発電側課金の導入に関する資料概要
本資料は、発電側課金の導入に関する中間とりまとめの概要を示している。本制度は、2023年4月に提案され、2025年に改定が予定されている。
1. 背景・趣旨
- 電力需要の伸び悩み: 人口減少や省エネルギーの進展により、電力需要が低迷している。
- 系統連系ニーズの拡大: 再生可能エネルギー(再エネ)の導入増加に伴う系統への連系需要や、送配電設備の高経年化が進行しており、修繕・取替えの必要性が増加している。
- 費用抑制の必要性: 託送料金を抑えるため、経営効率化と送配電網の効率的な利用が重要である。
2. 発電側課金の詳細設計
目的
- 発電側課金は、系統の効率的な利用を促進し、再エネ導入の拡大を確実にするために、これまで小売電気事業者が全額負担していた送配電設備の費用を発電事業者にも一部負担させることを目的とする。
現行の託送料金制度
| 課金対象 | 説明 |
|---|
| 現行制度 | 小売電気事業者が100%負担 |
| 新制度 | 発電事業者と需要家が負担 |
発電側課金の転嫁
- 系統増強費用の負担: 2023年度までの現行制度では再エネ電源に伴う系統増強費用は当該エリアの需要家が負担していたが、発電側課金導入後は他エリアの需要家も負担する形となる。
課金方法の設計
- 課金方法は、kW課金(固定料金)とkWh課金(従量料金)の2種類を設定。特に、揚水発電や蓄電池についてはkWh課金を免除とする。
| 課金方法 | 説明 |
|---|
| kW課金 | 需要側の託送契約KWを超える発電側の逆潮KW分 |
| kWh課金 | メーター計測値に基づいた電力量 |
割引制度
- 発電側課金の割引は、基幹系統や配電系統への与える影響に応じて、割引A(基幹系統)および割引B(特別高圧系統)が設定される。割引対象地域は5年ごとに見直される。
実務上の取扱い
- 課金・回収: 発電側課金は発電量調整供給契約を活用し、発電者に請求金額や算定根拠を通知する必要がある。
| 通知内容 | 説明 |
|---|
| 請求金額 | 各発電所ごとの請求金額を提示 |
| 支払期日 | 支払義務発生日から30日以内 |
| 課金対象kW及びkWhの算定根拠 | 最大受電電力や発電電力量等を基に算定 |
3. 発電側課金の転嫁に関する整理
発電側課金の転嫁に関しては、各市場・取引ごとに以下のように整理されている。
| 市場取引 | 発電側課金の転嫁に関して |
|---|
| スポット市場 | 応札価格に織り込むことが可能。限界費用にkWh課金分を織り込む |
| 時間前市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| 先渡市場 | 応札価格に織り込むことが可能 |
| ベースロード市場 | 応札価格に織り込むことが可能。資源エネルギー庁の審議会において整理済み |
| 容量市場 | 応札価格にkW課金分を織り込むことが可能。資源エネルギー庁広域機関の審議会検討会において整理済み |
| 需給調整市場 | 応札価格に織り込むことが可能。調整力kWh市場の限界費用にkWh課金分を織り込む。ただし、算出する際の限界費用にはkW課金分は含めない。また調整力ΔkW市場の固定費回収のための合理的な額B種の一定額にkW課金分を織り込む |
| 相対取引(常時バックアップ含む) | 取引価格に織り込むことが可能。相対契約における発電側課金の転嫁に関する指針(転嫁ガイドライン)を策定済み |
4. 検討経緯
発電側課金に関するこれまでの検討経緯を以下に示す。
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2018年
- 6月: 送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループ(中間とりまとめの公表)
- 6月: 第31回制度設計専門会合(中間とりまとめの報告)
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2019年
- 9月: 第41回制度設計専門会合(今後の進め方・スケジュール、転嫁の考え方)
- 10月: 第42回制度設計専門会合(課金対象となるkWの決定方法など)
- 11月: 第43回制度設計専門会合(契約条件、転嫁の円滑化など)
- 12月: 第44回制度設計専門会合(転嫁の円滑化、容量市場における取扱いなど)
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2020年
- 2月: 第45回制度設計専門会合(契約関係の在り方など)
- 3月: 第46回制度設計専門会合(課金対象となるkWの決定方法など)
- 12月: 第53回制度設計専門会合(制度の見直し)
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2021年
- 1月: 第54回制度設計専門会合(課金方法の在り方など)
- 3月: 第57回制度設計専門会合(kWh課金の具体的内容、転嫁の円滑化)
- 4月: 第59回制度設計専門会合(離島供給約款適用地域の取扱いなど)
- 10月: 第65回制度設計専門会合(転嫁の担保方法)
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2022年
- 4月: 第72回制度設計専門会合(導入意義等の整理)
- 12月: 第80回制度設計専門会合(調整措置等に関する報告)
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2023年
- 1月: 第81回制度設計専門会合(課金単価の見直し時期等)
- 2月: 第82回制度設計専門会合(詳細設計、中間とりまとめ(案))
- 4月: 中間とりまとめの公表
- 10月: 第90回制度設計専門会合(発電側課金の割引単価等の試算値の公表)
5. 今後の予定
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2024年
- 4月: 発電側課金の導入
- 8月: 第100回制度設計専門会合(発電側課金に関するアンケートなどの実施)
- 12月: 第4回制度設計・監視専門会合(アンケート等の実施結果の報告)
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2025年
- 1月: 第553回電力・ガス取引監視等委員会(災害時の特別な措置)
- 2月: 第6回制度設計・監視専門会合(中間とりまとめ(改定案))
以上が発電側課金の導入に関する資料の全体概要である。今後、詳細な設計や制度運用が進められる予定である。