資料の概要
本資料は、経済産業省が提出した「適正な電力取引に関する指針」(適取ガイドライン)の見直し案についての議論を目的としている。特に、スポット市場における余剰電力全量の限界費用に基づく価格での売り入札に関する規制強化について考察している。
議論のポイント
以下の内容について審議が求められている。
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市場支配力を有する事業者の判定方法
需給状況の変化により市場分断率が変化しているため、従来の4市場区分の見直しが必要とされている。
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適取ガイドラインの改定案の提示
審議の結果、経済産業大臣への建議を目指している。
見直しの方向性
1. 市場画定の変更
- 現行の適取ガイドラインでは、特定の連系線に基づき市場を4区分している。
- 改正後の案:
- 「5年間において年平均分断率が10%以上となる年が3年以上継続する場合には分断として扱う」とする。
2. 経過措置と市場画定の基準
- 分断率の閾値を**10%**に設定し、移動平均期間を段階的に変更する。
3. 継続性の判断
- 分断発生率の継続性も段階的に増加させ、初めは1年として、問題行動が確認されない場合には2年、3年に増加する。
対象事業者の判定基準
本則に基づく基準
- 対象事業者は、全国を4つの市場に区分し、それぞれの発電容量シェアとPSI(電力供給インデックス)に基づいて判定される。
- 対象地域は以下の4つである。
- 北海道
- 東日本(東北・東京)
- 西日本(中部・北陸・関西・中国・四国)
- 九州
対象事業者の計算基準
- シェア基準:
(当該事業者の発電容量 ÷ 市場内総発電容量) × 100 > 20%
- PSI:
当該事業者の供給力 > (市場内総供給力 − 市場内年間最大需要電力)
経過措置に基づく基準
- 経過措置では、過去5年間の地域間連系線の分断率が閾値(当初5%)を超えた場合、分断されたものとして扱う。
- 分断された市場において、シェアが**50%**を超える事業者が対象となる。
市場支配力を有する事業者
2024年11月〜2025年10月において市場支配力を有する可能性の高い事業者は以下の通りである。
| 市場区分 | 市場支配力を有する可能性の高い事業者 |
|---|
| 北海道 | 北海道電力株式会社 |
| 東北 | 東北電力株式会社 |
| 東京 | 東京電力エナジーパートナー株式会社、株式会社JERA |
| 中部 | 株式会社JERA、中部電力ミライズ株式会社 |
| 北陸 | 北陸電力株式会社 |
| 関西 | 関西電力株式会社 |
| 中国 | 中国電力株式会社 |
| 四国 | 四国電力株式会社 |
| 九州 | 九州電力株式会社 |
閾値を変化させた場合の市場区分
過去5年間の分断率の設定閾値を変更すると、以下のように市場の区分が変わることが示されている。
- 閾値5%・10%: 9エリア区分
- 閾値15%・20%: 8エリア区分
- 閾値25%以上: 6エリア区分
- 閾値60%以上: 4エリア区分
経過措置の前提条件
- 本則において継続して分断発生率が高い3箇所の連系線を分断として扱い、経過措置上の閾値を毎年見直すことを想定している。
- しかし、今後の分断状況により、この構造の見直しが必要となる可能性がある。
今後の進め方
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スケジュール案:
- 制度設計・監視専門会合:2025年4月25日
- 電力・ガス取引監視等委員会:2025年5月予定
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審議の結果、内容を電力・ガス取引監視等委員会に報告し、その後、経済産業大臣に建議する。
まとめ
今回の資料は、電力市場における規制の見直しを通じて、より透明で公正な取引環境を実現するための重要なステップを示している。市場支配力を有する事業者の判定基準の見直しが行われる予定であり、適取ガイドラインの改定が期待されている。