同時市場では、相対契約が紐付く電源も市場入札できる設計を検討している。市場を通じて電力を受け渡す相対契約では、契約価格と市場価格の差額を決済する形になりうるため、その差金決済が法律・会計上のデリバティブ取引に該当する可能性が論点である。電源差替そのものがデリバティブになるという整理ではなく、任意に市場入札する場合にも同じ懸念がある。
Three-Part Offerによる売り入札と市場渡しの相対契約を組み合わせる方式は、簡明で効率的とされる一方、電源が不落なら発電事業者は供給しない。この点が「当初から現物を受け渡すことが明らか」な取引をデリバティブ会計の対象外とする日本基準の例外に該当するか、問題となりうる。
不落分を発電事業者が市場から購入した扱いにする案も提示された。しかし市場渡し契約では、不落時に発電・小売双方の市場買いが成立し、精算が難しくなる。小売の買い入札を自動取消しし、発電側が調達した電力を市場外で小売へ供給する対応も考えられるが、契約・精算が複雑になる。なお、日本基準の現物取引例外には、将来の仕入・売上・消費目的であることに加え、当初からの文書化と責任者承認が必要とされる。
PJMのIBTは、発電・小売が合意した相対契約をPJMに登録し、市場を介した受渡し・精算を組み合わせる仕組みである。発電側は自社電源を売り入札し、相対供給分を市場から調達する。小売側は相対で受け取る電力を市場で売り、自社需要分を市場から調達する。市場とのキャッシュフローを相殺し、当事者間の差金決済なしに契約価格を固定する効果がある。発電入札が不落なら発電側は市場調達電力を小売に供給するため、経済差替も実現する。
資料は、IBTを相対取引とThree-Part Offerによる最適化を両立する選択肢として、実現性と会計論点を確認しながら国内導入を検討することを提案している。米国ではIBTをデリバティブ対象外として扱うことも可能とされるが、国内での会計上の扱いが確定したわけではない。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「同時市場における相対契約の会計上の論点について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
本サービスで提供される審議会資料は、各府省庁が公開している情報を公共データ利用規約(PDL1.0)に基づいて利用しています。詳細はデータソースページをご確認ください。
電力先物は、将来受け渡す電力の価格を前もって決めておく金融取引です。日々値動きするJEPXスポット市場の価格変動を、あらかじめ固定した価格で相殺し、小売電気事業者や発電事業者の収支のぶれを抑えるために存在します。国内の先物市場の約定量は2025年4〜6月期に393.0億kWhとなり、前年同期比4.5倍に増えています[DOC:7354b3c6-8a52-42c9-9bb0-673884b033cf]。
日本の卸電力価格は、2022年度の全国平均20.4円/kWhというピークを経て、直近では10〜12円台に落ち着いている[DOC:e3a9e6dc-f089-461e-9316-5dbf87db34c0][DOC:f3b43584-e8a0-490e-9b80-d77889eebb36]。しかし「平均価格が落ち着いた」ことは「価格リスクが縮小した」ことを意味しない。価格形成の主変数が燃料費から**連系線の分断構造と供出規律の運用**へ移っており、実務が直面するコスト変動の性格そのものが変わりつつある。
Policy Scope
関連する審議会・政策資料を継続的に収集し、AI要約と一次資料をまとめて確認。重要な変更を事業判断と社内共有につなげられます。