旧一般電気事業者(旧一電)は、スポット市場で余剰電力の全量を限界費用ベースで供出している。この取組は市場活性化を目的に始まり、市場支配力を使った相場操縦を抑えるセーフハーバーとしても機能してきたが、電力適正取引ガイドライン上の位置づけは明確でない。JEPX取引量は国内需要の約4割に達しており、取組開始時から市場環境が変化した一方、相場操縦を防ぐ規律の必要性は続いている。
事務局は、ガイドライン上の整理を明確にする方向で検討を提案している。主な論点は、①市場支配力のある事業者に求める入札量(余剰全量の定義を含む)、②入札価格の規律、③相場操縦規制と自主的取組の位置づけである。売惜しみ防止のため、支配力のある事業者には余剰全量の供出を引き続き求める必要があるかも論点として示されている。
今冬の価格高騰を踏まえ、入札価格には、その時点の電気の価値を反映した価格シグナルが求められている。原則として限界費用での入札はプライステイカーにとって経済合理的だが、燃料制約がある場合、燃料代だけでは限界費用を捉えきれない。そこで、限界費用の定義を明確にし、機会費用を反映する方向で詳細を検討する提案である。事前の事業者確認では、機会費用を限界費用に含めて入札していると回答した社はなかった。
資料が挙げる検討例は、需給ひっ迫時に高いインバランス料金が見込まれる場合、燃料制約のある火力で発電時期を移す場合、LNGを発電に使わず転売する場合である。機会費用を認める条件や算出の根拠をどう整理し、無限定な想定を防ぐかは未決である。需給調整市場のガイドラインでは、揚水・水力・DRなどに機会費用を含む限界費用を適用する整理があり、EUの資料も他時点・他市場での販売機会などを例示しているが、スポット市場での具体的な扱いは今後の検討事項である。
現行ガイドラインは、相場を変動させる目的での偽装取引、重大な影響を与える取引の実行・不実行、誤解を招く情報の流布を問題行為としている。市場支配力を持つ事業者による高価格入札や出し惜しみは、価格を押し上げ得る。余剰電力の全量を限界費用で供出する行動は、プライステイカーの経済合理的行動として相場操縦に当たらないセーフハーバーと整理されてきた。
事務局は、入札量と入札価格の双方を対象に、支配力の有無に応じた事前・事後規律を含め、ガイドライン上の整理を検討するよう提案している。これは審議に付された方向性であり、本資料では新たな規律は決定されていない。
自主的取組の見直しと並行する当面の対応として、卸市場価格が一定基準以上となった場合に、電取委が旧一電の売り入札の適切性を確認し、自社需要の見積もり・実績データを公表する案が示された。基準は、スポット市場のシステム価格・エリア価格または時間前市場のコマ別平均価格のいずれかが30円以上となること、公表は発生翌週を目途とすることなどである。対象は価格基準に応じて旧一電全社(沖縄電力を除く)または該当エリアの旧一電とする案であり、運用を踏まえて見直す。
資料によれば、2019年4月~2021年3月にシステム価格が30円以上となった約1,300コマの9割超で売切れが発生していた。今冬の監視ではデータ取得や分析結果の公表が必ずしもタイムリーでなかったことから、価格高騰時の情報発信を速める狙いがある。自主的取組と機会費用の論点は審議を踏まえて継続検討し、当面の監視・公表は会合で確認された方針に沿って対応する予定である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「旧一般電気事業者のスポット市場における 自主的取組について」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_system.html)をもとに当社作成
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