資料説明:熱供給事業者別排出係数の算出方法等
1. 資料の目的・背景
この資料は、経済産業省が提出した「熱供給事業者別排出係数の算出方法等」に関するもので、2024年10月15日に検討会事務局によって更新された。主な目的は、ガス事業および熱供給事業における排出係数の変更と、新たな基礎排出係数の設定について情報を提供することである。
2. これまでの経緯
1. 排出係数の算出方法の変更
- SHK制度では、省令で定められた一律の係数を用いていたため、需要家の選択が反映されていなかった。
- 令和4年12月に算定方法検討会で中間とりまとめが行われ、ガス事業者別および熱供給事業者別の排出係数の導入が整理された。
2. 基礎排出係数の設定
- 事業者別の基礎排出係数と調整後排出係数の設定が進められ、令和6年3月に新たな算出および公表方法が制定され、令和6年4月から適用される予定である。
3. 本日御議論いただきたい事項
本資料で討論したい内容は以下の通りである:
- 事業者別排出係数の算出方法の詳細設計
- 燃料の使用に伴う二酸化炭素排出量の算定
- 電気の使用に伴う二酸化炭素排出量の算定
- 他人から調達した熱に係る二酸化炭素排出量の算定
- 基礎排出係数におけるメニュー別排出係数の設定
- メニュー別排出係数の算出方法の変更(冷熱と温熱のメニューを別で設定する場合)
4. 重要な制度概要
SHK制度について
「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(SHK制度)によると、特定排出者(一定量以上排出する事業者)は以下の流れで排出量を報告する必要がある。
- 報告: 自らの前年の排出量を所管大臣に報告
- 通知: 報告された情報を環境大臣・経済産業大臣が通知
- 公表: 通知された排出量と関連情報を公表
5. 現行の排出係数の算出方法
基礎排出係数
基礎排出係数は以下のように算出される:
- 基礎二酸化炭素排出量を販売熱量で割る
- 基礎二酸化炭素排出量は、自ら製造した熱に係るものと他者から調達した熱に係るものの合計
調整後排出係数
調整後排出係数は、一時調整後二酸化炭素排出量からクレジットを控除したものを販売熱量で割る。
6. 今後の方針
ガス事業者別排出係数と熱供給事業者別排出係数の導入に関して、以下の点が提案されている:
- 基礎排出係数と調整後排出係数を設定し、クレジットの活用を可能にすること
- 専門的な検討会を設置し、詳細な計算方法や報告から公表に至る運用プロセスについて議論を進めること
7. 電気事業者別排出係数について
- 新たな基礎排出係数(非化石電源調整済)の設計が議論されている。
- 環境価値の齟齬解消を図るために、非化石証書、グリーン電力証書等の取引を反映した排出係数の設定が提案されている。
8. メニュー別排出係数の算出方法の変更
背景
冷熱及び温熱メニューの設定に関する課題を解決するため、メニュー別排出係数の算出方法を改正する提案がなされた。冷熱と温熱のメニューを別々に設定する際の基礎排出係数と調整後排出係数に関する新たな算出方法が示される。
基礎排出係数の算出方法
Ⅰ. 冷熱のみのメニューを設定する場合
- 算出式:
- 冷熱の一次基礎二酸化炭素排出量
- + 電気の使用に伴う基礎二酸化炭素排出量
- + 他者から調達した熱による基礎二酸化炭素排出量
- × メニュー比率(冷熱販売量のうち当該冷熱メニューの比率)
- - 冷熱メニュー別販売熱量
Ⅱ. 冷熱及び温熱のメニューを分けずに設定する場合
- 算出式:
- 冷熱及び温熱を合わせた一次基礎二酸化炭素排出量
- + 電気の使用に伴う基礎二酸化炭素排出量
- + 他者から調達した熱による基礎二酸化炭素排出量
- × メニュー比率(熱販売量のうち該当メニューの比率)
- - メニュー別販売熱量
調整後排出係数の算出方法
メニュー別調整後排出係数についても、基礎排出係数と同様の算出方法を提案している。
I. 冷熱のみのメニューを設定する場合
- 算出式:
- 冷熱の一次調整後二酸化炭素排出量
- + 燃料の使用に伴う排出した調整後二酸化炭素排出量
- + 電気の使用に伴う調整後二酸化炭素排出量
- + 他者から調達した熱による調整後二酸化炭素排出量
- × メニュー比率(冷熱販売量のうち当該冷熱メニューの比率)
- - 再エネ熱由来J-クレ・グリーン熱証書
- - 再エネ熱由来以外のJCMクレジット
II. 冷熱及び温熱のメニューを分けずに設定する場合
- 算出式:
- 冷熱及び温熱を合わせた一次調整後二酸化炭素排出量
- + 燃料の使用に伴う排出した調整後二酸化炭素排出量
- + 電気の使用に伴う調整後二酸化炭素排出量
- + 他者から調達した熱による調整後二酸化炭素排出量
- × メニュー比率(熱販売量のうち当該メニューの比率)
- - 再エネ熱由来J-クレ・グリーン熱証書
- - 再エネ熱由来以外のJCMクレジット
算出範囲のイメージ
冷熱または冷熱及び温熱を設定する場合における算出範囲は以下の通りである。
冷熱のみのメニューを設定する場合
- 冷却塔
- 熱供給プラント
- ターボ冷凍機
- 都市ガス
- 蒸気ボイラ
- 吸収式冷温水機
冷熱及び温熱のメニューを分けずに設定する場合
- 冷却塔
- 熱供給プラント
- ターボ冷凍機
- 蒸気ボイラ
- 吸収式冷温水機
- 商用電力
- 都市ガス
これらの変更により、メニューごとの二酸化炭素排出量の把握がより正確に行えることが期待されている。