足元の市場活性化策(案)
時間前市場の流動性を高めるため、旧一般電気事業者に対し、入札可能量の提出と売り札の継続的な提示を求める案である。いずれも本資料で示された提案であり、確定した制度変更ではない。
- 事務局が選ぶ各月の特定日について、全コマの入札可能量を事後的に可視化し、四半期ごとのモニタリング報告で公表する。個社情報への配慮から、原則として沖縄を除く9社の合計値を公表する。
- 入札可能量があるコマでは、原則3件以上の売り札を常時提示する。3件分の合計量は入札可能量の範囲内で、少なくとも現状の売り入札量を確保する。価格は任意だが、不当に高い価格を故意に提示しない。
- 約定後や計画・価格の見直し後は可能な限り速やかに札を補充し、GC前の引き上げは可能な範囲で遅らせる。17時の開場後すみやかに全コマで開始し、夜間も原則対応する。夜間取引の実績があり、夜間対応事業者も一定数いることが根拠として示された。
取引ニーズと制度変更の見通し
現行の時間前市場は、スポット市場で決まった起動電源を前提に、GC前の最終的な需給調整を担う。発電機の追加起動を通常想定せず、主な取引ニーズは需要予測誤差の調整である。2017年度の取引量は卸電力取引全体の3.7%で、前日正午時点からの需要予測誤差の規模と一定の整合性があると資料は整理する。ただし、逼迫時の流動性向上策の必要性を否定するものではない。
今後の環境変化は、取引対象となる誤差の増加とGC直前までの取引需要をもたらす可能性がある。
- インバランス料金は、系統不足時に市場価格以上、余剰時に市場価格以下となる方向で検討中である。実現すれば、インバランス回避の誘因が強まり、時間前取引の多様化・円滑化が重要になる。
- FIT特例①の見直しでは、GCまでに判明した発電計画の変動に伴う調達・販売計画の調整を系統利用者が担う方向が議論されている。現行はFIT太陽光の予測誤差の多くを送配電側が調整する仕組みである。
- 卒FIT住宅用太陽光は2019年11月から買取期間が順次終了し、2023年までに累積約165万件・670万kWとなる見込みである。火力電源を持たない事業者に売電された電源の予測誤差は、時間前市場で調整される可能性がある。FIT特例①の誤差は大きいコマで100万kWh超の地域もあり、2017年度の時間前市場の平均約定量25.4万kWhを上回る規模が示されている。
将来の市場設計と進め方(提案)
将来は、スポット市場で実需給に起動する電源のベースを決め、価格指標性を確保することを前提に、時間前市場でも追加起動や大ロット取引を可能にする方向で検討する案である。具体策として、シングルプライスオークション(SPA)の導入と約定結果の計画反映の自動化が挙げられた。
- SPAは、実施回数・時間、売り入札価格、ザラ場との接続、市場システム改修などを含めて詳細設計を検討する。参加者のニーズ、インバランス料金制度の議論、海外事例、スポット市場の流動性確保を考慮する。
- 資料は、少なくとも将来のインバランス料金制度見直しまでにSPAが導入されていることが必要との考えを示し、事業者にシステム対応を促す。卒FIT電源を含む太陽光を保有し、自らインバランス責任を負う事業者が増える場合、導入の必要性は高まるとの見通しである。ただし、自社火力で調整できる場合は市場調整の必要性が相対的に低いとする。
- GCに近い取引を円滑にするため、約定結果の計画反映を自動化する作業を早期に具体化する案である。