電力中央研究所が開発した系統運用制約付き電源起動停止計画(SCUC)プログラムは、需給と送電容量を同時に考慮し、電源の起動停止・出力配分と潮流を最適化するものである。全国基幹系統の試算では、連系線に加えて地内送電線の運用容量も考慮すると、潮流超過箇所は大幅に減る一方、再エネ抑制と火力発電の増加により運用コストが上昇した。これは政策決定ではなく、設定した将来シナリオに基づく試算結果である。
| ケース | 運用容量の考慮範囲 | 潮流超過箇所 | 試算で確認された点 |
|---|---|---|---|
| Case 1 | なし | 504 | 多数のブランチ、とくに連系線で超過 |
| Case 2 | エリア間連系線 | 125 | 連系線超過は解消するが、地内系統に残存 |
| Case 3 | 連系線+地内送電線 | 16 | 地内系統の超過も大幅減少。火力増・再エネ抑制でコスト上昇 |
Case 3ではCase 1に比べ、火力発電量が24%増、再エネ発電量が10%減となり、火力燃料費は1兆2,000億円から1兆3,600億円へ増加した。潮流超過を許容しない条件では実行可能解が得られない場合があり、超過量または需要抑制量をペナルティ変数として扱うことで、違反量を抑えた解を得る方法が示されている。
プログラムは、需要・固定供給力・火力や貯水式水力などの調整電源・再エネ・蓄電設備と、交流・直流送電設備のデータを用いる。需給バランスを保ちながら、発電費、起動停止費、CO₂対策費と制約違反のペナルティ費用を最小化する。出力上下限、出力変化速度、最低運転・停止時間、起動回数、予備力・調整力、ネットワーク潮流、系統慣性などを扱う。
燃料消費は出力の二次関数で表し、計算高速化のため凸の区分線形関数で近似する。系統混雑、需要抑制、予備力・調整力不足は、量に重みを掛けたペナルティとして目的関数に加える。ペナルティ法は制約違反が避けられない場合にも違反量を抑える解を可能にする一方、重み係数の設定が複雑で、収束性が悪化する懸念がある。
試算は、広域機関のマスタープラン検討を基にした将来需給・系統データを用い、9エリア、1,191ノード、1,384ブランチ、1,750電源ユニットで実施した。需要は従来需要8,050億kWhに、電化需要増2,607億kWhと脱炭素・エネルギー転換に伴う増加1,828億kWhを加味し、太陽光約260GW、陸上風力約41GW、洋上風力約45GWなどの電源構成を想定した。調整力は各時間断面でエリア需要の8%分を確保する設定であり、資料は将来の必要量を議論中として現行相当の数値を用いている。
このモデルは有効電力を中心に潮流を扱う。電圧や安定度を直接考慮した大規模SCUCの適用は技術的に困難とされる。したがって、試算結果は前提とモデル範囲に依存し、実系統の運用判断や将来実績そのものを示すものではない。
資料は、SCUCにより系統混雑に伴う電源の持ち替え、運用コスト、系統慣性の変化を定量分析できることを示す。再エネ比率の上昇は同期機の並列容量と系統慣性を減らす方向に働き、混雑処理に伴う火力の並列増加は慣性を増やす方向に働くとの評価例も示された。SCUC後に起動停止状態を固定して線形計画問題を解き、需給バランス制約の双対値からノード別限界費用(LMP)を算出する例もある。これらは試算・機能例であり、資料中に制度上の決定や導入時期の提示はない。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「系統運用制約付き電源起動停止計画に基づく電力需給・潮流最適化プログラム」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
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