電力・ガス取引監視等委員会の活動実績検証資料
目的・背景
本資料は、電力・ガス取引監視等委員会(以下「電取委」)の活動実績を評価し、特に以下の2点に焦点を当てて議論を行うことを目的としている。
- 小売全面自由化を踏まえた監視・審査と制度改革
- 卸電力市場等の公平性の確保及び取引の活性化
検証の概要
検証の構成
本日の検証では、以下の内容について議論が行われる。
- 電取委における活動実績
- 業務改善命令・勧告等の総論
- 電力小売、卸電力市場等の具体的な分野
| 電力部門 | ガス部門 |
|---|
| ① 電力小売全面自由化を踏まえた監視・審査 | ① 小売自由化を踏まえた監視・審査 |
| ② 卸電力市場の公平性の確保 | ② ガス卸の公平性の確保 |
| ③ 送配電関連分野の監視・審査 | ③ 導管関連分野の監視・審査 |
- 電取委における組織方針
検証スケジュール
| 検証回数 | 日時 | 内容 |
|---|
| 第1回 | 3月18日 | 各論(電力部分) |
| 第2回 | 4月16日 | 各論(ガス部分) |
| 第3回 | 5月17日 | 中期方針、監視機能強化 |
| 第4回 | 6月下旬 | 検証まとめ案の提示 |
各論の詳細
小売全面自由化を踏まえた監視・審査と制度改革
- 監視対応:
- 小売電気事業者に対する登録審査と営業活動の監視
- 近年、市場価格が高騰し撤退する事業者が増加しているため、事業計画の審査を強化
- 指導対応:
- これまでに9回の業務改善勧告を実施
- 小売電気事業者による誤解を招く営業活動に対する指導が例示されている
卸電力市場等の公平性の確保及び取引の活性化
検証に関連する意見
第1回検証では、各委員から以下の意見が寄せられた。
- 役割の増大: 市場の公平性に関する新たな論点での電取委の役割重要性
- 柔軟な制度設計: 監視と制度設計の両面を強化し、事業の持続性を考慮すべき
結論
本資料は、電取委の活動を評価し、今後の方針を策定するための基礎データを提供することを目的としている。電取委の役割の重要性や、持続可能な制度設計の必要性が明確に示されており、今後の検証を通じて電力・ガス市場の公平性と消費者保護の強化に向けた取り組みが期待される。
電取委の対応について(小売規制料金の審査・評価)
背景
- 電力の小売全面自由化: 2016年4月からスタートし、低圧需要家向けに経過措置が設けられていたが、2020年3月末をもって撤廃された。一部の特定区域では規制料金が存続している。
本申請の経緯
- 2022年11月: 大手電力会社5社が規制料金の変更認可申請を行った。
- 2022年12月: 審査に関する計16回の検討を実施。
- 2023年1月末: 大手電力会社2社から追加の変更認可申請。
- 2023年3月: 大手電力会社7社に原価の再算定を指示。
- 2023年4月27日: 審査方針案の取りまとめを行い、経済産業省から消費者庁への協議を開始。
- 2023年5月: 審査方針が了承され、変更認可申請が認可された。
本申請の主な経緯
| 日付 | 内容 |
|---|
| 2022年11月 | 大手電力会社5社が変更認可申請 |
| 2022年12月 | 審査に関する計16回の検討 |
| 2023年1月 | 大手電力会社2社が追加の変更認可申請 |
| 2023年3月 | 原価の再算定指示 |
| 2023年4月 | 審査方針案取りまとめ、消費者庁との協議開始 |
| 2023年5月 | 変更認可申請が認可、料金改定実施 |
審査体制
- 各費目について詳細なデータの確認が必要であり、審査は4つのチームによって実施された。
各審査チームの構成
| 審査チーム | 委員1 | 委員2 | 委員3 | 担当項目 |
|---|
| チームA | 安念 | 北本 | 華表 | 経営効率化、人員計画、人件費、公租公課 |
| チームB | 河野 | 東條 | 園尾 | 購入販売電力料、設備投資事業報酬、修繕費 |
| チームC | 男澤 | 松村 | 山内 | 需要想定供給力、燃料費、控除収益、費用の配賦 |
| チームD | 梶川 | 川合 | 平瀬 | 原子力バックエンド費用、その他経費 |
今後の方針
- 調達効率化のロードマップ: 大手電力会社7社は調達効率化に向けた計画を策定し、フォローアップが行われる予定である。
- 事後評価: 規制部門の電気事業利益率等が高くないか毎年度確認し、問題がある場合は速やかに指導が行われる。
電取委の監査状況
- 2015年度以降における指導件数は31件。
- 指導内容には、部門別収支計算書の算定誤り等が含まれる。
監査の結果
| 年 | 監査件数 | 指導内容の例 |
|---|
| 2015 | 1 | |
| 2016 | 6 | |
| 2017 | 9 | |
| 2018 | 8 | |
| 2019 | 3 | |
| 2020 | 2 | |
| 2021 | 1 | |
| 2022 | 1 | 部門別収支計算書の算定誤り |
電取委の監視対応
1. 内外無差別な卸取引の監視
(1) 内外無差別な卸取引の監視
- 電取委は、2020年7月に旧一般電気事業者に対して、取引条件の合理的判断及び内外無差別の卸売を行うコミットメントを要請した。
- 2021年度より各社の運用が開始され、以下の対応が含まれる:
- 社内取引の単価・条件や、締結された全ての卸契約内容の提出を求める。
- コミットメントの取組状況を確認し、結果を公表する。
- 卸標準メニューの作成・公表を旧一般電気事業者に求める。
(2) 実績
- 自社小売が参加するオークションや市場での販売において透明性が高い卸売手法が導入された。
- 旧一般電気事業者から新電力への卸売量は大幅に増加している。
- 2023年6月のフォローアップで、北海道電力及び沖縄電力の内外無差別な卸売が評価された。
2. 小売市場重点モニタリング
- 小売契約について、一定の価格水準を下回る場合の状況を把握するため、小売市場重点モニタリングを2019年9月から開始している。
- 年2回程度の頻度で調査結果が公表されている。
| 専門会合 | 対象案件 | 重点調査対象件数 | 調査事業者数 | 結果 |
|---|
| 第1回 (2020年3月) | 申告案件20件 | 4件 | 12社 | 可変費を下回る事例なし |
| 第2回 (2020年10月) | 申告案件2件 | 0件 | 2社 | 可変費を下回る事例なし |
| 第3回 (2021年6月) | 申告案件1件 | 0件 | 0社 | - |
| 第4回 (2021年12月) | 申告案件1件 | 0件 | 13社 | 九州電力で1件確認、再発防止指導 |
| 第5回 (2022年7月) | 申告案件26件 | 23件 | 14社 | 可変費を下回る事例なし |
| 第6回 (2022年10月) | 2022年1-6月案件 | 94件を抽出 | 12社 | 可変費を下回る事例なし |
| 第7回 (2023年6月) | 2022年7-12月案件 | 25件 | 7社 | 可変費を下回る事例なし |
| 第8回 (2023年11月) | 2023年1-6月案件 | 7件 | 3社 | 可変費を下回る事例なし |
3. 電力市場監視対応
(1) 電力市場全体の監視
- 電取委は、電力システム改革の一環として電力市場の整備を進めている。
- 市場の透明性を高めるため、取引データの公開が促進されている。
(2) スポット市場・時間前市場の監視
- スポット市場及び時間前市場は、小売販売電力量の3割から4割を取引する主要な卸取引市場である。
- 不公正な取引の監視を行い、定期的に分析結果を公表している。
(3) 容量市場の監視
- 容量市場では事業者による売り惜しみや価格つり上げに対する懸念があり、事前・事後監視が実施されている。
- 問題となる事例が確認された場合は注意喚起や必要なペナルティが課される。
今後の予定と対応
- 電取委は、継続的に監視体制の強化や制度見直しを行う予定である。特に内外無差別の取組については、評価方針の見直しや取引の透明性確保に向けた取組が求められている。
電取委における活動実績に係る論点
本資料では、卸電力市場の公平性と取引活性化を目的とした電取委の活動についての重要な論点を整理している。
1. 監視ルール・監視手法について
- 透明性・客観性・説明性・専門性・迅速性・適時性の担保状況
- 監視ルールの妥当性評価: 過度な規制となっていないか
- 将来の市場環境を考慮した取引監視の方向性
- 監視ルールの設定後の運用評価: PDCAサイクルの実践状況
- 電取委が注意すべき点や改善点
2. 指導、建議などについて
- 指導・建議のプロセスにおける透明性の確保
- 指導案件についての公表内容の適切さ
- 建議がルール改定に結び付いているかの評価
3. 市場監視について
- 市場監視における透明性、専門性などの確保状況
- 行政コストの妥当性
- 市場監視体制や人材育成の今後の方針
有識者・実務者のヒアリング結果
1. 電取委の取り組み評価
- 適切な監視・指導が行われているとの評価
- 情報提供の迅速さと頻度の高さが評価されている
2. 今後の課題
- データ集約・活用・分析の必要性
- 新市場立ち上げ時の監視の在り方
- 専門性の確保に向けた人材育成戦略
まとめ
本日の検討では、電取委の活動実績を評価するために、有識者や実務者からの意見を基に今後の方向性を整理した。この内容は次回以降の議論に向けて提示される予定である。