本資料は、諸外国におけるEV充電・充放電のデマンドレスポンス(DR)に関する制度の検討状況を整理したものである。作成は三菱総合研究所が行い、2025年11月25日に発表された。
本調査の目的は、以下の要素を調査・整理し、国内におけるDRready要件の検討をサポートすることである。
南オーストラリア州、英国、欧州、オランダ、米国の各地域で、EV充電・充放電に関するDRready要件が策定されている。
| 位置づけ | 文書 | 対象者 | 対象機器 |
|---|---|---|---|
| 豪州 | 標準 (任意) AS/NZS 4755.3.4 | 機器メーカー | EV充電器 |
| 南オーストラリア州 | 義務 Technical Regulator Guideline | 機器メーカー、設置者 | プライベートEV充電器 |
| 英国 | 義務 The Electric Vehicles (Smart Charge Points) Regulations 2021 | 機器メーカー | プライベートEV充電器 |
| 欧州 | 義務 代替燃料インフラ規則(AFIR) | 機器メーカー、運用者 | 公共EV充電器 |
| オランダ | 標準 (任意) | 機器メーカー | 公共・プライベートEV充電器 |
| 米国 | 補助金要件 National Electric Vehicle Infrastructure Standards | 機器メーカー、設置者 | 公共EV充電器 |
国別のEV車両および充電器・充放電器の導入量実績は以下の通りである:
| 国名 | EV車両数 | EV充電器・充放電器 (公共) | EV充電器・充放電器 (プライベート) |
|---|---|---|---|
| 米国 | 486万台 | 23万口 | 66万口 |
| 英国 | 241万台 | 10万口 | 87万口 |
| 豪州 | 30万台 | 0.77万口 | データなし |
| オランダ | 110万台 | 20万口 | 35万口 |
| 日本 | 62万台 | 3.4万口 | 6.1万口 |
各地域での要件策定の背景や目的は以下の通りである:
| 地域 | 背景・目的 |
|---|---|
| 豪州 | 需要ピーク時の負荷軽減、フレキシビリティの確保 |
| 英国 | EV充電器の導入に伴う停電懸念 |
| 欧州 | カーボンニュートラルへの取り組み、再エネ導入促進 |
文書は、以下の3つの位置づけで分類される。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| ① 義務としての要件 | 南オーストラリア州、英国、欧州 |
| ② 補助金要件 | 米国 |
| ③ 任意の要件(標準・ガイドライン) | オランダの技術要件 |
諸外国のEV充電・充放電に関するDRready要件は以下の特徴を持つ。
本資料が、電力・エネルギー分野における今後の方針策定に寄与することが期待される。
豪州全土でのEV充電器に関する標準化に先駆け、南オーストラリア州では州政府が電力会社、業界団体、およびサプライヤーと協力してEV充放電器の要件を検討してきた。
| イベント | 日付 |
|---|---|
| ウェビナーの実施 | 2024年3月 |
| 施行予定 | 2024年7月 |
| 充放電対応器への適用拡大 | 2026年7月1日以降 |
| 対象機器 | 期待するDR | AS/NZS 4755への準拠コスト |
|---|---|---|
| エアコン | 負荷低減による停電回避 | 約515AUD(設置コストの1%以下) |
| プールポンプ | 夏季のピーク削減 | 約50AUD |
| 電気給湯器 | 冬季ピーク需要削減 | 約7080AUD |
| EV充電器(標準作成中) | EV普及によるピーク負荷対策 | 約50AUD |
| 蓄電システム | ピーク回避の期待 | 義務化対象外 |
出所: 豪州政府, “Consultation Paper: 'Smart' Demand Response Capabilities for Selected Appliances”
南オーストラリア州は、同州内でのEV充電器の設置に関する技術基準を設けており、要件を満たす製品に限定して設置が認められる。
設置業者は、技術規制ガイドラインに準拠し、適切な設定を行い、設置完了後に証明書を提出する義務がある。
南オーストラリア州内務省は、消費者向けIoT機器のセキュリティを強化するための自主的な行動規範を発表しており、今後義務化が見込まれている。
以下のDRモードが定義され、必須または任意の対応が求められている。
| DRモード(DRM) | DRモードの定義 | 必須/任意 |
|---|---|---|
| 0 | 系統からの解列 | 任意 |
| 1 | 充電停止 | 必須 |
| 2 | 充電抑制(50%以下) | 任意 |
| 3 | 充電抑制(75%以下) | 任意 |
| 4 | 充電開始継続 | 任意 |
| 5 | 放電停止 | 必須 |
| 6 | 放電抑制(50%以下) | 任意 |
| 7 | 放電抑制(75%以下) | 任意 |
| 8 | 放電開始継続 | 任意 |
出所: 南オーストラリア州政府, “Technical Regulator Guideline Technical Standard for Installation of Electric Vehicle Supply Equipment”
英国のEV充電器規制「The Electric Vehicles (Smart Charge Points) Regulations 2021」について詳述する。
EV充電器が対象。ただし、以下のものは対象外:
欧州グリーンディール(2019年公表)
持続可能かつスマートなモビリティ戦略(2020年公表)
Fit for 55パッケージ(2021年公表)
代替燃料インフラ規則(AFIR)(2023年発効)
改正再生可能エネルギー指令(RED II)(2023年発効)
改正建築物エネルギー性能指令(EPBD)(2024年発効)
本資料は、オランダの民間団体ElaadNLが提供した、電気自動車(EV)充電器および充放電器に関する技術要件について説明している。この要件は、欧州連合(EU)の補助金プロジェクトに基づいており、2025年3月に公表される予定である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | スマート充電および双方向充電のための最低限かつ調和された技術要件を規定。市場関係者のチェックリストとして活用予定。 |
| 対象 | 公共・プライベートのEV充電器および充放電器。 |
| 適用範囲 | EV充電器のサプライヤーおよび運用者に対し、機器が遵守すべき要件を規定。 |
| 規定内容 | スマート充電および双方向充電器に求められる機能、通信接続方法、セキュリティ要件。 |
| 評価方法 | 標準プロトコルへの準拠は、独立した適合証明書を通じて証明。運用中の充電器は定期的に現地監査を受ける必要がある。 |
| ペナルティ | 民間の技術基準のため、規定なし。 |
全ての充電ポイントに適用される一般要件は以下の通りである:
| 項目 | 要件 | 説明 |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 新設および改修された全ての充電ポイントに適用される。 | |
| 適合証明 | すべての規格プロトコル要件への適合は独立した適合性証明書で立証される必要がある。 | ISO/IEC 17065:2012に準拠。 |
| 更新対応 | 規格プロトコル要件の新しい公式版は無償で導入され、指定期間内に順守が求められる。 | 大規模変更は18か月、小規模変更は6か月以内に導入。 |
| 定期監査 | 運用中の充電インフラの全構成要素は定期的な現場監査で、要件を満たしていることを証明する必要がある。 |
スマート充電要件の具体的な内容は次の通りである:
| 項目 | 要件 | 説明 |
|---|---|---|
| リアルタイム制御 | 遠隔制御が可能であること。 | 市場へのアクティブな参加が求められる。 |
| 通信接続 | 通信モジュールを備え、98%以上の稼働時間で接続が必要。 | スマート充電信号の送受信に必須。 |
| 機器のセキュリティ | IEC 62443に基づくセキュリティ要件に適合。 | 詳細はIEC認証の提示が求められる。 |
| 運営者のセキュリティ | CPOがISO 27001やIEC 62443に準拠してシステムを運営。 |
NTA 8043:2024は私有地のスマート充電器および充電サービスに関する技術仕様を規定しており、特にグリッドに優しい充電を普及させることを目指している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | スマート充電サービスの基盤を整備し、グリッドフレンドリー充電を実現する。 |
| 対象 | モード3およびモード4のEV充電器と関連サービス。 |
| 適用範囲 | プライベートのスマート充電器および充電サービスの要件を規定。 |
米国における公共EV充電インフラの設置について、標準規則が定められている。この文書では、充電器本体、通信接続、セキュリティに関する要件を整理する。
充電器本体の設置クリテリアおよび規格標準が明確化されている。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 充電ポート数 | - AFC沿いに設置する充電ステーションは、ネットワーク接続されたDCFCポートを少なくとも4口備え、4台以上のEVを同時充電可能であること。 - その他の設置場所も4口以上、同様の条件を満たすことが求められる。 |
| コネクタの種類 | - すべての充電コネクタは業界標準に適合する必要がある。 - DCFCはCCS準拠の車両への充電が可能で、少なくとも1つのCCSタイプのコネクタが必要。 - AC Level2はJ1772コネクタを使用し、J1772準拠の車両に充電可能であること。 |
| 充電電力レベル | - DCFCは250-920Vの出力電圧に対応し、各ポートが連続定格150kWを供給できる必要がある。 - AC Level2は各ポートが連続定格6kW以上で、全てのポートで同時に6kW以上を供給できることが求められる。 |
充電器と通信ネットワークの相互接続に関する要件が定められている。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 充電器-EV間通信 | - 充電器はISO 15118-3に準拠し、ISO 15118-2及び-20を実装可能なハードウェアを備え、2024年2月28日までにソフトウェアがISO 15118-2に準拠しプラグ&チャージに対応する必要がある。 |
| 充電器-充電器ネットワーク間通信 | - 充電器はOCPP 1.6J以降に準拠し、2024年2月28日までにOCPP 2.0.1に準拠する必要がある。 |
| 充電ネットワーク-充電ネットワーク間通信 | - 2024年2月28日までに充電ネットワークはOCPI 2.2.1に従って他の充電ネットワークと通信できる必要がある。 |
| ネットワークスイッチング機能 | - 充電器はハードウェアを変更することなく充電ネットワークプロバイダーを安全に切り替えられるよう設計する必要がある。 |
充電インフラのセキュリティは、州のインフラ整備計画と整合させる必要がある。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| セキュリティ | - 消費者データを保護し、充電インフラと送電網への損害を防ぐために、州ごとのEVインフラ整備計画に一致した物理的及びサイバーセキュリティ戦略を実施する必要がある。 - 物理的及びサイバーセキュリティのトピックには、視認性の確保、緊急通話ボックス、ソフトウェアの更新管理などが含まれる。 |
出所は、米国運輸省の「National Electric Vehicle Infrastructure Standards and Requirements」である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「諸外国におけるEV充電・充放電のDRに関する制度の検討状況」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/dr_ready/index.html)をもとに当社作成
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