本資料は、2026年度の本格稼働を見据えた制度設計に向け、行政法上の論点と考え方を整理した骨子案であり、具体的な制度の決定ではない。排出枠と償却義務を「排出の許可」と「排出量に応じた償却義務」のどちらか一方に限定せず、必要な規制内容を具体化した上で、両方の性格を持たせる構成も検討対象とする。排出枠の行政法上・民事法上の整理は整合させ、条文に落とし込める形で検討する必要がある。
個々の事業者の権利義務を形成する無償割当量の決定・割当や実効性確保措置は、取消訴訟の対象となる処分と考えられる。一方、割当算定基準の策定自体には処分性が認められないとの整理であり、その段階では訴訟による救済ができないため、意見公募や審議会等を通じた関係者・専門家の意見聴取と、意見の反映状況が分かる透明性が重要となる。基準はエビデンスに基づき合理的に策定する。
| 論点 | 骨子案の整理・方向性 |
|---|---|
| 不服申立て | 不服申立前置は訴訟前の手続を追加する例外であり、採用には相応の説明が必要。割当決定の行政裁量が小さければ、前置や特別な不服申立制度の必要性は低い。 |
| 無償割当量の決定 | 大量の処分を想定し、申請内容を明確な計算式等に当てはめて非裁量的に決めることが望ましい。恣意や違法処分、訴訟の多発を抑える狙いである。 |
| 第三者認証・検証 | 専門性を備えた機関が割当量を認証し、排出量を検証する。行政庁は機関を監督し、最終決定では認証・検証結果に拘束されない仕組みとする。誤りがあった場合の第三者機関の責任も検討課題である。 |
償却義務の不履行には、未償却排出枠の価格に比例した経済的不利益が有効とされる。環境法令の罰金水準を踏まえると、高額罰金は難しく、課徴金が適切との考え方である。課徴金額の算定、事前手続保障、罰金を併科する場合の金額調整は今後の検討事項である。
韓国のK-ETSでは、総量をセクター別・事業者別に配分するため、同一セクター内で割当を巡る異議申立てや訴訟が多く生じている。日本でも総量を厳格に設定して事業者間で配分すると、他社への割当処分を争う原告適格が認められる可能性があり、制度開始時から訴訟が相次ぐおそれがある。運用知見が十分でない初期段階では、信頼性と法的安定性に配慮した設計が必要との指摘である。
事業者から取得する情報の公開範囲は経営戦略に関わる論点である。また、既存の企業会計基準は企業に排出削減義務がないことを前提とするため、本制度で削減が義務付けられる場合、排出枠取得の会計処理の見直しが必要になると考えられる。本骨子案は諸外国の制度を日本の法体系に当てはめた法的課題の整理であり、2026年度からの本格稼働に向けては、具体的な制度設計を踏まえた追加検討が必要である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「【骨子案】排出量取引制度の法的課題とその考え方(行政法)」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/gx_implementation/index.html)をもとに当社作成
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