事務局は、電力先物市場の開始を踏まえ、電力適取GLに市場間相場操縦の具体例を追記する案を提示している。対象は、先物など他の電力関連取引を自己に有利にする目的で、卸電力市場の価格を高値または安値へ誘導する行為である。これは提案段階であり、資料中に改正の決定は示されていない。
| 規定 | 市場間相場操縦の扱い | 違反時の対応 |
|---|---|---|
| 電力適取GL | 市場相場を人為的に操作する一般規制はあるが、市場間相場操縦の明示はない。現行規定でも該当すれば規制対象となり得る | 電気事業法に基づく業務改善命令・勧告の対象となり得る |
| JEPX取引規程 | 場外の電力関連取引で利益を得る目的で、JEPX市場の相場を動かす取引を禁止 | 勧告、取引制限・停止、除名等の対象となり得る |
| 商品先物取引法 | 商品市場の相場を動かす目的で、市場外の上場商品構成品等を取引する行為を禁止 | 主務大臣の処分・取引制限や罰則の対象となり得る |
したがって、GLへの追記は新たな規制適用の前提ではなく、既存の相場操縦規制における市場間行為の考え方を明確にする趣旨である。
判断の焦点は、他市場の利益を得る目的で卸電力市場の相場を変動させる行為かどうかである。先物ポジションの利益のために現物価格を動かす行為が典型例であり、取引価格に連動するデリバティブ・金融商品の価格を有利にする行為も含まれ得る。一方、将来の価格変動リスクを抑えるヘッジ取引や、市場間の価格差から正当な収益を得る裁定取引は、通常、相場変動を目的とせず規制対象に当たらないと整理されている。
TOCOMの電力先物は2019年8月9日に試験上場が認可され、同年9月17日の取引開始が予定されていた。試験上場期間は3年で、プロ向けの差金決済商品として、JEPXスポット価格の月間変動リスクをヘッジする設計である。
海外では、EUのREMITが市場間相場操縦を価格操作の一類型として位置づけ、裁定取引を除外している。米国ではFERCの規制に基づき摘発例があり、資料はBarclays事件を紹介する。同社は現物市場の価格を操作し、価格連動のスワップ契約で利益を得たとして、FERCから2013年に民事制裁金4億3,500万ドルと不正利益返還3,490万ドルを命じられた(同社は容疑を否定し、FERCが提訴したと記載)。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「電力卸市場に関する市場間相場操縦規制について」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_system.html)をもとに当社作成
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