資料の目的・背景
本資料は、将来のロードカーブに関する検討状況を整理したものである。特に2040年及び2050年の電力需給シナリオを策定するためのフローや要素について説明している。
主要な検討内容・論点
1. ロードカーブの想定
- 電力需給バランスの策定: 将来の需要・供給力を想定し、kWhバランスとkWバランスの両方を策定する。
- 検討フロー:
- STEP0: アウトプットイメージの共有
- STEP1: 需要想定の策定
- STEP2: 供給力想定の策定
- STEP3: 概算需給バランスの策定
2. 需要想定の要素
- 基礎的需要:
- 人口
- 世帯数
- 経済成長率(家庭用・業務用・産業用)
- 追加的要素:
- 省エネ・電化の進展
- 産業構造の変化
- 自家発動向
- 水素製造、DAC(CO2空気回収)見通し
3. 供給力想定の要素
- 再生可能エネルギー: 風力・太陽光・系統用蓄電池
- 原子力・火力: 原子力・揚水稼働見通し
- 水素・アンモニア発電の見通し
4. 課題の提示
- 需給バランス策定によって示される課題についても整理されており、特に以下のような要素が考慮される:
- 負荷率に影響を及ぼす需要項目の特定(例: デマンドレスポンス(DR)としてのEV充電や水素製造)
重要な数値・データ
- 目標年: 2040年、2050年
- 需要の変化に伴う電力バランスを検討するためのデータ収集と分析。
スケジュール・今後の予定
- 2024年度内に、2回の作業会を開催し、意見収集・検討を進める予定である。
- 今後の検討スケジュールは以下の通りである:
| 検討項目 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
|---|
| 作業会 | | | | | | ■ | | | | | |
| 第5回需要論点整理供給力キックオフ | | | | | | ■ | | | | | |
| 第6回ロードカーブDAC | | | | | | ■ | | | | | |
課題・リスク
- 参加者からは、多様な意見が寄せられ、各分野の技術状況やエコシステムの変化により、DRの実現には高いハードルが存在するとの指摘がある。
本日ご意見いただきたい事項
- 本日は、各要素ごとのロードカーブ及びDRの考え方について意見を求め、将来の変動分の影響を整理した資料の妥当性について評価を行う予定である。
電化におけるデマンドレスポンス(DR)促進事例
ヒートポンプ給湯機のデマンドレスポンス
- 資源エネルギー庁は、DR ready要件を満たすヒートポンプ給湯器の出荷割合について検討している。
- 今後、DR ready要件を満たすヒートポンプが普及することにより、さらにDRの拡大が見込まれる。
DR ready制度の方向性
今後の省エネルギー小委員会で、具体的な内容について報告予定である。
電気自動車(EV)のデマンドレスポンス
- 2030年における電気自動車のDR参加率は**30%**とされており、2050年には電力価格の時間帯ごとの差が拡大し、DRに対するインセンティブが大きくなると考えられている。
家庭用ヒートポンプ式給湯機や電気自動車のDR想定
- 主要前提
- 再生可能エネルギー導入見込量:太陽光 64GW、風力 10GW
- CO2単価:$40/tCO2
- デマンドレスポンス参加者:家庭用ヒートポンプ式給湯機、電気自動車の30%
- 需要側エネルギー貯蔵:なし
電気自動車の充電シフト促進
- ダイナミックプライシングを通じて、電気自動車の充電を安価な昼間時間帯にシフトさせる試みが進められている。
- 再生可能エネルギー導入が進む地域において、電力料金が安価な時間帯が増加している。
実証事業の概要
- 資源エネルギー庁は、令和2~4年度にかけて、電動車の充電シフトに関する実証事業を実施。
- 小売電気事業者が設定する電気料金に基づき、充電ユーザーの充電タイミングを調整し、効果を検証している。
産業界におけるデマンドレスポンス
- 2011年の調査によると、工場のDR率は**約5~6%**であるが、生産プロセスにおいてDR可能な範囲は限られており、さらなる負荷軽減は難しいとされている。
省エネへの取り組みに対する負荷削減率
| 省エネへの取り組み | オフィス事務所 | 工場 | 小売店舗 | 病院診療所 | その他 | 総計 |
|---|
| 各需要家の負荷削減率の平均値 | 4.71% | 5.86% | 0.76% | 2.24% | 4.64% | 5.02% |
| 省エネ推進体制を組織し活動している | 4.73% | 6.76% | 2.01% | 6.61% | 4.99% | 5.89% |
| 省エネ法に基づく対応ができている事業者 | 4.11% | 7.80% | 1.69% | 6.98% | 5.42% | 6.94% |
| エネルギー使用量を計測・記録している | 4.77% | 6.45% | 0.23% | 3.71% | 4.66% | 5.47% |
| 外部専門家による無償の省エネ診断を受けた | 5.81% | 6.78% | 0.62% | 1.96% | 9.19% | 6.47% |
| 何もしていない | 3.89% | 3.72% | - | - | 2.39% | 3.22% |
| 何らかの取り組みを行っている | 4.90% | 6.06% | 0.76% | 2.99% | 5.30% | 5.32% |
出所:電力中央研究所「業務・産業需要家におけるデマンドレスポンスのポテンシャル」と日本総研作成。
データセンターのデマンドレスポンス
- データセンターの電力需要の**20%**はAI学習に関連しており、その調整にDRが有効であるとされている。
- AI学習は大量の電力を消費するが、需給調整が可能なため、DR活用の可能性がある。
データセンターの電力需要推計
- 国内データセンターの電力消費のうち、AI学習分は**13〜25%**程度。
出所:日本総研の推計による。
まとめ
今後、電化の普及と高効率なエネルギー管理技術の導入により、デマンドレスポンスの実施が進むことが期待されている。ヒートポンプ給湯機や電気自動車の普及に伴い、デマンドレスポンスの効果的な活用が重要な課題となる。