本資料は、外部の電力・ガス規制機関と日本の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)の体制及び活動を比較し、日本にとっての参考事例や示唆を抽出することを目的としている。具体的には、電取委の組織方針や監視機能の強化を図るための基礎資料を整備し、必要な議論を通じて、今後取り組むべき課題を整理することを目指す。
本調査では、以下の各国の規制機関を対象としている。
| 国名 | 規制機関 | 設立年 | 規制対象 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 電力ガス取引監視等委員会 (EGC) | 2015年 | 電力・ガス |
| 米国 | 連邦エネルギー規制委員会 (FERC) | 1977年 | 電力、水力発電、天然ガス、石油などの公益事業 |
| 英国 | ガス電力市場委員会 (GEMA) | 2000年 | 電力・ガス、スマートメータ通信 |
| フランス | エネルギー規制委員会 (CRE) | 2000年 | 電力・天然ガス |
| スウェーデン | エネルギー市場監督局 (EI) | 2005年 | 電力・天然ガス |
各国の規制機関における職員数は以下の通りである。
| 国名 | 職員数 | 市場監視を担う部署の職員数 |
|---|---|---|
| 日本 | 約140名 | 64名(小売市場: 24名、卸市場: 10名、送配電: 15名) |
| 米国連邦 | 約1,500名 | 388名 |
| 英国 | 約2,150名 | 560名 |
| フランス | 約165名 | 97名 |
| スウェーデン | 約220名 | 105名 |
各規制機関の予算について、特に海外の各国は日本の電取委と比較して大規模な予算を持っている。
| 年間予算額 | 日本 (EGC) | 米国連邦 (FERC) | 英国 (Ofgem) |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 5億6,540万ドル | 8,527万ドル | 2,260万ユーロ |
| 人件費 | 約240億円 | 3億5,048万ドル | 1億ポンド |
海外の規制機関では、以下の専門職が多く採用されている。
海外の規制機関では、中途採用が困難であるため、以下の方法で専門人材を育成している。
今後は、海外の事例の分析結果を基に、日本の電取委における組織の方針や監視機能の強化に繋げる必要がある。
| 国名 | 予算の確保方法 |
|---|---|
| 米国連邦 (FERC) | 被規制事業者に課される年会費と申請料によって運営コストを回収。増額は連邦議会の承認が必要。 |
| ペンシルベニア州 (PAPUC) | 被規制事業者および州内事業からの収入に基づく賦課金で資金を得ている。 |
| 英国 (Ofgem) | 被規制事業者および国家予算、ガス事業者から得られる賦課金等で運営コストを回収。 |
| フランス (CRE) | 国家予算及び被規制事業者からの資金調達で運営コストを賄う。 |
| スウェーデン (EI) | 国家予算および気候企業省からの予算、業務手数料で運営費を回収。 |
以下の表に示すように、対象となった海外の規制機関は規則制定権を保有しているが、日本の電取委はこれらの権限を持たない。
| 規制制定 | 日本 (EGC) | 米国連邦 (FERC) | ペンシルベニア州 (PAPUC) | 英国 (Ofgem) | フランス (CRE) | スウェーデン (EI) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 規制制定 | なし | あり | あり | あり | あり | あり |
| 事業許可 | なし | あり | なし | あり | なし | あり |
| 料金規制 | なし | あり | あり | あり | なし | あり |
海外の規制機関は、罰則適用権限及び犯則調査権限を保持しており、報告徴収や勧告も可能である。
| 規制機関 | 日本 EGC | 米国連邦 FERC | ペンシルベニア州 PAPUC | 英国 Ofgem | フランス CRE | スウェーデン EI |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 報告徴収 | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
| 勧告 | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
| 罰則適用 | なし (検察告発により刑則罰金の可能性あり) | あり (民事罰として罰金、協議の結果和解も可能) | あり (民事及び刑事罰の適用権限あり) | あり (電気法、ガス法等の違反に罰金適用権限あり) | あり (営業活動の一時的禁止の権限あり) | なし (罰金適用は行政裁判所への申請が必要) |
各国における競争当局との役割分担は異なり、英国では管轄権が重複している場合でも協議に基づく対応が取られている。
| 競争当局との役割分担 | 日本 EGC | ペンシルベニア州 PAPUC | 英国 Ofgem | フランス CRE | スウェーデン EI |
|---|---|---|---|---|---|
エネルギー規制機関と金融市場規制当局との管轄権については明確な切り分けが難しく、各国で協議に基づく対応が行われている。
| 金融市場の役割分担 | 日本 EGC | 米国連邦 FERC | 英国 Ofgem | フランス CRE | スウェーデン EI |
|---|---|---|---|---|---|
海外では、規制機関が以下の権限を保有することが一般的である:
日本においてもこれらの権限を電取委が保有する必要があるか、関係省庁との関係性や対応体制を考慮し判断が求められる。
多くの海外の規制機関は、以下の権限を保有している:
日本においても、電取委がこれらの権限を持つことが検討される場合がある。
英国では、競争当局とエネルギー規制機関の管轄権は明確に切り分けられておらず、事案発生時に協議して対応している。日本の場合は管轄権を明確に切り分け、迅速な対応を可能にしている。
海外では、エネルギー規制機関が現物市場とデリバティブ市場両方を管轄しているため、役割の切り分けが難しい。現時点で日本のエネルギー規制機関は現物市場のみを管轄しているが、今後範囲を拡大する場合は協議の上で対応が考えられる。
海外ではデジタルツールを用いて市場監視の効率化・高度化が進められており、日本でもこの流れを受け、職員をより価値の高い業務に移行させる必要がある。
多くの国では、規制機関内にデジタル分野専門の人材が在籍しており、日本でも専門家を採用しツール開発部署の設置が考えられる。
海外の規制機関では、需要家の関与を高めるために広報専門の部署を設置し、教育用資料やSNSを通じた情報発信を行っている。日本でも、広報部署や人材を配置し、電取委の取り組みを周知することが検討されている。
本調査を通じ、権限の見直しやデジタルツール導入、広報機能の強化などが今後の課題であることが明らかとなった。各国の事例を参考にしつつ、日本の特性に基づいた対応策を模索する必要がある。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。