同時市場の中核となる電源起動・出力配分(SCUC・SCED)について、全国の需給・系統を2030年頃の想定で模擬し、ロジックの実現性と妥当性を第三者検証する方針である。2023年8月に技術検証会を設置し、電力中央研究所のSCUCツールをベースに検証を進める。技術検証会は機微情報を扱うため非公開とし、機微情報を除いた議論内容を後日、公開の検討会に報告する。
評価は、①解が収束するか・計算時間がどの程度かという実現性、②目的関数値が下界値に近いか、算出された電源構成・出力配分で実際の需給・系統運用が可能かという妥当性を組み合わせる。汎用PCによるシミュレーションのため、計算時間は絶対的な実装可否ではなく相対評価となる。ベースモデルとカスタマイズモデルの所要時間を比較し、結果の出力時間も評価対象とする。
系統は2021年度供給計画の最終年度に当たる2030年度を想定し、9エリア、1,384ブランチ、1,191ノード、1,750電源ユニットで主要な広域連系系統を模擬する。需給データは春・夏・冬の各2週間を対象とし、予備力7%・LFC調整力2%を確保する条件で検討する。需要、再エネ、固定供給力は将来想定を2019年度実績等で補正し、火力・揚水等の調整電源は設備量や出力帯ごとに諸元を平均化する。機微情報保護と計算上の扱いやすさを考慮した設定であり、技術検証会では平均化の程度や、より実態に近いデータでの確認も論点となった。
電中研SCUCツールは、需給・系統データを用いて系統混雑を考慮した全国一括の電源運用を最適化する。出力上下限、起動停止・継続時間、揚水等の貯蔵量、需給バランス、予備力・調整力、送電容量などの制約を扱える。次期中給システムは現行制度を前提に調整力kWh費用を最小化する設計であり、市場前提が変われば目的関数・制約・入力データの見直しが必要との整理である。
| 論点 | 検証・設計上の要点 | 状態 |
|---|---|---|
| 買い入札 | 価格弾力性を需要に反映し、総電源エネルギー費用と価格反応需要価値を最小化する方式を模擬。従来の固定需要方式との解・計算負荷を比較する | 検証予定 |
| 週間運用 | 長い起動時間や揚水・蓄電池の期間運用を扱うため、対象期間を約1週間に拡張する。計算負荷を抑える簡易手法も検討する | 検証予定 |
| kWh・ΔkW同時最適 | 調整力費用を目的関数に含め、商品区分・必要量・リソース能力を制約として設定する。再エネ予測誤差への対応も含む | 初期検証は予備力7%・LFC2%の簡易区分、追加価格情報なしで着手。詳細化は後続検討 |
| セルフスケジュール・系統制約 | 経済差し替えの扱いと、混雑時にΔkWを発動できる送電余力の確保を検討する | まず差し替え案①・②を検証。kWhのみの混雑処理とΔkWを含む処理を比較予定 |
週間運用は、揚水等の貯蔵制約を含む複数期間の一括計算が必要となり、日単位の計算より収束が難しくなる可能性がある。PJMの逐次反復型手法ではフル最適化より5〜7倍速い例が示されており、日本でも最適性との兼ね合いを検証する。調整力の細分化は、現行の需給調整市場の複合約定をそのまま同時最適に組み込むことが難しい可能性があるため、定義・必要量・再エネ変動対応を別途検討する。
セルフスケジュール電源の差し替えでは、差し替え希望電源をThree-Part情報で入札する案、買い入札と対象電源を紐づける案、入札需要で価格を決めた後に差し替えを登録しTSO予測需要で追加起動する案などが示されている。検証Aでは、当初は固定供給力以外の固定運転を置かないデータで案①を確認し、続いて差し替え用の買い入札を模擬する案②を検証する。案③は複数段階の処理となるため、計算速度・事業者実務・安定供給への影響を含む検討が必要である。
起動費・最低出力費用を含めて電源を最適化しても、需給バランス制約のシャドウプライスに基づく市場価格には限界費用のみが反映される場合があり、起動費等を市場内で回収できないことがある。検証Bでは限界費用・平均費用・ΔkW考慮など複数の価格算定を比較し、価格の平均・変動性とUplift(回収漏れ費用の補填)の発生量を調べる。検証Aでも、Upliftを抑える価格算定ロジックの研究動向と実装可能性を並行して検討する。技術検証会では、データの現実性、ペナルティ項の扱い、最適化時間と出力時間の区別、ΔkWの制度設計と価格規律との整合、逸失利益の補填などが主な論点として挙がった。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「同時市場における電源起動・出力配分ロジックの技術検証(検証A)の進め方等について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
本サービスで提供される審議会資料は、各府省庁が公開している情報を公共データ利用規約(PDL1.0)に基づいて利用しています。詳細はデータソースページをご確認ください。
Policy Scope
関連する審議会・政策資料を継続的に収集し、AI要約と一次資料をまとめて確認。重要な変更を事業判断と社内共有につなげられます。