系統用蓄電所では、遠隔監視・制御に使うEMS/SC、PCS、BMS等が通信機能を持つため、外部第三者による通信経由の侵入に加え、メーカー等が通信または機器本体に脅威を埋め込む攻撃も想定される。攻撃による監視喪失、不適切な充放電指令、保護機能の喪失、電池状態データの改ざん等は、蓄電所の停止や火災につながり得る。さらに、事業者の損失だけでなく、供給力・調整力の喪失による系統・電力品質への影響や、近隣への延焼被害もリスクとして整理されている。
2024年には、太陽光発電設備向け遠隔監視機器約800台が脆弱性を悪用され、不正送金の踏み台にされた事例がある。ただし、対象機器には出力制御機能がなく、同社は系統への影響はないとしている。ジョージア工科大学の研究グループは、中国製部品を使う蓄電池システムの供給網リスクを指摘したが、電力系統への影響は全部品が中国製のシナリオでも「低い確率」とされた。
ヒアリングでは、メーカーの対策はユーザーの仕様・要求に応じて追加されることが多く、メーカー側から対策を積極説明する例は稀であった。事業者側では基準適合機器の選定、納品後の適合確認・作動試験、第三者認証や診断、運転開始後のメーカー通信制限等の取組が挙げられた。一方、対策水準の標準化、メーカーの社内対策の把握、オーナーと市場取引事業者間の責任分担が課題であり、過度な要件は導入コストや国民負担を増やし得るとの留意も示された。
資料は、機器調達時の防御機能だけでなく、攻撃の検知、影響範囲の把握、事業継続・復旧を一体で備える整理を提示する。例として、通信相手の認証やファイアウォール、ネットワーク分割・アクセス制御、重要操作の承認、ログ監視、バックアップ・冗長化が挙げられる。加えて、リスク管理体制、対策計画と継続改善、インシデント対応・復旧体制、供給網の確認、関係者との情報共有が事業者に求められる取組として整理されている。これらは対策の整理・提案であり、資料中で一律の実施義務として決定されたものではない。
系統用蓄電池には規模や事業形態に応じて既存のガイドライン等が関係する。10MW以上は発電事業に該当し電制GLに基づく対策が求められ、1MW以上10MW未満は特定自家用電気工作物として自家用GLの対象となる。系統連系技術要件は連系する発電設備に適用され、PCS技術仕様は構成設備であるPCSに関係する。アグリゲーターとして参入する場合はERAB GLや特定卸供給の指針も関係し、所有者とアグリゲーターの双方に適用され得る制度がある。
2025年5月改定のERAB GLは、制御対象にIoT製品を新規導入する場合、JC-STAR★1以上の製品を選ぶことを求めている。また、第3回長期脱炭素電源オークションでは、BMS、PCS、EMS等にJC-STAR★1取得を要件とする方針が示された。これは資料時点で示された方針であり、JC-STARは★1のみ申請受付が始まっている。★1で不十分と判断される場合はIPAと★2以上の基準・制度を検討するとされている。
米国のNERC CIPは系統資産向けの強制力ある要件として管理、訓練、インシデント対応、復旧、供給網管理等を規定する。EUのNIS2はリスク管理やインシデント対応等を強化し、サイバーレジリエンス法は製品メーカーの義務を定め、資料では2027年12月からの適用開始見込みとされる。英国では現行NIS規則の強化法案が審議中であり、資料時点の案・見込みを確定済み制度と区別する必要がある。
政策上は、通信・遠隔操作機能を持つ機器とメーカーの供給網を含めてリスクを捉え、事業者間の責任分担や必要水準を整理することが論点である。高圧・特高で水準を分ける案、通信経路の集約、SCの階層化、メーカーとの通信を蓄電所側から切断できる機能などはヒアリングで出た意見であり、決定事項ではない。資料は、リスク低減効果と導入費用の均衡、間接影響を踏まえた関係者間のリスク分担を今後の検討課題として示している。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「2025年度 第1回 定置用蓄電システム普及拡大検討会」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/storage_system/index.html)をもとに当社作成
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