IMOは2025年4月の第83回海洋環境保護委員会(MEPC83)で、国際海運のGHG削減に向けた条約改正案に基本合意した。これは採択済みの制度ではない。資料作成時点では2025年10月の採択を目指しており、成立すれば最速で2027年3月頃に発効し、2028年から適用する予定である。対象は5,000GT以上の外航船舶である。
MEPC83参加103か国の審議時点の立場は賛成63、反対16、棄権24であった。採択時の投票権は条約締約国に限られ、資料は賛成多数を見込む一方、採択が確実とはしていない。賛否が割れている島嶼国・アフリカ諸国の理解を得ることが課題である。
改正案は、燃料のGHG強度に二つの基準値を設ける。基準値①を超える部分には広く負担金①を課し、その収入をゼロエミッション燃料船への報奨などに充てる。より厳しい基準値②を超える船は、負担金②の支払い、または他船との相殺によって規制適合とみなされる。負担金②では、過年度の超過達成分を最長2年繰り越して相殺することも可能である。
| 区分 | 目的・条件 | 2030年までの負担金単価 |
|---|---|---|
| 負担金① | 基準値①超過分から徴収し、報奨等の収入を確保 | 100 USD/tCO₂e |
| 負担金② | 基準値②超過分に適用し、基準値達成を促す。支払いか他船との相殺を選択 | 380 USD/tCO₂e |
基準値①は基準値②よりGHG強度が13%低い。ベースラインは93.3gCO₂e/MJであり、基準値②の削減率は2028年の4%から2035年の30%へ段階的に強化され、2040年には65%となる。基準値①は2028年の17%から2035年の43%へ強化される。報奨の対象は、GHG強度が2028~2034年は19gCO₂e/MJ以下、2035年以降は14gCO₂e/MJ以下の燃料で、アンモニア、メタノール、合成燃料、バイオ燃料などが例示されている。報奨額は2027年3月までにIMOが決定し、5年ごとに見直す予定である。
負担金だけで規制適合する場合、重油1トン当たりの負担は、2028年使用分で負担金①約49ドル、負担金②約91ドル、2030年時点ではそれぞれ約49ドル、約148ドルと試算されている(重油価格600ドルの場合、2028年は価格の約8%・15%、2030年は約8%・25%)。IMO基金の収入は2030年に年約100億ドルと見込まれる。低排出燃料の削減費用は、多くの場合、負担金①より高く負担金②より安いとの推計が示されているが、将来の燃料価格は市況により大きく変動しうる。
各国の主な対立は、課金の導入、途上国航路への優遇、途上国支援の規模である。合意案は、途上国支援にも使える収入を見込む仕組みとする一方、途上国航路を優遇せず世界一律に適用する。採択に向けては、この制度への支持を広げる必要がある。
資料は、条約改正案と並行する国内の取組として、水素・アンモニア燃料船の技術開発・実証、生産設備整備への支援、国際基準づくりを挙げる。大型アンモニア燃料船は2026年に実証運航、2028年までに商業運航、水素燃料船は2027年に実証運航、2030年以降に商業運航を目指す計画である。これらは計画・目標であり、条約改正案の採択や発効とは別の国内準備として示されている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「国際海運におけるゼロエミッション船の導入促進のための条約改正案に合意 〜国際海事機関 第83回海洋環境保護委員会の結果〜」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/methanation_suishin/index.html)をもとに当社作成
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