本資料は、同時市場における「約定電源(青)」と「約定価格(黄)」の関係をめぐり、運用・精算の案①・案②と案①の改善案を比較検証した進捗報告である。制度案の決定には至っておらず、2024年度の需要データ分析、NYISO事例調査、シミュレーションを通じて、各案の特徴と課題を整理している。
前日想定需要は、2024年度にTSOの誤差が小売より平均的に小さく、その差は2021年度より縮小した。GC時点でもTSOの誤差が小さく、前日からGCへの改善幅もTSOの方が大きい傾向であった。前日想定の誤差が8%以上となるコマはTSO 0.3%、小売0.55%で、主に特殊日に発生したと分析されている。
| 案 | 電源態勢・価格算定の考え方 | 主な特徴・課題 |
|---|---|---|
| 案① | 小売入札需要とTSO想定需要で別々にSCUCを行い、両方の結果を踏まえたSCUC③で価格、BG計画、実際の起動・出力を決める | 価格算定と実際の電源態勢を近づける。処理によっては起動台数、再エネ抑制、計算負荷が増える。需要の大小関係がコマ間で入れ替わると、起動停止制約に抵触する懸念がある。 |
| 案② | 2つのSCUCを独立して実施し、小売側で価格を算定、TSO側で電源態勢等を決める。差分をTSOのΔkW-Ⅰ取引とみなす | 計算負荷や再エネ抑制は案①より抑えられる傾向。一方、TSOがkWh取引を担うことによる役割・収支への影響が論点である。 |
資料では、現行の需要計画は各断面の小売想定を評価するデータとして使えると整理する。ただし、同時市場の案①では、電源態勢に用いる「小売約定需要」を入札から識別する仕組みと、小売に適切な入札を促す規律が必要である。需要計画、入札需要、約定需要は同一ではなく、価格弾力性需要や差し替え取引によって乖離し得るためである。
案①の改善案として、①-1(いずれかのSCUCで起動した電源を全て起動)、①-2(TSO側の電源態勢を基本に不足分を追加起動)、①-3(上げ余力内をkWh約定し、不足時に追加起動)、①-4(上げ余力内をkWh約定し、不足分をTSO取引)を検討した。NYISOの方式は、入札需要で電源態勢を決めた後、ISO予測需要に応じて追加起動する点で①-2に近い。ただし、日本で同様の順序を採ると計算を逐次実行する必要があり、計算時間が増える懸念がある。NYISOではリアルタイムの供給過剰に対し、起動停止指令や緊急運用手順、補償制度を備えていることから、資料は日本でも約定ロジックとは別に安定供給の仕組みを整える必要性を示唆する。
検証は高・低需要断面、前日・当日時間前市場、需要誤差±2.6%(1σ相当)・±9.0%(3σ相当)などを組み合わせた計128ケースで実施した。代表結果では、追加起動の多い①-1・①-2ほど再エネ抑制量と運用コストが大きくなる傾向が確認された。①-2は追加起動の柔軟性が高い一方、離散変数が多く、代表ケースで1時間の計算打ち切りまでに目標MIPGapへ到達しなかった。大外し時には案ごとの差が拡大し、①-4は小売需要を割り当てられず解が得られないケースがあった。①-1では小売の高め予測だけでなく低め予測でも、起動電源のOR条件により非効率な電源態勢と再エネ抑制が生じ得る。
①-4でTSO取引が生じた代表ケースの試算量は需要比4.2%(約113GWh/日)であり、案②の9.0%(約240GWh/日)より小さかった。ただし①-4の試算は、需要抑制を供給不足量とみなす簡易値であり、地内混雑等による追加取引の可能性もあるため参考値である。
資料は案を確定せず、計算の収束性、経済効率性、再エネ抑制、安定供給、TSO取引の影響を踏まえ、案①・案②の得失を引き続き検討する方針である。需要精度の差が縮小していること、将来の需要想定や入札行動が変化し得ることから、需要傾向の継続確認も課題としている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「市場価格算定方法(検証B)に関する進捗報告について: (約定電源と約定価格の相互関係性③)」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
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