本資料は、卸電力市場の相場操縦規制と関連する自主的取組・監視の見直しを今後検討するため、論点の全体像を示した提案であり、具体的な規制変更は決定していない。電気は貯蔵や短期増産が難しく、需給変化で価格が大きく動く。JEPX取引量の電力需要比は2018年12月に34.2%、新電力のJEPX調達比率は同月に72.1%となり、スポット価格の公正性が重要性を増している。
市場参加者の売買ポジションが変化し、新電力等の取引も価格形成に影響する場面が増えている。さらに、電力先物の試験上場申請により、先物の利益を得るため現物価格を動かす誘因が生じ得る。発電・販売機能の分社化も踏まえ、旧一般電気事業者の余剰電源を限界費用ベースで市場投入する自主的取組の対象範囲も論点となる。
現行の適正取引ガイドラインは、価格変動を目的とした偽装取引、価格に重大な影響を与える取引の実行・不実行、誤解を招く情報の流布を問題行為として示す。具体例には、終値を動かす大量取引、インバランス料金を有利にする価格誘導、買い占めや大量入札、売惜しみなどがある。JEPX取引規程にも、仮装・馴合取引、相場変動取引、取引所外で利益を得る目的の価格操作などの禁止があり、違反時には取引停止等や会員処分の対象となり得る。
| 行為の類型 | 資料上の整理 |
|---|---|
| 実体のない取引・情報流布 | 市場支配力のない者でも問題となり得る。現行ガイドラインに一定の整理がある。 |
| 現実取引による価格操作 | 出力引下げや高価格での売入札など。市場・コマで価格を動かせる地位との関係や執行の考え方が、現行ガイドラインでは必ずしも明確でない。 |
| 市場間価格操作 | 現物・先物など複数市場にまたがる操作。現行ガイドラインでは特段の整理がない。 |
資料は、実体のない取引と現実取引を区別し、後者では市場支配力の定義やその行使を規制する考え方を明確にする必要性を論点として提示する。ただし、市場支配力を持たない者の現実取引が常に問題外となるわけではない。
EUのREMITは、現物卸電力と関連デリバティブを対象に、相場操縦の実行だけでなく試みも禁止する。虚偽・誤解を招く取引、価格操作、仮装・詐欺的手段、虚偽情報の流布を類型化し、ACERと各国当局による監視、取引データ収集、インサイダー情報の公表義務も定めている。資料では、これらの制度・ガイダンス上の例を国内ルール検討の参考として紹介している。
市場ポジションの変化、先物市場の申請、旧一般電気事業者の組織再編を踏まえ、事務局は中期的な卸市場政策の一環として、次の論点を検討することを提案している。
本会合で求めているのは論点全体への議論であり、制度変更や具体的な規制内容は未決定である。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「第38回 制度設計専門会合 事務局提出資料:卸電力市場における適切な価格形成について①(相場操縦規制等の在り方について)」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_system.html)をもとに当社作成
本サービスで提供される審議会資料は、各府省庁が公開している情報を公共データ利用規約(PDL1.0)に基づいて利用しています。詳細はデータソースページをご確認ください。
JEPX(日本卸電力取引所)は、電気を売りたい事業者と買いたい事業者が集まって取引する日本で唯一の卸電力取引所です。2003年に設立され2005年に取引を開始し、電力自由化の下で発電事業者と小売電気事業者が公平に電気を売買できる場を提供しています[DOC:583b350c-f52d-4d57-8025-9c594f6b1bd0]。
ベースロード市場は、石炭火力・大型水力・原子力といった、安く長時間動かし続ける電源(ベースロード電源)の電気を、小売電気事業者が年間を通じて買える形で取引する卸電力市場です。これらの電源を大手電力が主に保有していることが新規参入者の競争上の障壁になっているため、その解消を目的に2019年に創設されました[DOC:1d8b1bda-c259-49dd-83a3-24f6b634e457][DOC:53b91b8c-2de7-44c4-a799-f94ace3337f8]。
Policy Scope
関連する審議会・政策資料を継続的に収集し、AI要約と一次資料をまとめて確認。重要な変更を事業判断と社内共有につなげられます。