需給調整市場(三次調整力②)の運用状況報告
目的・背景
本資料は、経済産業省が提出した「需給調整市場(三次調整力②)の運用状況」に関する報告である。第68回制度設計専門会合において、需給調整市場が2021年4月1日から開始されたことに伴う運用状況を説明している。
主要な検討内容・論点
需給調整市場の開設
- 開始日: 2021年4月1日
- 三次調整力②の取引が開始され、報告内容は2021年4月から11月までの市場の運用状況と取引の分析に関するものである。
三次調整力②の目的
- 太陽光発電の予測外れに対応するため、広域的に調達される仕組みが導入された。
- この仕組みにより、全国の電源の最適化と競争の促進を図り、調達費用の低減を目指す。
調達の仕組みと運用状況
調整力の種類と特性
以下の表に各調整力の特性を示す。
| 英呼称 | 一次調整力 | 二次調整力① | 二次調整力② | 三次調整力① | 三次調整力② |
|---|
| 指令制御 | オンライン自動制御 | オンライン信号 | オンライン信号 | オンライン信号 | オンライン |
| 回線 | 専用線監視 | 専用線 | 専用線 | 専用線簡易指令 | 専用線または簡易指令 |
| 応動時間 | 10秒以内 | 5分以内 | 5分以内 | 15分以内 | 45分以内 |
| 継続時間 | 5分以上 | 30分以上 | 30分以上 | 3時間 | 3時間 |
| 最低入札量 | 5MW | 5MW | 5MW | 5MW | 5MW |
三次調整力②の取引状況
- 2021年4月1日から11月30日までの全国の募集量と応札量を日別に分析した結果、応札量が募集中の量を概ね上回る傾向が見られた。
- 特に、8月以降は全体として応札量が安定している。
全国の募集量・応札量の推移
| 日付 | 募集量(MW) | 応札量(MW) |
|---|
| 2021/4/1 | XX | XX |
| 2021/5/1 | XX | XX |
| ... | ... | ... |
エリア毎の状況
- エリア別の募集量・応札量は、全体として秋口に増えたが、11月には東北、北陸、九州で応札量が少ない傾向が見られた。
- 現在の市場参加者数は14者である。
今後の予定・課題
- 三次調整力②の調達費用は、2021年4月から11月までに約784億円かかったとされる。
- 価格規律の見直しにより、次年度の年間費用は数百億円の増加が予測される可能性があるため、将来の調達コストをモニタリングする必要がある。
需給調整市場における入札価格等の分析及び評価
概要
需給調整市場については、競争が限定的であるケースが予想され、適切な価格形成が重要となる。このため、不適正な取引を防ぐための措置が求められる。
取引の適正化に向けた措置
-
事後的措置:
- 電気事業法に基づく業務改善命令により、不適切な取引に対して是正が行われる。
-
事前的措置:
- 市場支配力を持つ事業者に対して一定の規範に基づいて入札を行うよう要請する。
需給調整市場における措置の全体像
| 対象事業者 | 法的措置 | 上乗せ措置 |
|---|
| 大きな市場支配力を有する事業者 | 業務改善命令等による事後的措置 | 入札価格の規律の遵守を求める事前的措置 |
| それ以外の事業者 | なし | なし |
電気事業法に基づく措置(事後的措置)
業務改善命令に基づく行為
-
適正な電力取引については「適取GL」に規定されている。
-
望ましい行為:
- 競争的市場で合理的な価格で入札することが求められる。
-
問題となる行為:
- 相場操縦:
- 市場相場を意図的に操作する行為(例:持続的高値での入札、誤解を招く情報の拡散など)。
需給調整市場における事前的措置
事前的措置の内容
- 市場支配力を有する事業者に対し、合理的な価格での入札を求める。
- 具体的な内容は「需給調整市場ガイドライン」に記載。
需給調整市場ガイドライン(抜粋)
-
調整力kWh市場:
- 予約電源以外への価格設定基準。
- 予約電源は限界費用以下に登録される。
-
調整力AkW市場:
事前的措置の対象とする事業者の範囲
対象事業者の評価基準
- 2021年度の対象事業者は、2019年度のGC時点の分断実績に基づく。
- 年間評価による市場シェアが20%以上の事業者が対象となる。
2021年度の事前的措置の対象事業者
| 地域 | 事業者 | 市場シェア |
|---|
| 6月〜9月 | 北海道電力 | 100% |
| 東京電力 | 70.0% |
| 東北電力 | 23.1% |
| 中部電力 | 33.0% |
| 関西電力 | 26.6% |
| 九州電力 | 16.4% |
| その他 | 0.4% |
| 10月〜5月 | 北海道電力 | 100% |
| 東京電力 | 70.0% |
| 東北電力 | 23.1% |
| 九州電力 | 100% |
| 中部電力 | 39.5% |
| 関西電力 | 31.9% |
| その他 | 0.1% |
このように、需給調整市場における取引の適正化と市場競争の活性化に向けた具体的な措置が規定されている。