本資料は2018年5月時点の事務局案であり、規制方針を決定するものではない。新電力への切替えを申し出た顧客に、旧一般電気事業者が新電力には対抗困難な価格を提示して契約を取り戻す行為などについて、競争政策上の対応を議論するものである。一部地域、とくに高圧・特別高圧で事例が多いとの指摘があり、託送料金を除いて5~7円/kWh、または取戻し前より20~30%以上安い価格の例が挙げられている。ただし、こうした事例の広がりや競争への影響は確認されておらず、新電力の高圧シェアが伸びている点も考慮事項である。
事務局が聞き取った新電力の指摘では、旧一般電気事業者は原子力・水力など可変費の低い電源を保有する一方、新電力はそれらへのアクセスや自前での建設が難しく、市場調達や常時バックアップに頼る。この差を背景に、旧一般電気事業者が顧客や競争状況に応じ、低い可変費にわずかな固定費分を加えた価格を提示している可能性があるとされる。こうした価格が無制限に認められれば、短期には需要家が安価な供給を受ける一方、中長期には新電力が顧客を獲得できず、競争の縮小を通じて需要家に不利益が及ぶ可能性が論点となる。
一方、原子力・水力は固定費が高く、発電事業者には卸供給価格を通じて固定費を回収する必要もある。発電・小売部門間の内部補助が背景にあるとの見方もあるが、多くの旧一般電気事業者は垂直統合され、会計分離もないため検証が難しい。旧一般電気事業者による卸市場での自主的取組や常時バックアップ、部分供給に加え、2020年にはベースロード市場の創設が予定されていた。
事業者が競争の強さや顧客の交渉力に応じて価格を変えることを、通常の競争行動とみなせるかが問われている。とくに、電源アクセスに差があるなか、旧一般電気事業者が特定の顧客に安価な供給を提示し、新電力が経済合理的に対抗できない場合に、旧一般電気事業者や販売子会社を対象とする電気事業法上の規制を設けるかは未決である。個別の小売価格から託送料金などを除いた額を卸売価格相当とみなし、ベースロード市場への供出価格を下回る場合に不当な廉売と評価できるか、との指摘も紹介されている。小売営業ガイドラインは、競合を市場から退出させる目的で不当に安い供給を行い、健全な競争を損なう場合を電気事業法上の問題としている。規制の検討では、実態の広がり、卸市場価格や相対取引、自ら建設可能な電源、顧客が得る短期的な利益を考慮する必要がある。
スイッチング支援システムでの供給地点番号の照会や廃止取次申請が、旧一般電気事業者に切替え情報が伝わり、取戻し営業を始める契機となるとの指摘がある。情報利用の正当性に加え、現小売への通知時期や社内共有範囲を必要最小限にするかが論点である。一方、顧客が違約金を認識していない場合があるため、旧小売が説明・徴収のために連絡する必要性も挙げられる。新小売には違約金の可能性を説明することが望ましいとされるが、旧契約の具体的条件や金額は把握できない。電気事業で違約金を正当化する事情があるかは未検証であり、不当に高額な違約金は、解除を著しく制約する契約条項として既存ガイドライン上の問題行為である。スマートメーター未設置の顧客では初回切替えに7週間程度かかる一方、切替えを取り消して旧一般電気事業者へ戻る期間は2週間以内との指摘もあり、手続期間の差も論点である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「[電力小売市場における「取戻し営業」等への対応に関する論点について(案)]」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_studygroup.html)をもとに当社作成
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新電力シェアは2025年12月時点で約22.1%、低圧のスイッチング率は51.4%に達した[DOC:f3b43584-e8a0-490e-9b80-d77889eebb36]。2022年の市場価格高騰による撤退ラッシュからの回復は数字上明らかだが、同じ時期に電源調達の前提(常時バックアップ、内外無差別卸、インバランス料金)と競争の担い手構成が静かに入れ替わっている。数字の回復と競争条件の変化を分けて読むことが、2026年度以降の調達判断の出発点になる。
電力の切替手続きそのものは、2016年の全面自由化時に構築された共通システムでほぼ標準化され、実務上の争点は限られた残余論点に絞られてきた。一方で、審議会が公表する「スイッチング率」「新電力シェア」は指標として異なる現象を測っており、2026年には競争状況の測り方そのものが変更された。本稿では、制度の現在地と指標の読み違えを避けるための論点を整理する。
Policy Scope
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