2024年7月〜9月期 自主的取組・競争状態のモニタリング報告
この報告は、2024年7月から9月までの電力市場の動向を分析したものであり、電力・ガス取引監視等委員会が提出した内容である。報告は、電力市場における透明性を高めることを目的としている。
1. 市場価格の高騰
- 今期の卸電力市場価格は30円以上高騰した回数が29回であり、昨年同期の8回から大幅に増加した。
- 主な要因は以下の通りである:
- 7月〜8月:西エリアでの気温上昇による需要増加
- 限界費用の安い電源の停止
- 9月:残暑が厳しい中で市場分断状況の変化
2. スポット市場の動向
- スポット市場の約定量は704億kWhで、前年同期とほぼ同程度である。
- 時間前市場の約定量は21.1億kWhで、前年同期の1.3倍であり、旧一電が供給力提供通知を受けたことが影響した。
3. 卸電力市場の主要指標
| 指標 | 数値 | 前年同期比 |
|---|
| スポット市場約定量 | 704億kWh | 0.8倍 |
| スポット市場入札量 | 売り:1,106億kWh / 買い:937億kWh | 売り:1.0倍 / 買い:0.9倍 |
| 平均システムプライス | 14.2円/kWh | 前年同期:11.7円/kWh |
| 時間前市場の平均約定価格 | 14.9円/kWh | 昨年同期:13.2円/kWh |
4. 市場分断状況
- 市場分断発生率は、40%台および30%台の傾向が見られる。
- 特に、「北海道本州間」「東北東京間」「東京中部間」の分断率が前年比で約2倍に上昇した。
5. 各地域間連系線の潮流割合
| 期間 | 地域 | 北海道向き割合 | 東北向き割合 | 関西向き割合 | 四国向き割合 |
|---|
| 2024.7月 | 北陸-関西間 | 4.1% | 0% | 98.8% | 0% |
| 2024.8月 | 中部-北陸間 | 99.5% | 100% | 97.9% | 0% |
| 2024.9月 | 中国-九州間 | 100% | 0% | 99.5% | 0% |
6. 先渡市場取引における約定量・入札量の概況
概要
- 2024年7月〜9月の先渡市場の約定実績は200MWhであり、これは昨年6月以来の実績である。
約定量・入札量の詳細
約定量(単位: MWh)
| 項目 | 地域 | 合計 | 昼間型-週間 | 昼間型-月間 | 24時間型-週間 | 24時間型-月間 | 24時間型-年間 | 参考合計 | 前年同四半期 |
|---|
| 約定量 | 合計 | 200 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 東京 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 関西 | 200 | 0 | 0 | 200 | 0 | 0 | 0 | 0 |
売り入札量(単位: MWh)
| 項目 | 地域 | 合計 | 昼間型-週間 | 昼間型-月間 | 24時間型-週間 | 24時間型-年間 | 参考合計 | 前年同四半期 |
|---|
| 売り入札量 | 合計 | 450,104 | 62,328 | 374,136 | 13,640 | 0 | 1,492,382 | 0 |
| 東京 | 424,344 | 42,168 | 374,136 | 8,040 | 0 | 423,202 | 0 |
| 関西 | 25,760 | 20,160 | 0 | 5,600 | 0 | 1,069,180 | 0 |
買い入札量(単位: MWh)
| 項目 | 地域 | 合計 | 昼間型-週間 | 昼間型-月間 | 24時間型-週間 | 24時間型-年間 | 参考合計 | 前年同四半期 |
|---|
| 買い入札量 | 合計 | 129,742 | 101,472 | 0 | 28,270 | 0 | 5,538,148 | 0 |
| 東京 | 129,542 | 101,472 | 0 | 28,070 | 0 | 163,036 | 0 |
| 関西 | 200 | 0 | 0 | 200 | 0 | 5,375,112 | 0 |
7. 先物市場取引における約定量・入札量の概況
概要
- 電力先物の約定実績は、TOCOMで約1.6億kWh(昨対比1.6倍)、EEXで約205.0億kWh(昨対比5.4倍)であった。
TOCOMにおける約定量(単位: MWh)
| 項目 | 地域 | 合計当四半期 | ベースロード | 日中ロード | 参考合計前年同四半期 |
|---|
| 約定量 | 合計 | 155,381 | 145,320 | 10,061 | 96,602 |
| 東京 | 118,286 | 109,711 | 8,575 | 78,553 |
| 関西 | 37,094 | 35,609 | 1,486 | 18,049 |
EEXにおける約定量(単位: MWh)
| 項目 | 地域 | 合計当四半期 | ベースロード | ピークロード | 参考合計前年同四半期 |
|---|
| 約定量 | 合計 | 20,503,188 | 19,554,384 | 948,804 | 3,789,684 |
| 東京 | 14,123,460 | 13,566,792 | 556,668 | 3,209,916 |
| 関西 | 6,379,728 | 5,987,592 | 392,136 | 579,768 |
8. スポット市場価格の動向
期間中の要因
- 7月〜8月にかけて、西エリアでの気温上昇により市場価格が上昇した。
- その他、原子力・水力・石炭火力電源の供給減による影響もあった。
9. リンクブロック・ループブロックの取引状況
リンクブロックの約定状況
- 約定企業: 旧一電JERA1社、新電力1社
- 入札量: 約0.8倍(前四半期比)
- 約定率: 約2.8%
| 月 | 入札量 | 約定量 | 約定率 |
|---|
| 2024年7月 | 579,492 | 1,395 | 0.2% |
| 2024年8月 | 566,249 | 19,266 | 3.4% |
| 2024年9月 | 510,693 | 25,479 | 5.0% |
| 合計 | 1,656,434 | 46,140 | 2.8% |
ループブロックの約定状況
- 約定企業: 新電力1社
- 動向: 前四半期よりも入札量・約定量が減少。
10. 切出し状況
現状と進展
- 総設備容量: 約1200万kWのうち、約5%にあたる約61.9万kWが切り出し済み
- 前年比: 進展は見られない
| 電力会社 | 切出し量 | 協議の状況等 |
|---|
| 北海道電力 | 年間2億kWh程度 | 更なる切出しについては未定 |
| 東北電力 | 5万kW | 更なる切出しについては未定 |
| 東京電力EP | 3万kW | 更なる切出しについては未定 |
| 中部電力 | 1.8万kW | 切出し対象の電源については未定 |
| 北陸電力 | 1万kW | 切出し対象の電源については未定 |
| 関西電力 | 35万kW | 更なる切出しについては未定 |
| 中国電力 | 1.8万kW | 更なる切出しについては未定 |
| 四国電力 | 3万kW | 更なる切出しについては未定 |
| 九州電力 | 8万kW | 更なる切出しについては未定 |
| 沖縄電力 | 1万kW | 更なる切出しについては未定 |
11. 公営水力電気事業の競争入札状況
- 総設備容量: 約231万kW中、61%にあたる約140万kWは一般競争入札等で契約済み
- 増加理由: 2023年度で長期基本契約が終了した自治体が移行したため、前期比74万kW増加
| 事業体 | 水力発電所数 | 合計最大出力(kW) | 契約種別 | 落札者 |
|---|
| 北海道 | 5か所 | 50,500 | 一般競争入札 | SBパワー |
| 岩手県 | 10か所 | 133,170 | 公募型プロポーザル | 東北電力フロンティアなど |
| 秋田県 | 12か所 | 92,900 | 公募型プロポーザル | 東北電力フロンティアなど |
| 山形県 | 6か所 | 50,700 | 公募型プロポーザル | 東北電力フロンティアなど |
| 合計 | - | 1,400,171 | - | - |
12. 長期契約の解消状況
現状の概要
- 期中解約の動き: 公営自治体から旧一電への期中解約に関する申し入れは見られない
- 契約満了自治体の取り組み: 一般競争入札や公募型プロポーザルへの移行を予定
13. 旧一般電気事業者の相対取引状況
- 相対取引の割合: 総需要の10.7%(81.14億kWh)
- 新電力需要: 新電力への相対取引は36.9%
相対取引の詳細
| 取引種別 | 割合(%) | 販売量(kWh) |
|---|
| グループ外への相対卸供給 | 7.5% | 56.88億kWh |
| その他 | - | - |
14. スイッチング動向
スイッチング率の現状
- 2024年9月時点で、全国のスイッチング率は**22.7%**であり、旧一般電気事業者から新電力へのスイッチングは横ばい傾向にある。
各エリアのスイッチング率(2024年9月)
| エリア | スイッチング率 |
|---|
| 北海道 | 21.1% |
| 東北 | 13.6% |
| 東京 | 31.7% |
| 中部 | 19.8% |
| 北陸 | 6.6% |
| 関西 | 25.3% |
| 中国 | 11.6% |
| 四国 | 12.2% |
| 九州 | 14.9% |
| 沖縄 | 10.9% |
| 全国 | 22.7% |
年度ごとのスイッチング率推移
- 年度ごとのスイッチング率は、2020年度をピークにその後減少を続けている。2023年度は顕著な減少が見られ、特に関西・九州・沖縄エリアでは、前年度比で約2ポイントの減少が記録された。
低圧料金の平均単価推移
- 2023年には、規制料金が値上げ改定された影響で、規制料金は自由料金の水準を上回る状況が続いている。
電力市場・ガス市場のモニタリング
- 電力市場におけるモニタリングは、期間を通じて定期的に実施されており、特にスイッチング動向や低圧料金の推移が詳細に報告されている。
- 旧一般ガス事業者の相対取引状況についてもモニタリングが行われており、都市ガスの小売供給量に対する相対卸供給量は約**10%**と算出されている。
スタートアップ卸の利用状況
- 旧一般ガス事業者が新規参入者支援のために実施している「スタートアップ卸」について、これまでに多くの問い合わせがあり、契約交渉も行われている。
| 卸元事業者名 | 問合せ件数 | 契約締結済 | 契約交渉中 | 契約交渉終了 |
|---|
| 東京ガス | 23件 | 4件 | 0件 | 19件 |
| 大阪ガス | 13件 | 4件 | 2件 | 7件 |
| 東邦ガス | 12件 | 2件 | 1件 | 9件 |
| 北海道ガス | 17件 | 2件 | 3件 | 12件 |
| 静岡ガス | 18件 | 6件 | 4件 | 8件 |
| 西部ガス | 16件 | 4件 | 1件 | 11件 |
| 広島ガス | 6件 | 1件 | 0件 | 5件 |
| 仙台市ガス局 | 9件 | 0件 | 3件 | 6件 |
| 日本ガス | 5件 | 1件 | 0件 | 4件 |
| 計 | 119件 | 24件 | 14件 | 81件 |
以上が、2024年7月から9月までの電力市場に関する詳細な報告である。このデータは、今後の市場動向を把握する上で重要な情報となる。