発電側課金に関する検討結果と今後の対応
資料の目的・背景
本資料は、経済産業省が発表した「発電側課金」に関する検討結果及び今後の対応についての報告書である。特に、2024年4月から導入された発電側課金の転嫁に関する制度の運用状況を把握するため、アンケートおよびヒアリングを実施した内容をまとめている。
主要な検討内容・論点
発電側課金の導入目的
- 発電側課金は、発電料金の一部として小売電気事業者に転嫁され、最終需要家にまで影響を及ぼすことが意図されている。
- 制度変更に伴う費用負担を発電側が一方的に負わないよう、相対契約の見直しが求められている。
アンケート・ヒアリングの実施
- アンケート・ヒアリングは、年1回行うこととされている。
- 対象事業者は、高度化法達成計画に基づく小売電気事業者および発電事業者である。
- アンケートの実施期間は9月12日から10月18日で、145社のうち126社(回収率87%)から回答を得た。
アンケート結果の概要
回答内容
- 発電側課金を知っている事業者は98%(124件)。
- 転嫁ガイドラインを知っている事業者は83%(104件)。
- 相対契約の見直し協議が行われた事業者は65%(69件)。
転嫁状況
- 発電側課金相当額の全ての転嫁が行われなかった事業者は、小売が6%、発電が8%。
- 一部の転嫁が行われなかった事業者は、小売が16%、発電が16%。
トラブルの発生
- 協議でトラブルが生じたと回答した事業者は、小売が18%、発電が**3%**であった。
| アンケート回答事業者の属性 | 回答事業者数 |
|---|
| 高度化法報告対象事業者 | 59社 |
| 大規模小売電気事業者(除く) | 10社 |
| 小規模小売電気事業者(除く) | 14社 |
課題・リスク
アンケート及びヒアリングの結果、以下の課題が指摘されている。
- 一部発電者の発電側課金の未払い
- 制度・転嫁に関する情報周知の改善
- 一般送配電事業者に対する手続きの改善要望
今後の予定
- アンケート結果に基づき、改善に向けた詳細の確認や検討を進めていく。
- 引き続き、発電と小売との協議の適切な運用を監視し、必要に応じて契約に関するガイドラインの見直しを検討する。
本報告は、発電側課金の制度の運用において透明性と信頼性を確保することを目指している。
自己托送における発電側課金の扱い
自己托送の課金対象化
- 自己托送に関しては、一般送配電事業者の系統側に逆潮させている実態があるため、課金対象と整理されている。
- 「発電側課金の導入について 中間とりまとめ(2023年4月)」においても、同内容が記載されている。
- 電力・ガス取引監視等委員会のホームページに関連情報を掲載し、周知が行われている。
発電側課金の未払いについて
- 電力・ガス取引監視等委員会事務局は、関係する小売電気事業者(全731社)に対し、発電側課金の取扱いに関する周知文を展開した。
周知した留意点
- 発電側課金の制度概要・趣旨について理解を促進すること
- 余剰電力の売却に係る入札参加時に、発電者に質問等をすることを促すこと
- 売却に伴う発電側課金の支払い位置づけを明確にし、双方の認識に齟齬がないようにすること
発電側課金の制度改善に関する意見
情報周知の改善要望
- アンケート及びヒアリングで、発電側課金についての情報周知改善の要望が多く寄せられた。
- 特に「関連資料が一つの場所にまとまっておらず探すのに苦労している」という意見があった。
- これを受けて、発電側課金関連の資料(中間とりまとめや転嫁ガイドライン)及びQ&Aを掲載する特設ページを作成し、アクセスしやすくするためのリンクを設けた。
発電者向け説明資料の作成
- 第100回制度設計専門会合で、発電契約者から「発電者への説明負担軽減のための資料整備要望」があった。
- ヒアリングで、小規模事業者は制度を知らないため、制度の趣旨と概要をコンパクトにした資料の提供を希望しているとのこと。
- これに基づき、関係各者と協力して説明資料を作成中であり、完成後に委員会及び各事業者のホームページに掲載予定である。
発電側課金の転嫁に関する認識の改善
- 一部発電事業者から「発電側課金を入札額に含めることができると認識していない」という事例が複数確認された。
- 第86回制度設計専門会合で既に整理済みの内容を、ホームページに再度掲載し周知を行った。
- 発電側課金は、卸電力市場での売電において入札額に含めることが想定されている。
発電側課金の転嫁整理表
| 市場取引 | 発電側課金の転嫁について |
|---|
| スポット市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| 時間前市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| 先渡市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| ベースロード市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| 容量市場 | 応札価格にkW課金分を織り込むことが可能 |
| 需給調整市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| 相対取引 | 取引価格に織り込むことが可能 |
一般送配電事業者に対する手続きの改善要望
主要要望と回答結果
- アンケート及びヒアリングで一般送配電事業者に対する改善要望が寄せられた。
- 送配電網協議会及び事業者に共有し、改善の可否を確認した。
要望の概要と回答結果
| 要望の概要 | 一般送配電事業者からの回答 |
|---|
| 相殺可否判定結果のプルダウン選択を他エリアと揃える | 対応可能、詳細は今後精査 |
| Excelファイルの統一化の要望 | 各事業者の立場により慎重な検討が必要 |
| 電子データの運用変更希望 | 既に対応済みまたは検討中の事業者がいる |
追加の要望と回答
要望の概要と回答結果
| 要望の概要 | 一般送配電事業者からの回答 |
|---|
| CSVとExcelのファイル形式統一の要望 | 各事業者の立場による差異があるため慎重な検討が必要 |
| 相殺不可の結果送信方法の改善要求 | 同様に慎重な検討が必要 |
| インボイス帳票の電子化希望 | 一部対応済みまたは今後の検討が必要 |
調査結果まとめ
今回のアンケート及びヒアリング調査において、発電から小売への転嫁を実施したくても小売側が応じないといった事案は確認されなかった。しかし、発電側課金制度の運用に関しては、一定の課題が浮き彫りとなったため、次年度のアンケート調査等においてさらなる状況確認を行う予定である。