本資料は、株式会社エナリスが進めるアグリゲーション事業について、以下の内容を整理したものである。
エナリスは、発電側と需要側のリソースを統合し、複数の電力市場や系統運営に対応するアグリゲーターを目指している。
エナリスが構想するアグリゲーション事業は、発電、需要、蓄電、需給管理を一体的に扱うものである。
| 分野 | 資料に記載された要素 |
|---|---|
| 系統運営・需給調整 | 需給調整市場、調整力公募 |
| 電力取引 | 卸電力市場、小売電気事業者 |
| 供給力・調整力 | 容量市場、kW、ΔkW、kWh |
| 付加価値 | 電力、環境価値 |
エナリスは、VPP実証や技術開発を経て、アグリゲーションサービスの事業化を進めてきた。
| 時期・段階 | 主な取組 |
|---|---|
| FY2016~FY2020 | VPP実証事業への参加 |
| その後 | VPPサービス開始 |
| 技術開発 | バーチャルパワープラント技術、再エネアグリゲーション技術の開発 |
| 事業制度への対応 | 特定卸供給事業者の届出 |
| サービス展開 | 再エネアグリゲーションサービス開始 |
| FY2021~FY2023 | アグリゲーション実証事業 |
| 全体の方向性 | 実証から事業化への展開 |
エナリスの実証・事業では、産業用設備から家庭用設備まで、多様なDERを対象としている。
太陽光発電や風力発電については、発電量の監視・予測を行うことが想定されている。
令和3年度の実証では、低圧リソースを含むアグリゲーションビジネスの拡大を目的として、供給力および調整力の検証を行った。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 低圧リソースの活用をはじめとしたアグリゲーションビジネス拡大のための実証事業 |
| アグリゲーションコーディネーター(AC) | 株式会社エナリス |
| リソースアグリゲーター(RA) | エナリス、KDDI、東邦ガス、ナンワエナジー、スマートテック、自然電力、Sassor、NTTスマイルエナジー、大阪ガス、日揮ホールディングス、エフィシエント |
| 実証協力事業者 | MHIET、REXEV、京セラ、Loop、サニックス |
| 制御リソース | 家庭用蓄電池、エネファーム、産業用蓄電池、自家発電機、EV(V2Hなど) |
| 項目 | 実証内容 |
|---|---|
| 制御可能量 | 1,599kW |
| リソース総数 | 7,663台 |
| 家庭用蓄電池 | 4,527台 |
| エネファーム | 3,129台 |
| EV | 7台 |
| 参加RA | 6社 |
複数の時間帯で制御の成功・失敗が判定された。資料では、あるRAの制御指令の不具合により家庭用蓄電池がローカルモードで動作し、ACとして失敗した事例が示されている。
約定ブロックの見直しを想定し、2コマで実証を行った。
| 項目 | 実証内容 |
|---|---|
| 制御可能量 | 1,300kW |
| リソース総数 | 3,740台 |
| 家庭用蓄電池 | 650台 |
| エネファーム | 3,090台 |
| 参加RA | 4社 |
実証では、以下の結果が示された。
この結果から、低圧リソースを多数束ねることにより、調整力市場での供出可能量を拡大できる可能性が示されている。ただし、資料では制御指令の不具合による失敗事例も示されており、実運用には制御の信頼性確保が必要である。
実証によって設備の制御精度は確認された一方、低圧・高圧リソースや再エネを実際に運用する上では、計測、設備設定、費用、予測などの課題が残されている。
| 区分 | 課題 | 資料に記載された対応・解決策 |
|---|---|---|
| 低圧リソース | ネガワットの供出 | 逆潮流による調整供出 |
| 低圧リソース | 機器点計測だけではネガワット供出を把握できない | 逆潮流を含めた計測・運用の検討 |
| 低圧リソース | 普段使いとの共存 | 運用シナリオを検討し、普段使いによるダックカーブ低減効果を評価する |
| 低圧リソース | 需要家ごとにモード設定が異なる | 需要家の設定を優先する |
| 低圧リソース | 設定を元に戻せない機種がある | 機器ごとの仕様を踏まえた運用が必要である |
| 低圧リソース | アグリゲーション時のランニングコスト | 容量市場への入札を活用する |
| 低圧リソース | メーカーの監視機能経由では短周期制御が困難 | 制御・通信方式の改善が必要である |
| 高圧リソース | 制御効果の把握 | 調整力供出時の機器点計測を行う |
| 高圧リソース | 特例計量器のコスト | 計測導入に伴う費用が発生する |
| 再エネ | インバランス | 発電予測精度を向上させる |
資料では、三次調整力②などについて、調達不足や約定価格の高騰が課題として示されている。
| エリア | 約定価格 | 日付 |
|---|---|---|
| 東北 | 140.30円 | 7月3日 |
| 東京 | 135.00円 | 6月29日 |
| 中部 | 347.90円 | 8月10日 |
| 中国 | 188.17円 | 8月27日 |
資料では、次のような対応が示されている。
調整力の調達コストを低減できれば、託送料金、ひいては電気料金の低減または上昇抑制に寄与する可能性が資料で示されている。
高圧リソースでは、拠点全体の需要や複数設備の動作を把握しなければ、調整力供出の効果を正確に評価しにくい。資料では、研究施設とオフィスビルの事例を通じて、この課題を示している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設契約電力 | 高圧 530kW |
| 調整力供出リソース | 自家発電機 450kW |
| 実証時の設定 | 300kW |
| その他の設備 | 調整力供出用以外の自家発電機が稼働 |
| 需要の特徴 | 不定期な試験等により需要が安定せず、統計的手法によるベースライン作成が困難 |
ピークカット用自家発電機Bには、平日8時30分から18時05分までを運転時間帯とし、受電電力に応じて起動・停止する条件が設定されていた。
この事例は、調整力対象の設備だけでなく、拠点全体の設備動作を把握する必要性を示している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設契約電力 | 70kW |
| 調整力供出リソース | 産業用蓄電池 100kW/60kWh |
| 実証時の設定 | 15~20kW |
| その他の設備 | EV充放電器、電灯負荷、動力負荷 |
| 通常運用 | 受電電力の閾値を設定し、蓄電池でピークカット |
| 需要の特徴 | 日々の需要変動や不定期なEV充電がある |
三次調整力②の実証では、蓄電池が不定期な負荷変動を吸収しながら、目標値に向けて制御された。
一方、実証終了後には、蓄電池の残量低下を回復するための充電により、需要が増加する動作も確認された。蓄電池の制御では、調整力供出時だけでなく、その後の残量回復による需要変化も考慮する必要がある。
低圧リソースを需給調整市場で運用する場合、膨大な数のリソースを個別にリスト・パターン登録する必要があることが、実運用上の課題となる。
これに対し、特定卸供給事業者として制度化されたアグリゲーターが、複数の低圧需要家を一つの需要家群として登録する運用案が提案されている。
家庭用蓄電池による下げDR、すなわちネガワットを例として、以下の運用を想定している。
| 項目 | 現在の運用 | 提案案 |
|---|---|---|
| 需要BG | 小売Aの需要BG | 需要BGを2つに分ける |
| 接続供給契約 | 1つ | 2つ |
| DR対象外需要家 | 需要BGに含む | 需要BG1に含む |
| DR対象需要家 | 同じ需要BGに含む | 需要BG2に含む |
| 調整力供出 | 個別リソースを対象 | 低圧需要家群として登録 |
| アグリゲーター | - | 低圧需要家群を取りまとめる |
送配電事業者が各需要家の機器構成や計量器を個別に確認できないことを踏まえ、次の運用が提案されている。
この提案には、制度上の確認が必要な事項も残されている。
また、エネファームはネガワットだけでなくポジワットにもなり得るため、ポジワット、すなわち発電BGとの組合せも検討が必要とされている。
低圧リソースを大量に束ねて制御するための技術として、**5GとMEC(Multi-access Edge Computing)**の活用が検討されている。
| 項目 | 従来方式 | 5G+MEC方式 |
|---|---|---|
| 通信 | 4G通信 | 5G通信 |
| 演算機能 | クラウド | MEC |
| 制御対象 | 個別リソース中心 | リソースの群制御 |
| 期待される効果 | - | 通信機器の低コスト化 |
5G・MECは、令和3年度の独自検証に加え、令和4年度の実証でも検証対象とされている。
令和4年度は、低圧リソースを含むアグリゲーションビジネスの拡大に向け、対象市場と制御技術を広げた実証を行っている。
再エネアグリゲーションでは、太陽光・風力発電と産業用蓄電システムを対象に、発電予測、インバランス回避、市場取引、需給一体調整などを検証している。
| 分野 | 検証内容 |
|---|---|
| 共通インバランス回避 | 発電量予測のタイミング、通年でのFIP収益性、インバランス評価 |
| BG組成 | 令和3年度に開発したBG組成ロジックの発展 |
| 蓄電池制御 | インバランス回避制御ロジックの改善、最適な蓄電池容量比の検証 |
| 市場取引 | 収益性改善に向けた制御ロジックの検討 |
| 発電量予測 | 野立て太陽光、風力、住宅用太陽光への対応、アンサンブル気象予報の導入による予測精度の検証 |
| 需給一体調整 | 発電側と小売側のシステム連携、最適な運用ロジックの検討 |
| リスクファイナンス | インバランスリスク保険商品、保険を含むリスクファイナンシング手法の検討 |
| 事業性評価 | 再エネアグリゲーションにおける蓄電池の経済性を試算するシミュレーターの検討・構築 |
これらの実証を通じて、再エネアグリゲーションに必要な知見・技術を獲得し、実ビジネスを想定したアグリゲーター運用を検討するものである。
最終的には、発電側と需要側を一体的に調整するシステムの構築を目指している。
資料全体では、エナリスが次の段階でアグリゲーション事業を拡大していることが示されている。
実証では、低圧リソースを多数束ねた調整力制御が可能であることが示された一方、制御指令の信頼性、需要家ごとの機器設定、拠点全体の計測、登録制度、再エネ発電予測などが実運用上の課題として整理されている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「アグリゲーター 事例と課題」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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