需給調整市場に関する報告書
資料の目的と背景
本資料は、需給調整市場に関する情報を提供し、2024年9月30日における第1回制度設計・監視専門会合での議論を支えるために作成されたものである。内容は、需給調整市場の運用状況や問題点に関する報告が中心である。
主要な検討内容
資料では次の主要な内容が検討されている。
- 9月中旬までの需給調整市場の動向
- 価格規律の検討
- 高値落札案件の調査状況報告
- 調整力kWh市場におけるV1V2スプレッドの調査状況報告
- B種電源の固定費回収状況の報告
市場の動き
前日取引の動き(4月1日~9月10日)
-
北海道エリアの平均約定単価が増加
-
東京エリアの想定費用が減少
週間取引の動き(同期間)
- 北海道と九州エリアの平均約定単価は高い。
- 8月における想定費用の上昇は次の通り:
- 東北: 7月 13.71億円 → 8月 22.84億円
- 東京: 7月 12.01億円 → 8月 20.26億円
- 関西: 7月 21.53億円 → 8月 35.71億円
- 中国: 7月 9.62億円 → 8月 19.20億円
調達費用と約定量の動向
エリア別調達費用と約定量(4月~9月)
| エリア | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
|---|
| 北海道 | | | | | | |
| 東北 | | | | | | |
| 東京 | | | | | | |
| 中部 | | | | | | |
| 北陸 | | | | | | |
| 関西 | | | | | | |
| 中国 | | | | | | |
| 四国 | | | | | | |
| 九州 | | | | | | |
注: 9月のデータは9月1〜10日の値を3倍して比較。
課題およびリスク
- 東京エリアでは一次調整力および二次調整力の調達率が低く、今後の監視が必要である。
- 中部エリアも、応札があったにも関わらず調達率が低い状態である。
起動費事後精算に関する議論
- 起動費の計上方法や精算方法について、現在の運用が再検討されている。
- 歯抜け約定の考慮や、経済差替に関するインセンティブの必要性についても議論されている。
高値落札案件の調査状況報告
調査の概要
- 需給調整市場ガイドラインでは、市場支配力の影響に基づき事業者に対して事前的措置を規定している。
- 需給調整市場では応札量が不足する事象が続いており、この競争状態が続く可能性が高いため、厳格な入札価格ルールの設定や監視が必要である。
- 特に、「三次調整力」については上限価格が設定されていないため、高値落札案件の調査が行われた。
調査結果
- 入札価格の設定方法に不適切な事案が見つかり、該当する事業者に是正を促した。
- 高値落札案件の調査は継続しており、必要に応じて需給調整市場ガイドラインの改定を行う予定である。
不当な価格つり上げ等を防止する措置の全体像
- 需給調整市場では、連系線の制約により市場競争が限定的になる場合がある。
- 大きな市場支配力を持つ事業者の不当な高値入札が市場相場に重大な影響を及ぼす場合、法的措置として業務改善命令が適用される。
| 対象事業者 | 法的措置 | 上乗せ措置 |
|---|
| 大きな市場支配力を有する事業者 | 業務改善命令等で是正事後監視 | 価格登録に一定の規律を設け要請事前的措置 |
| それ以外の事業者 | | |
事前的措置と業務改善命令等との関係
- 事前的措置として設定した価格規律を遵守している限り、業務改善命令の対象とはならない。
- 業務改善命令の対象は、「市場相場に重大な影響をもたらす取引」を実行すること。
調査事例
事案1:ΔkW価格への不適切な固定費の計上
- ΔkW価格に計上する固定費は、合理的な額の範囲内である必要があるが、調査対象事業者は適切に期間按分せずに計上していた。この事業者には価格見直しが求められている。
固定費回収のための合理的な額について
- 固定費回収の額は、当年度分の固定費を対象とし、過年度分や将来回収分を含めてはならないことが明文化された。
- 具体的には、0.33円/ΔkW・30分の上限が設けられる。
事案2:応札ブロック外の損失計上
- LNG火力ユニットがマストラン運転によって発生させた損失を、関連のないブロックでもΔkW価格に計上していた事例。
最低出力分の電力の取扱い
- マストラン運転に係る最低出力分の電力は、需給調整市場に応札する際の価格計上対象となる。
今後の方針
- 固定費回収の対象期間を当年分に明確化し、需給調整市場ガイドラインに明文化する見込みである。
- 高値落札案件に関する調査は続き、ガイドラインの見直しも検討される。
調整力kWh市場におけるV1V2スプレッドの調査状況
調査目的
- 調整力kWh市場におけるV1V2のスプレッド状況を報告することを目的とする。
価格登録の例
スポット市場価格を引いた価格登録
- V1 = 15円/kWh × 1.1
- V2 = 15円/kWh × 0.9
ポンプアップ電源の限界費用を引いた価格登録
- V1 = 15円/kWh × 1.1
- V2 = 15円/kWh × 0.9
出力帯
- 三つの出力帯があり、具体的な内容は記載されていない。
B種電源の固定費回収状況
- 第89回制度設計専門会合において、B種電源の固定費回収状況を3ヶ月ごとに報告することが定められた。
| リソース | 回収率 |
|---|
| 電源3件 | 36〜86% |
| 蓄電池VPP2件 | 36〜86% |
| 事業者2社 | 36〜86% |
- 固定費回収後のΔkWマージンは0.33円/ΔkW・30分とされており、7〜9月の回収状況についても確認が必要である。
第89回会合における整理
- 会合では、ΔkWの固定費回収に必要な額の設定が論議された。
| 種別 | 案1 | 案2 |
|---|
| A種 | 0.33円/ΔkW・30分 | 限界費用×1.5〜3.3% |
| B種 | - | 個別協議が必要 |
調整力ΔkW市場の価格規律
- 調整力ΔkW市場における適切な価格登録ルールが示されている。
価格登録要件
- ΔkW価格が逸失利益(機会費用)および一定額を超えないこと。
注意事項
- 基準値により価格は変動するため、各電源ごとに合理的な価格設定が必要である。