資料の目的・背景
経済産業省が提出した資料は、令和6年1月から3月期の自主的取組・競争状態のモニタリング報告である。この資料は、第98回制度設計専門会合において、電力・ガス取引監視等委員会に提出され、電力市場の動向を示す重要な情報を提供している。
主要な検討内容・論点
主要指標の報告
当期間における重要な数値は以下の通りである。
| 区分 | 今回の報告内容 (2024年1月~3月) | 前年度同時期 (2023年1月~3月) | 参考 (2022年度) | 参考 (2021年度) |
|---|
| 販売電力量に対する割合 | 29.1% | 40.4% | 40.1% | 39.9% |
| 売り入札量 | 0.9倍 (51.0倍) | 1.2倍 | 1.0倍 | 1.0倍 |
| 買い入札量 | 0.8倍 (51.0倍) | 1.0倍 | 0.9倍 | 1.1倍 |
| 約定量 | 613億kWh | 857億kWh | 3,185億kWh | 3,272億kWh |
| 平均約定価格システムプライス | 10.1円/kWh | 14.8円/kWh | 20.4円/kWh | 13.5円/kWh |
| 東西市場分断発生率 | 26.1% | 21.1% | 34.9% | 32.1% |
卸電力市場の状況
- 卸電力取引所において、様々な取引形態(スポット市場、時間前市場、先渡取引市場)が存在する。
- 自主的取組として、旧一般電気事業者が余剰電力の取引所への供出を行った。
スポット市場の動向
- スポット市場の売り入札量は1,044億kWh、買い入札量は798億kWhであり、前年同期間と比較して減少傾向にある。
- 売り約定量は旧一般電気事業者が150億kWh、新電力その他が335億kWhであり、前年同期比でそれぞれ0.4倍、0.9倍であった。
重要な数値・データ
入札量の推移
以下の表は、2024年1月から3月期の入札量の詳細を示す。
| 事業者区分 | 売り入札量 (億kWh) | 前年同期間比 | 買い入札量 (億kWh) | 前年同期間比 |
|---|
| 旧一般電気事業者 | 520 | 0.8倍 | 341 | 0.6倍 |
| 新電力その他 | 387 | 0.9倍 | 451 | 1.2倍 |
| 一般送配電事業者 | 136 | 1.2倍 | 6 | 0.2倍 |
時間前市場の状況
- 時間前市場の売り約定量は旧一般電気事業者が6.8億kWh、新電力その他が10.4億kWhであり、前年同期比でそれぞれ1.2倍であった。
課題・リスク
- 市場分断の発生率が比較的高く、特に中部関西間で**40%**を超えていることが確認されている。
- 電力市場の入札方法や実施状況により、入札率や約定率が低下している点も課題である。
スケジュール・今後の予定
今後は市場動向やエネルギー政策の実施に関して、定期的なモニタリングと報告が期待される。特に、販売電力量や約定量の動向は、今後の競争政策に大きな影響を与えることが予想される。
その他重要事項
- グロス・ビディングの休止による影響やインバランス料金制度の変更点についても言及されており、これらの情報は今後の市場動向を把握する上で極めて重要である。
スイッチングの動向
1. 規制料金から自由料金へのスイッチング率
- 規制料金メニューから自由料金メニューへのスイッチング率は2016年以降上昇傾向で推移していたが、直近では横ばいの傾向が見られる。2024年3月時点での全国のスイッチング率は**48.1%**である。
地域別スイッチング率(2024年3月)
| 地域 | スイッチング率 |
|---|
| 北海道 | 44.9% |
| 東北 | 32.9% |
| 東京 | 51.2% |
| 中部 | 50.6% |
| 北陸 | 43.7% |
| 関西 | 49.3% |
| 中国 | 55.7% |
| 四国 | 44.9% |
| 九州 | 45.9% |
| 沖縄 | 33.1% |
| 全国 | 48.1% |
2. 旧一般電気事業者から新電力等へのスイッチング率
- 各地域の旧一般電気事業者から新電力等へのスイッチング率は、直近で横ばいの傾向が見られる。2024年3月時点での全国のスイッチング率は**22.4%**である。
地域別スイッチング率(2024年3月)
| 地域 | スイッチング率 |
|---|
| 北海道 | 19.3% |
| 東北 | 13.1% |
| 東京 | 31.5% |
| 中部 | 19.4% |
| 北陸 | 6.1% |
| 関西 | 25.6% |
| 中国 | 11.2% |
| 四国 | 11.8% |
| 九州 | 14.6% |
| 沖縄 | 11.6% |
| 全国 | 22.4% |
3. 年度ごとのスイッチング率の推移
- スイッチング率は2020年度をピークに減少が続いている。特に2023年度の減少が顕著であり、関西・九州・沖縄エリアで前年度比約2ポイントの減少が見られる。
地域別スイッチング率(2023年度)
| 地域 | スイッチング率 |
|---|
| 北海道 | 3.6% |
| 東北 | 1.8% |
| 東京 | 3.6% |
| 中部 | 2.3% |
| 北陸 | 1.2% |
| 関西 | 2.8% |
| 中国 | 1.7% |
| 四国 | 1.6% |
| 九州 | 1.5% |
| 沖縄 | 1.7% |
| 全国 | 2.7% |
低圧料金の平均単価推移
- 全国平均での規制料金と自由料金の推移について、特に2023年の規制料金の値上げ改定後、自由料金が規制料金の水準を上回る状況は解消傾向が見られ、現在は規制料金が自由料金の水準を上回るようになっている。
結論
以上から、2024年1月〜3月期における電力市場の状況には多岐にわたる動向があり、特に時間前市場や売りブロック入札の状況に明確な傾向が観察されることが示されている。今後の市場動向に注視する必要がある。