資料は、排出量取引制度の制度設計に関わる行政法上の論点を提示した検討資料であり、結論や制度案は確定していない。中心となる未決論点は、事業者が排出量と同量の排出枠を償却する義務を「排出許可」と捉えるか、「排出後に履行する行為義務」と捉えるかである。
| 整理案 | 主な論点 |
|---|---|
| 許可を前提とする | 排出枠を許可された排出量とみなす。ただし、排出枠は行政庁の個別認可なしに譲渡でき、対象事業者以外も取得し得る。また、排出を一般的に禁止する許可制がGX推進法の目的と整合するかが問われる。 |
| 行為義務を前提とする | 一定量以上を排出する事業者に、期限までに排出量相当の排出枠を償却させる。排出枠は義務の履行手段となるが、この構成が可能かは未決である。 |
諸外国でも償却義務は設けられているが、排出枠を排出する権限、認可、金融商品として取引可能な行政法上の権利などと捉える例があり、取引に行政庁の承認を要しない制度もある。
無償割当量の個別決定や実効性確保措置は、事業者の法的地位に影響する行政処分となり得る。処分性が認められる場合の抗告訴訟、不服申立前置や専門の不服申立機関の要否が検討課題である。行政裁量を立法で可能な限り狭めれば、特別な不服申立制度等を設けない選択肢も示されているが、結論は出ていない。割当総量や算定基準の策定は、個別の割当量が決まる前には処分性が認められない可能性があり、その場合も利害関係者の意見聴取などの権利保護手続が必要かが論点である。
EU・韓国・カリフォルニアでは、割当計画や方法の策定・変更に専門家の意見聴取、公聴会、公開ワークショップ等を設けている。K-ETSでは制度開始時、無償割当通知を受けた525社のうち243社(46.3%)が異議申立てを利用した。セメント会社間の訴訟では、割当処分が平等原則違反等を理由に取り消された例がある。資料は、制度開始当初に全体・部門別の上限を厳格に設定し、その枠内で配分すると、事業者の法的地位が不安定になり得ると指摘する。
割当てや違反措置では、平等原則に反する処分や訴訟を防ぐ観点から、行政裁量をどこまで限定するかが論点である。割当てでは基準活動量・排出量の事実誤認や同条件の事業者間の不平等、違反措置では報告排出量の誤認や同程度の違反に対する取扱いの差が審査上の考慮事項として挙げられる。第三者認証・検証の結果に行政庁が拘束されるかも未決である。
償却義務違反への海外措置には、EUの不足量1tCO₂e当たり100ユーロ(物価指数に応じ増額)、K-ETSの市場価格の3倍以内かつ1tCO₂e当たり10万ウォンを上限とする金銭負担、カリフォルニアの不足量の4倍の排出枠償却などがある。東京都制度は1.3倍の償却命令を行い、命令違反には50万円以下の罰金等を設ける。日本での措置の選択と、刑罰との二重処罰に当たるおそれなどが検討課題である。
GX推進法は、2028年度から化石燃料賦課金を導入し、2033年度から発電事業者に排出枠を一部有償で割り当て、負担金を徴収する枠組みを規定する。資料は、2026年度から本格稼働する制度を念頭に、排出枠の法的性質や償却義務の構成が会計処理にも影響し得ると提起する。具体的には、割当時・排出時等に負債を認識する必要があるかが未検討事項である。既存の実務対応報告第15号は、試行排出量取引スキームの無償排出枠について、原則として交付時・償却時に仕訳せず、売却時は目標達成確認前に仮受金等を計上する取扱いを示している。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「行政法上の論点について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/gx_implementation/index.html)をもとに当社作成
本サービスで提供される審議会資料は、各府省庁が公開している情報を公共データ利用規約(PDL1.0)に基づいて利用しています。詳細はデータソースページをご確認ください。
Policy Scope
関連する審議会・政策資料を継続的に収集し、AI要約と一次資料をまとめて確認。重要な変更を事業判断と社内共有につなげられます。