 出力制御期間中において、インバランス料金がエリアプライスよりも高くなるケースが発生していることが問題である。このため、卸電市場での適切な売電が行われず、余剰インバランスとして送配電事業者に高く買い取られる事例が生じている。
九州エリアにおけるデータ
以下の表は、九州エリアの出力制御期間中のエリアプライスとインバランス料金の平均価格を示している。
| 指標 | 10月13日 | 10月14日 | 10月20日 | 10月21日 | 11月3日 | 11月4日 | 11月10日 | 11月11日 |
|---|
| エリアプライス平均円/kWh | 7.31 | 5.28 | 6.12 | 3.23 | 6.06 | 6.02 | 5.95 | 5.38 |
| インバランス料金平均円/kWh | 5.92 | 4.60 | 5.98 | 2.99 | 6.34 | 8.13 | 6.59 | 5.53 |
| インバランス料金が高いコマ数全14コマ | 2 | 4 | 6 | 4 | 14 | 14 | 12 | 8 |
※インバランス料金は、10月は確報値。11月は速報値のため参考。
基本設計に関する方針
- 系統不足時および系統余剰時の基本設計方針が示されている。
- 系統余剰時の余剰インバランス料金は、市況価格以下であることが求められる。
おわりに
本資料は、出力制御の実施が卸電力市場に与える影響を分析し、今後の市場メカニズムの改善に向けた方策を検討することを目的としている。現状の問題点を理解し市場の健全性を保つための具体的な提案を行うことが望ましい。