事務局は、規制料金の事業報酬算定に用いる自己資本比率を30%とする前回整理を維持する妥当性を示した。30%は、公益事業の実績等から試算した目安約35%、海外電力会社の水準(約25~32%)、各社の目標などを踏まえて前回設定された水準である。今回の整理では、自由化後の競争や資源価格変動で小売事業のリスクが高まったこと、各社の資金調達が借入・社債に偏り、貸手が財務健全性を重視することを追加の根拠とした。クレジットアナリストへのヒアリングでも30%は肯定的に受け止められたとしている。事務局は、自己資本を厚くすることが事業継続性と中長期的な需要家保護につながると整理した。
| 論点 | 資料の整理 |
|---|---|
| 算定上の扱い | 事業報酬率は自己資本報酬率と他人資本報酬率を30:70で加重平均する。今回、30%を維持する妥当性を提示した。 |
| 30%の根拠 | 事業リスクへの備え、負債調達における信用力、従前の試算・国内外の比較、アナリストの反応。 |
| 見直し条件 | 資金調達環境などに大きな変化が確認された場合は柔軟に見直すという前回の整理を継続する。 |
自己資本報酬率は通常、他人資本報酬率を上回るため、自己資本比率が30%未満の事業者は、規制料金の事業報酬により差益を得る構造となる。事務局は、この差益が利益剰余金を積み増し、自己資本比率を30%に近づける効果を持つと説明した。ただし、過剰な株主還元や、自己資本比率を意図的に下げる資本政策があれば効果は弱まるため、算定上の水準だけで改善が保証されるわけではない。趣旨に明らかに反する行動が確認された場合、算定に用いる目標水準の見直しを検討する案が示された。
モニタリングでは、各社の自己資本比率目標、株主還元方針、資本政策を確認した。多くの社は直近数年で20~25%以上、中長期で25~30%以上を掲げている。30%未満の目標を掲げる一部事業者は、経営計画の期間中に急激な引上げを約束できないため、計画上の目標を設定している一方、中長期には目標を超える水準も目指したいと説明した。目標はステークホルダーとの対話を経た経営判断であるため、国が急激な引上げを求めるのは適切でないと整理された。中部電力を除く各社は自己資本比率の引上げをステークホルダーにコミットしており、過剰な株主還元など改善を損なう行動は確認されなかった。
2023年度は旧一電全社が黒字となったが、財務基盤の回復を優先し、配当性向は平均8.1%であった。各社の方針は財務状況等を勘案した配当であり、同年度の負債残高にも特異な動きは確認されなかった。資本金等に大きな変動があったのは九州電力のみで、優先株式の発行は財務基盤強化と必要資金の確保を目的としていた。過去の資金調達も、九州電力の優先株式リファイナンスを除き、必要資金は原則として負債で調達していた。
東日本大震災後の悪化からは回復し、直近で格上げとなった事例がある一方、金利上昇、2025年3月末の一般担保付社債の経過措置終了、CO₂多排出企業への融資厳格化など、負債調達上の懸念も確認された。事務局は、現時点で30%の見直しを要するほど大きな環境変化は確認されていないとし、当面は水準を維持する考えを示した。
今後は、自己資本比率の目標、配当、資本政策、資金調達環境を次年度以降も継続確認し、次回は翌年同時期の料金制度専門会合で報告する予定である。目標水準の見直しは決定事項ではなく、モニタリングで趣旨に反する行動等が確認された場合に検討する扱いである。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「電気の規制料金の審査を踏まえた対応について②(事業報酬の算定における自己資本比率に係る確認)」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_electricity.html)をもとに当社作成
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