本資料は、ガス市場の競争促進に向けた検討論点の案であり、具体策を決定したものではない。論点は、長期契約・違約金による参入阻害、卸供給へのアクセス、電気とガスをまたぐ競争条件の三つである。
ガスは導管網が地域内で完結する場合が多く、域外供給が難しい。卸市場もなく、ガス小売事業者には消費機器の保安義務がある。既存事業者にも中小企業が多く、私営都市ガス事業者177社のうち164社が中小企業である。これまでに、LNG基地の余力への第三者アクセスやスイッチング環境の整備が進められている。
新規小売事業者からは、大口顧客との10年超を含む長期契約や高額違約金、違約金と「包括契約」などを組み合わせた営業が、スイッチングを妨げるとの指摘がある。一方、長期契約には、設備投資や取引コスト低減を可能にし、需要家が相対的に低廉な料金を受けられる面もある。契約対象の顧客・需要量、契約期間などによって市場閉鎖を招き、新規参入や中長期の需要家利益を損なうかが検討点である。
背景には、小売事業者のLNG調達が、引取下限数量を定める「take or pay」条項付きの長期契約に依存し、需要離脱分のLNGをスポット市場で売却したり、他社へ卸供給したりすることが容易でない事情がある。離脱後の販売先を開拓するまでの逸失利益を違約金として求める考え方をどう評価するか、また、LNGの国内外取引、発電利用、卸供給など可能な対応を尽くさずに競争制限的な違約金を課すことが適切かが問われている。違約金の正当化事由や競争を阻害しない条件も未確定である。
卸市場がなく、LNGを調達していない新規参入者は、既存ガス・電気事業者、石油会社、国産天然ガス保有会社などとの相対交渉に調達を依存する。価格指標の不在は採算判断の障害との指摘がある一方、旧一般電気事業者と導管が接続する地域では、新規事業者への卸供給例も生じている。
需要離脱に相当するガスの新たな販売先を直ちに見つけるのが難しい場合、新規参入者に供給する需要があり得る。求めに応じて市場価格または適切なコストベースで卸供給しないことの経済合理性や、競争者排除の意図をどう判断するかが論点である。既存の取引指針は、可能な範囲で積極的に卸供給することを望ましい行為とし、他に調達手段が事実上ない事業者への不当な供給拒絶・制限や高値設定は、事業活動を困難にする場合、独占禁止法違反のおそれがあるとしている。旧一般ガス事業者の規模等に応じた卸供給の仕組みや取引所の利用も検討対象であり、取引所を使わない場合も価格透明性が課題である。LNG輸入量の約7割を電気事業者が占めることも、潜在的な供給力の検討材料である。
同じ地域で営業する旧一般電気事業者が、旧一般ガス事業者の2倍以上のLNGを輸入する例がある。電気事業者は多様な電源を持つ一方、ガス事業者の発電はLNG中心となる場合が多い。こうした違いを背景に、電気の使用額が大きい顧客に対するセット割引などが、電気市場の支配力を利用したガス市場での競争者排除に当たる可能性が論点として示されている。ベースロード電源の固定費回収や、ガス事業者が余剰LNGを発電に回せる可能性も考慮事項である。
逆に、ガス使用額が電気より大きい顧客では、ガス市場の支配力が電気市場での競争者排除に使われる可能性もある。このため、特定の事業者間の比較に限らず、エネルギー小売市場全体の市場支配力も視野に入れ、セット割引などの取引慣行を見直す際の判断方法を検討する段階である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「ガス市場の競争促進に向けた今後の論点について(案)」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_studygroup.html)をもとに当社作成
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