電力市場における技術検証に関する資料
概要
本資料は、2023年9月20日に資源エネルギー庁および電力広域的運営推進機関(OCCTO)によって発表された、同時市場における電源起動・出力配分ロジックの技術検証に関するものである。主に次期中給システムの実装や需給調整のためのアプローチについて検討されている。
目的・背景
- 本資料は、次期中給システムに関する計画やロジックについて、需給調整や発電に関する要素を最適化するためのアプローチを説明している。
- 第1回本検討会(2023年8月3日)において、約定ロジックの設計や実現性、妥当性への検証、及び事業者の実務への影響を分析することが示された。
- 同時市場の仕組みを具現化するために、専門家による第三者検証体制の設置が決定された(2023年8月30日)。
技術検証の概要
検証範囲
技術検証会では、以下の項目を中心に検証が行われる:
- 約定ロジックの設計、実現性、妥当性
- 電源起動・出力配分(SCUC・SCEDロジック)
- 価格算定方法が市場価格に与える影響
検討する項目
- 同時市場に関するロジック技術検証の進め方
- 入力データの整備
- アウトプットの評価方法
- ロジックのカスタマイズ
技術検証の進め方
- 電源起動・出力配分(SCUC・SCED)ロジックの検証を行い、高度な計算による事前検証を実施する予定である。
- 主な考慮事項:
- SCUC・SCEDロジックの買い入札考慮
- 週間運用の実施可能性
- 変動性再エネの出力変動への対応
入力データの整備
基幹系統データ
- 2030年度供給計画に基づいた全国基幹系統データを模擬:
- エリア数:9
- ブランチ数:1,384
- ノード数:1,191
- 電源ユニット数:1,750
需要データ
- 2030年度における年間電力需要:8,640億kWh
- シミュレーションケースは春期・夏期・冬期各2週間を想定している。
アウトプットの評価方法
- 算出された電源ラインナップおよび出力配分量を基に、解の収束性に基づく計算時間の評価も行う予定である。
今後の予定
- 技術検証の結果は後日「同時市場の在り方等に関する検討会」で報告される予定である。
重要な参加者
技術検証会は以下の参加者によって構成される:
- 金本良嗣(政策研究大学院大学)
- 河辺賢一(東京工業大学)
- 小宮山涼一(東京大学)
- その他、複数の企業および団体の専門家が参加。
課題・リスク
- 計算対象期間が延長することによる計算時間の増加や収束性が犠牲になるリスクがあるため、実現可能なロジックの設計が求められている。
重要な数値・データ
以下の表は、システムの最適化やコストに関する要素を整理したものである。
| 制約条件 | 詳細 |
|---|
| 全国の需給一致制約 | 必要需給を全て満たす基準 |
| 各母線の需給一致制約 | 母線ごとの需給調整 |
| 電源の機器制約 | 最大・最小出力等の制約条件 |
本資料は、次期中給システムの実装に向けた技術的な枠組みを検討し、多様な需給条件に適応したシステム設計を進めるための参考情報を提供するものである。
技術検証における主要な検討内容
次期中給システムのSCUCロジックにおいては、需給一致制約や系統制約を満たし、需給調整に係る費用を最小化する最適化演算の仕組みが実装される予定である。現行制度に基づく需給調整市場を前提とし、調整力のkWhコスト最適化も図るロジックで開発が進められ、以下の方式で需給計画を作成する。
需給計画の作成方法
-
用いる手法
- 送電ロスを考慮した直流法の最適計算を使用
- 各送電設備の送電ロス率は、時刻ごとの系統モデルから算出される
- 固定供給力として扱う発電量・動力量は、需給計画の対象外となる
-
制約条件
- 全国の需給一致制約
- 各母線の需給一致制約
- 電源の機器制約(最大・最小出力等)
-
調整力確保量の算定方法
- DR・アグリゲーションの指示値をエリアごとに集約可能
価格算定の方法による市場価格等への影響の検証
- 作業部会では、価格算定に関する複数の案が提示され、検証が進められている。市場価格の平均値やボラティリティが計測され、以下の価格算定方法が実施される:
- 限界費用や平均費用での価格算定
- ΔkWを考慮した価格算定
起動費や最低出力費用の回収漏れ
- 起動費や最低出力費用に関して回収漏れの論点が存在している。
調整力の定義及び細分化
- 同時市場の検討では、社会的余剰の最大化を目指し、kWhとΔkWの同時最適化が考慮されており、2024年度には、需給調整市場で調整力が細分化される見込である。
まとめ
本資料は、電力市場における価格算定及び調整力の定義に関する詳細な検討を行っており、今後の市場設計に向けた重要な方向性を示している。調整力の細分化やkWh・ΔkW同時最適ロジックの実現に向けて、継続的な検証・議論が求められている。