不動産協会は、2050年の脱炭素社会実現に向けた長期ビジョンと、2030年までの環境行動計画を掲げる。本資料の中心は、建築物のライフサイクルカーボン削減に向け、排出量算定を広げるとともに、削減努力を適切に評価する制度や市場環境を整えるよう求める提案である。政策として決定済みの事項ではない。
三井不動産グループの2019年度排出量438万t-CO2のうち、建築時が50%、他者利用・売却時が33%を占め、自社利用分は12%である。建築時排出量の把握には、工事費に排出係数を掛ける従来方式では内訳や削減効果を捉えにくいため、工種・資材ごとの数量に排出原単位を掛ける「資材数量方式」を導入した。不動産協会は2023年に算定マニュアルを策定し、2024年に改訂した。
算定対象には範囲の違いがある。アップフロントカーボンは新築時、エンボディドカーボンは新築・改修・解体時、オペレーショナルカーボンは使用時のエネルギー・水消費による排出を指す。ホールライフカーボンはこれらを含む建築物のライフサイクル全体の排出である。協会マニュアルは主にアップフロントカーボンを扱い、J-CATはホールライフカーボンを算定する枠組みである。
2024年12月のアンケートは会員162社中33社が回答した。Scope3を算定済みまたは算定作業中の企業は19社(58%)であり、協会マニュアルを使った経験がある企業は12社(36%)である。回答からは、ホールライフカーボン全体ではなくアップフロントカーボンの算定にとどまる状況が示されている。
算定済み・作業中の企業では、費目積上方式が11社(61%)、金額比例方式が6社(33%)である。一方、未算定で算定意向のある企業では、金額比例方式を想定する回答が3社(60%)と最多である。費目積上方式で算定する企業の担当は、社内と建設会社が各4社、コンサルタントが2社などであり、算定時期は竣工時が最多であった。
主な障壁は作業量・コストであり、算定企業15社が挙げた。CO2原単位の不足(10社)や、建設会社・設計事務所ごとの対応差(7社)も課題である。未算定企業では作業量・コストに加え、外部への算定依頼の難しさが挙がる。顧客・投資家等からの算定要請は限定的で、回答企業のうち顧客からは9%、投資家からは15%にとどまった。
建築費は2015年比で約60%上昇する一方、消費者物価の上昇は約10%とされ、工事費上昇は事務所賃料の上昇を大きく上回る。資料は、建設コスト高騰による開発停滞や追加投資の難しさ、環境性能を重視する物件選択の機運が途上であることを課題として挙げる。省エネ・再エネや低炭素建材への取組を継続するには、顧客ニーズ、経済合理性、社会課題解決を同時に成り立たせる必要があるとの整理である。
協会の要望は、事業者のライフサイクルカーボン削減努力を適切に評価・表示し、省エネ規制とのバランスを取った制度を設計することである。建築時(アップフロント)と運用時(オペレーショナル)の排出にはトレードオフがあるため、双方を考慮した評価を求める。また、ZEHは住宅ローン減税などを背景に普及が進んだ一方、テナントに運用コスト低減の利点が伝わりにくいZEBは普及が遅れているとする。エンボディドカーボンについては、優遇措置や算定負荷を軽減するルールづくりを要望している。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「不動産業界における カーボンニュートラルに向けたサプライチェーンでの取り組み要望」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/gx_league/index.html)をもとに当社作成
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