本資料は、NEDOが実施する「電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DER)」事業の進捗報告である。報告日は2024年3月5日である。
本事業では、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大に伴って配電用変電所で発生する系統混雑を対象とし、蓄電池などの分散型エネルギーリソース(DER)を制御して混雑を緩和する仕組みの構築を目指している。
主な対象は、配電用変電所の変圧器における混雑である。
混雑緩和には、DERの上げDRを活用する。ここでいう上げDRとは、系統側の電力需要を増加させる方向にDERを制御することである。例えば、太陽光発電の出力が増加する時間帯に系統用蓄電池を充電し、配電用変電所から上位系統へ流れる電力を抑制する。
事業の目的は、以下の2点である。
本事業は、2020~2021年度に実施したフィージビリティスタディ(FS)の結果を踏まえて進められている。2024年度は、実系統でフィールド実証を行う最終年度と位置付けられている。
| 年度 | 実施内容 |
|---|---|
| 2020~2021年度 | フィージビリティスタディ(FS) |
| 2022年度~ | DERフレキシビリティシステムの開発 |
| 2023年度~ | DERの導入および検証 |
| 2024年度 | 実系統でのフィールド実証 |
本事業では、DERフレキシビリティシステムを、以下の3つのシステム・プラットフォームから構成している。
| 構成要素 | 主な役割 |
|---|---|
| 一般送配電事業者システム | 系統の混雑状況と、系統に接続された制御可能なDERの情報をひも付け、DERへの制御指令を発出する |
| DERフレキシビリティ活用プラットフォーム | 一般送配電事業者とアグリゲーター間のDERフレキシビリティの取引、市場機能、制御指令の伝達を担う |
| アグリゲーターシステム | 制御指令に基づいてDERを制御し、DERの応動状態を管理する |
プラットフォームには、主に市場機能と制御機能がある。
また、アグリゲーターの参入障壁を下げるため、既存のアグリゲーターシステムを可能な限り改修せずに利用できる構成が検討されている。
DERフレキシビリティを活用した系統混雑緩和の実現性を確認するため、検討事項を4つのワーキンググループ(WG)に分けている。幹事企業は東京電力パワーグリッドであり、各WGが相互に連携して検討を進めている。
| WG | 検討内容 | 主な参加企業・機関 |
|---|---|---|
| WG1 | 一般送配電事業者における課題 | 東京電力PG、関西送配電、中部電力PG |
| WG2 | DERフレキシビリティ活用プラットフォームにおける課題 | 東京電力PG、早稲田大学、三菱総合研究所、関西送配電、三菱重工 |
| WG3 | アグリゲーターにおける課題 | 京セラ、東京大学、東京電力EP、東京電力HD |
| WG4 | フィールド実証 | 東京電力PG、早稲田大学、関西送配電、三菱総合研究所、東京電力EP、東京電力HD、三菱重工 |
フィールド実証では、太陽光発電の逆潮流によって配電用変電所で混雑が発生する状況を模擬する。その上で、以下の一連の業務・システム動作を検証する。
2024年度のフィールド実証は、栃木県那須塩原市で実施することを想定している。
再生可能エネルギー、主に太陽光発電の連系により、将来的に系統混雑が発生する可能性のある変電所を抽出し、実証対象エリアを選定した。資料では、以下の調査を完了したとしている。
本事業に関連して、東京電力パワーグリッドは、実証対象系統に新たに連系される系統用蓄電池について、2023年8月から試行的な取り組みを実施している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2023年8月から |
| 対象 | 実証対象系統に新規連系される系統用蓄電池 |
| 対象系統 | 関谷変電所1号変圧器を電源とする配電系統 |
| 前提条件 | 配電用変電所の変電設備容量を逼迫させる方向に影響を与えない運用制約を遵守すること |
| その他の条件 | 運用制約への同意など |
| 目的 | 変電設備を増強することなく系統連系を行うこと |
フィールド実証に向け、実証用DERフレキシビリティシステムの構築が進められている。
| 機能 | 整備内容 |
|---|---|
| 一般送配電事業者の指令システム | 既存の簡易的な実証用指令システムを改良して導入 |
| 市場機能 | 既存のプラットフォームを導入 |
| 制御機能 | 他システムとの連携を考慮して新規に構築 |
| アグリゲーターシステム | 既存のAC・RAシステムを可能な限り活用 |
一般送配電事業者は、変電所の潮流値や気象情報などを基に潮流を予測する。その予測結果に応じて、次の流れでDERを制御する。
フィールド実証に向け、募集要件案や制御要件案を反映した業務フロー案を作成し、実証環境の構築を進めている。
主な実施内容は以下のとおりである。
また、2024年2月には、三菱重工業の工場内で事前検証を実施した。プラットフォームを介してDERを制御し、実証用システムの動作および業務フロー案の不備の有無を確認している。
2024年度の実証に向け、系統用蓄電池の工事が進められている。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出力 | 1,999 kW |
| 容量 | 6,310 kWh |
資料には、蓄電池コンテナ、PCS盤、連系変圧器などの設置状況が示されている。
2024年度は、実証用に開発したDERフレキシビリティシステムを用いて、実系統でDERを制御し、系統混雑を緩和できるかをフィールド試験で検証する。
検証対象となる業務は以下のとおりである。
実証を通じて、以下の成果を取りまとめるとしている。
検証すべき項目を網羅するため、12件のユースケースが整理されている。資料本文の抜粋では、そのうち以下のケースが示されている。
| ケース | シナリオの概要 | 募集要件 | 制御パターン |
|---|---|---|---|
| ケース1 | PV出力の増加に対し、系統用蓄電池を充電して配電用変電所変圧器の混雑を回避 | 需給調整市場三次②相当 | 発動1時間前の混雑予測に基づき、12コマ分をまとめて制御指令 |
| ケース2 | ケース1と同様の混雑回避 | 容量市場の発動指令電源相当 | 各コマの1時間前の混雑予測に基づき、30分ごとに更新した制御指令 |
| ケース3 | ケース1と同様の混雑回避 | 記載なし | 発動3時間前の混雑予測に基づき、6コマ分を2回発出 |
| ケース4 | PV出力の増加に対し、蓄電池を充電して混雑を回避。落札量に応じた制御量を対象 | 容量市場の発動指令電源相当 | 発動3時間前の混雑予測に基づき、6コマ分を2回発出 |
| ケース7 | 複数のDERが落札した場合、約定結果に従って制御量が分配されるかを確認 | 容量市場の発動指令電源相当 | 発動1時間前の混雑予測に基づき、30分ごとに更新した制御指令 |
| ケース12 | 制御途中で蓄電池のSoC不足が発生し、応動量が不足する場合を確認 | 容量市場の発動指令電源相当 | 発動1時間前の混雑予測に基づき、制御指令 |
SoCは、ケース12において、蓄電池の充電状態を示す指標として記載されている。
本事業は、配電用変電所の混雑に対して、変電設備の増強だけでなく、蓄電池などのDERを市場機能と制御機能を通じて活用する仕組みを構築するものである。
2024年度には、那須塩原市を実証エリアとして実系統でのフィールド実証を行い、以下の実現性を検証する段階にある。
これまでにシステム構築、DER導入、蓄電池設置、事前検証などが進められており、2024年度の実系統における総合的な検証に移行する位置付けである。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「NEDO電力系統の混雑緩和のための 分散型エネルギー・リソース制御技術開発 (FLEX DER)事業の進捗報告」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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