三次インセンティブ案の比較では、調整力細分化作業会が安定供給と社会コストを判断軸とし、案C(全体パフォーマンス制約案)を望ましい案と評価した。案Cは、高速・低速を区分せず、指令から5分後などの中間点で電源全体が供出できる調整力を制約条件に置き、必要量を満たす電源を総調達費最小となるよう組み合わせる方式である。
| 案 | 安定供給 | 社会コスト | 評価上の論点 |
|---|---|---|---|
| A:ペナルティ係数 | △ | △ | 係数次第で高速調整力を全く確保しない、または全面確保する結果になりやすく、5分時点の必要量を保証しにくい。安定供給上の制約から係数を小さくしにくく、費用最小化の余地も限られる。 |
| B:一定比率 | ○ | △ | 高速調整力の比率で必要な応動を確保できるが、実際の応答性能のばらつきを見込んだ余裕設定や、安価な低速電源が十分な場面での非効率な調達が課題となる。 |
| C:全体パフォーマンス制約 | ○ | ○ | 中間点での応動可能量を直接確保し、目的関数で電源を組み合わせるため、安定供給と費用最小化を両立できると評価された。 |
案Cを採る方向性は作業会で示された評価であり、最終決定ではない。必要な中間点調整力比率(PS)の算定方法は未確定であり、既存商品の必要量を参照する方法やシミュレーションによる算定などを引き続き検討する。
日本の現行制度では、過去3年の実績平均を基に電圧階級別のロス率を設定し、小売が需要量にロス分を加えて調達する。海外調査対象のPJM・NYISO・IESOでは、小売は需要地点の消費量を調達し、ロスは市場価格またはUpliftに反映される。PJM・NYISOは限界ロス費用を市場価格に含め、IESOは出力配分でロスを考慮しつつ、価格算定外のUpliftにロス費用を含める。日本の同時市場での扱いは未決定であり、技術的な算定方法と価格・費用負担制度を併せて検討する必要がある。
| 手法 | SCUCでの扱い | 検証結果・課題 |
|---|---|---|
| 近似解法①:区分線形化 | DCモデルでロスを制約変数として一度の計算で最適化 | IEEJ-East30では区分数5以上で誤差率0.1%以下となった一方、区分数を増やすと計算時間が増加。線形化方法や広域系統での適用に課題が残る。 |
| 近似解法②:ロス率を更新 | ロス率を固定してSCUCを反復 | 試算では2回目に誤差率0.1%以下となったが、電源態勢の変化で誤差が上下し、収束は保証できない。 |
| 近似解法③:ロス量を更新 | 前回のロス量をノードに固定してSCUCを反復 | ロスの増減が各回の最適化に反映されず、精度の高い解に収束しなかった。 |
| 広域連系系統モデル | ロスを近似し、起動停止状態を線形緩和して年間計算 | 1,191地点・1,384送電線・8,760時間の計算で約46時間、年間ロス約930GWhの結果を得た。緩和を外す、または精度を上げる場合の計算負荷が課題である。 |
送電ロス検証では複数手法の技術的な示唆を得たが、実運用に適用できるロジックの確立には至っていない。第11回技術検証会では、上位2電圧階級未満のロスの扱い、交流法・直流法の使い分け、算定精度や収束性、制度との整合が論点となった。特に、系統運用と価格算定のどちらを主目的とするかによって、下位系統のロスの扱いも変わり得るとの議論があった。
今後は制度との整合性も見据えて送電ロスを考慮するSCUC手法を深掘りする。技術検証項目⑧(自己計画電源等への制約ロジック)と⑨(送電ロス考慮)は次回以降も進捗報告・検討を続ける。今回報告した③のロジックは構築・動作確認済みであるが、三次インセンティブの具体的なPS設定は引き続き検討事項である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「電源起動・出力配分ロジックの技術検証(検証A) の進捗報告について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
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