本資料は、GX投資を促す「成長志向型カーボンプライシング構想」と、排出量取引制度の設計に先立つ法的課題研究会の目的を示すものである。20兆円規模の先行投資支援と、負担を段階的に高めるカーボンプライシングを組み合わせ、官民で150兆円超のGX投資を目指す。制度導入の時期は、GXリーグでの試行(2023年度)、排出量取引の本格稼働(2026年度)、化石燃料賦課金(2028年度)、発電事業者への有償オークション(2033年度)と整理されている。
GX推進法は、先行投資支援や将来の賦課金・排出枠負担金の枠組みを規定する。2026年度の制度本格稼働に向けては、大企業の参加義務化、削減目標の認証、遵守規律の強化などを視野に法定化を検討する段階であり、具体的な制度設計は未確定である。
研究会は、EU等の排出量取引制度と国内のJ-クレジット等を日本の法体系に当てはめ、憲法・行政法・私法上の論点を抽出して学術的・実務的に整理する。主な論点は、営業の自由・財産権との関係、事業者義務の行政法上の性質、排出枠の法的性質、取引の安全である。制度の具体的設計自体は研究会の対象外であり、成果を踏まえて別途検討する予定である。5月から秋以降にかけ、憲法、行政法、私法、取引の法的在り方の順に論点整理と考え方の案を扱い、報告書をまとめる予定である。
排出量取引の設計には、対象を設備・施設・組織のどの単位にするか、排出枠をベンチマーク方式(BM)または過去実績に基づくグランドファザリング方式(GF)で割り当てるか、バンキング等の柔軟性を認めるかという選択肢がある。価格変動への対応にも、価格上限・下限等の価格的措置と、排出枠の供給・吸収を調整する量的措置があり、制度によって組合せが異なる。
| 制度 | 主な特徴 | 柔軟性・規律 |
|---|---|---|
| EU-ETS | 設備単位。発電は全量有償、産業はカーボンリーケージリスク等に応じ無償割当。対象は発電・産業・航空・海運で、カバー率は2021年に38%。 | バンキングを認める。市場安定化リザーブ等で供給量を調整し、違反には排出量1トン当たり100ユーロ(物価上昇分加算)のペナルティ。 |
| K-ETS | 組織・施設を併用。GFとBMを併用し、対象セクターが広く、カバー率は2020年に74%。 | バンキング、ボローイング、限定的な外部クレジットを認める。違反ペナルティは当該年度の排出枠平均市場価格の3倍以下。 |
| 豪州セーフガード | 年間10万トン以上を排出する施設が対象。ベースライン未満の削減でクレジットを創出する仕組みを2023年に導入。 | バンキング、ボローイング、ACCUsの利用が可能。 |
EUでは排出実績が上限を下回った時期を受け、バックローディングや市場安定化リザーブを導入し、価格安定化策を改正してきた。また、CBAMは2023年10月に報告義務が始まり、輸入課金を2026〜2034年に段階導入する計画である。対象製品の排出量等に応じて証書購入を求め、EU域外で支払われた炭素価格は証書価格から控除できる。
J-クレジットは法律ではなく実施要綱に基づき、3省が運営する国内制度である。対策をしなかった場合のベースライン排出量と事業実施後排出量との差を認証し、省エネ・再エネ・森林管理等の取組を資金循環につなげる。JCMはパートナー国での削減・吸収を日本の技術協力等で実現し、両国のNDC達成に活用する枠組みであり、相当調整により二重計上を避ける。
東証のカーボン・クレジット市場は2023年10月にJ-クレジットを対象として開設された。2024年5月10日までの約定は276,422トン、総額約7.3億円であり、5月15日時点の登録参加者は278者である。海外の排出枠市場では、政府オークション等の一次市場と現物・デリバティブを扱う二次市場が整備され、EUでは仲介事業者等も参加する一方、韓国では仲介事業者の参入が一部制限されている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「GX実現に向けた排出量取引制度の検討に資する法的課題研究会の趣旨等について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/gx_implementation/index.html)をもとに当社作成
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