需給調整市場における市場外調整力の控除に関する審議会資料
審議会資料概要
本資料は、需給調整市場における「市場外調整力の控除」に関する検討内容をまとめたものである。資料は、2025年4月15日に電力広域的運営推進機構(OCCTO)の事務局により作成され、調整力の細分化及び広域調達に関する作業会が議論した内容に基づいている。
目次
- はじめに
- 課題と整理事項
- 募集量見直しの検討状況
- 市場外調整力の実態調査
- 自然体余力の分析
- 小売電気事業者との契約要因
- 中部エリアの調査と入札制約
- 商品要件に関する制度変更
- 自然体余力と調整力提供者のヒアリング
- まとめと今後の進め方
1. はじめに
- 第49回需給調整市場検討小委員会(2024年7月30日)において、応札不足対策として「市場外調整力の控除」について議論が行われた。
- 自然体余力の存在が確認され、控除の対象とする方向性が示された。
2. 課題と整理事項
以下の課題が整理され、それぞれの論点が議論された。
| 課題 | これまでの整理事項 | 小委における論点 | 議論の方向性 |
|---|
| 揚水発電所の市場活用 | 揚水公算量の控除 | 契約価格の在り方 | 未定 |
| 制度的措置の残課題 | 誘導的措置の検討漏れ | 将来シナリオ想定 | 未定 |
| 市場外調整力の実態調査 | 自然余力はほぼゼロ | 需給調整市場参入電源の余力 | 未定 |
3. 募集量見直しの検討状況
- 2024年度の需給調整市場が全面運開されたが、すべての商品において応札不足が確認された。
- 応札不足への対応策として、2024年6月から募集量の見直しが行われている。
対応策の具体案
- 募集量削減(案A-a)
- 三次②効率的な調達(案A-c)
4. 市場外調整力の実態調査
- 需給調整市場での調達未達分は追加起動余力で補完されるが、自然体余力のみで調整力が満たされる断面も存在する。
調査結果
- エリアごとに自然体余力の調査が行われ、様々な結果が出ている。
5. 自然体余力の分析
自然体余力は、需給調整市場における調整力の確保において重要な要素である。
自然体余力の存在
- 2024年度の取引実績から、9エリア全てにおいて一定の自然体余力が確認された。
数値データ
| エリア | 1σ値 (MW) | 平均 (MW) | 1σ値 (%) | 平均 (%) | H3需要 (MW) |
|---|
| 北海道 | 57 | 224 | 1.1% | 4.5% | 5,010 |
| 東北 | 318 | 936 | 2.4% | 7.0% | 13,467 |
| 東京 | 570 | 1,491 | 1.1% | 2.8% | 53,469 |
| 中部 | 309 | 842 | 1.3% | 3.6% | 23,210 |
| 北陸 | 14 | 248 | 0.3% | 5.1% | 4,860 |
| 関西 | 162 | 592 | 0.6% | 2.2% | 26,405 |
| 中国 | 48 | 360 | 0.5% | 3.5% | 10,273 |
| 四国 | 119 | 352 | 2.5% | 7.4% | 4,742 |
| 九州 | 70 | 394 | 0.4% | 2.5% | 15,811 |
6. 小売電気事業者との契約要因
オプション価値の提供
- 東電HD・RPZJERAでは、既存の長期契約で提供されているオプション価値はグループ内のみに提供されている。
相対契約の状況
- 小売事業者と発電事業者の相対契約が応札障壁となっていることが確認された。
- 東京および中部エリアでは需給取引力と二次調整力の札がほとんど存在しない状態である。
- 当該エリアの需給調整市場に関連する発電事業者と小売事業者の間で相対契約の見直しが行われている。
需給の安定性と市場の競争環境
- 需給の安定性と市場競争環境の観点から、相対契約の運用方法や条項の見直しが検討されている。
7. 中部エリアの調査と入札制約
自然体余力の要因
- 中部エリアにおける自然体余力の一部には「要件起因の入札制約」が含まれている。
入札制約の具体的な影響
- 三次①において必要量から自然体余力を控除した場合、控除可能なのは応動時間内(15分)までであり、発電上限まで達するとは限らない。
制度要因による影響
- 需給調整市場の「制度要因」が入札を阻害し、市場応札できない余力が存在する可能性がある。
- 主な制度変更は以下である。
- 商品ブロック時間の30分化
- 起動費取り漏れ分の事後精算
- 前日取引化
2025年度と2026年度の見通し
- 2025年度には、三次②30分化により自然体余力の減少が見込まれる。
- 2026年度以降、一次〜三次②の前日取引化により需給変動リスクが減少し、自然体余力の減少が見込まれる。
8. 商品要件に関する制度変更
入札の阻害要因
- 需給調整市場の商品要件が入札を阻害する要因となる可能性があり、具体的な要因は以下である。
- 取引単位が3時間であること
- 一次・二次①の並列必須が週単位での取引であること
期待される制度変更の影響
- 「取引時間30分化」や「前日取引化」により、これらの要因が解消される見込みがある。
9. 自然体余力と調整力提供者のヒアリング
自然体余力の調査と要因分析
- 中部エリア以外の自然体余力については、控除可否は各エリアの状況に応じて判断が必要である。
今後の検討方向性
- 各エリアにおける自然体余力の実態を把握するため、次の観点で要因調査を実施する予定である。
- 市場応札できなかった自然体余力の具体的要因
- 自然体余力の将来的な変化準備
- 調整機能の確認
10. まとめと今後の進め方
調整力の確保は需給調整市場から市場調達が望ましいが、自然体余力が応札されない理由を検討することが重要である。調整力としての機能があり、実需給断面で存在する自然体余力の把握と控除が次のステップとなる。今後、自然体余力の控除方法や控除対象の明確化について継続的な検討が求められる。