第5回グリッドコード検討会に関する資料説明
概要
本資料は、第5回グリッドコード検討会において議論された「事故除去対策(保護継電器・遮断器動作時間)」に関する個別技術要件を示している。具体的には、以下の項目が検討された。
- 現在の対応状況
- 発電側および系統側の対策
- 各団体の意見
- 運用・市場コードへの影響
個別技術要件の検討内容
1. 論点整理
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現在の対応状況
- 系統連系技術要件には具体的な規定がなく、リレー動作時間および遮断器動作時間についてはJEC-2300と電力用規格B-402に記載されている。
- 各社が運用中の標準的な動作時間が存在する。
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2030年時点の課題
- 再生可能エネルギー導入の拡大により、大型・集中電源の調整能力が低下し、事故発生時の事故除去時間が長いことが懸念される。これに伴い、系統安定性向上のための事故除去対策を明文化する必要がある。
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系統側の懸念
- 発電事業者の参入増加により、事故除去時間の遅延および同期安定性の問題が発生する可能性がある。
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要件化の必要性
- 事故除去の遅延が送電容量に影響を与え、発電機の脱落を防ぐための機器仕様の確立が求められる。
2. 発電側の対策
-
短期的対策
- 特別高圧連系中性点直接接地系統に接続される全電源種を対象に施策を行う。
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具体的な対策内容
- 一般送配電事業者の系統側設備に準じた遮断器・保護リレーの動作時間を採用する。
- 対象装置はJEC-2300またはB-402に準拠する。
3. 発電側関連団体の意見
| 団体 | 意見 |
|---|
| 火原協 | 技術面での対応可能性が高い。要求仕様変更は望まない。 |
| 自家発 | 従来の設備で対応可能だが、汎用リレーからB-402準拠品に転換時に費用が発生する。 |
| JPEA | 系統連系規程に準じた対応が可能で、費用は発生しないと予測。 |
| JWPA | 技術面での問題はなく、費用変更もないと見込む。 |
4. 系統側の対策
- 一般送配電事業者の設置する遮断器・保護リレーは、既に求められる機器仕様に適合しているため、系統側対策は特に必要ないとされる。
比較・検討結果
事故除去時間の影響
- 発電機脱落量のシミュレーションが行われ、事故除去時間の違いが運転の安定性に及ぼす影響が調査された。
| ケース | 結果 |
|---|
| 70msの事故除去時 | 安定 |
| 300msの事故除去時 | 不安定(脱調) |
| 評価項目 | 発電側対策 | 系統側対策 |
|---|
| 費用 | 過度な負担にはならず | |
| 公平性 | 国内規格準拠の機器設置が求められる | |
| 実現性 | 実現性は高い | |
| 適用時期 | 2023年4月を予定 | |
他の規程への影響
適用の必要性
- 事故除去対策は全発電事業者に求めるべきとの結論が出されているが、既存設備への大きな仕様変更は要望されていない。
| 現行記載 | 影響 |
|---|
| 系統連系技術要件に記載なし | 系統連系技術要件と同様の記載を追加する必要がある |
まとめ
本資料では、特別高圧連系中性点直接接地系統の事故除去対策について詳細に検討され、発電側および系統側の対策が示された。各団体からの意見も取り入れつつ、今後の電力網の安定性を保つための必要な要件化が重要であることが強調された。今後の適用に向けた検討が続けられる予定である。
事故除去時間と同期安定性向上対策
事故除去時間の短縮
- 事故除去時間の短縮は重要な対策であり、これまで様々な合理的手段が講じられてきている。
瞬時電圧低下対策
- 現状レベルの瞬時電圧低下は回避できないため、各機器側で対応策が実施されている。故意に保護リレーや遮断器の性能を低下させることは、社会的コストの観点から合理的ではない可能性がある。
系統安定性向上対策
検討する主な対策
系統安定性向上に関連する主な対策は以下の通りである。
- 発電機、変圧器など直列機器のリアクタンスの低減(定・過・圧)
- 速応励磁、PSSの採用
- PSV-Rの設置
- 系統連系の強化
- 中間母線の設置
- 送電線の並列回線の増加
- 高速保護リレー方式、高速遮断器の採用
- 多様再断機能の適用
- 静止型無効電力補償装置(SVC)の設置
- 同期調相機の設置
- 発電機の無効容量の活用
- 需要側の制御の活用
- 連系系統の冗長化
- その他の適用可能な対策
詳細検討結果
事故除去時間の要件化
- 事故除去時間を基準に各機器の設備形成が行われ、現状の事故除去時間を要件化することは社会的コストの観点から合理的であると考えられる。中性点直接接地系統では、高速な事故除去が求められる。
直接接地系統の仕様
- 直接接地系統において求められる仕様は以下の通りである。
- その他の系統については、個別協議が必要となる場合がある。
直接接地系統とローカル系統の違い
- 直接接地系統は事故電流が大きく、同期安定性に厳しい。
- 基幹系統は、電気的距離が近いため瞬時電圧低下の影響が広範囲に及ぶ。事故継続時間による影響が大きく、できる限り短時間での事故除去が望ましい。
確認事項
以下のテーブルは、各論点に関する事務局案や意見、確認事項を示している。
| 論点 | 事務局案 | 主な発電側対応意見 | 確認事項 |
|---|
| 論点1 対象電源種電圧階級容量 | 特別高圧連系中性点直接接地系統1に接続の全電源種 | 問題なし | 特別高圧連系中性点直接接地系統1に接続の全電源種 |
| 論点2 技術的実現性 | 既存技術の範囲 | 問題はない | |
| 論点3 費用 | 追加発生なし | 差異なし | JEC-2300/2500B-402 同等の機能性能を有するものが採用可能 |
| 論点4 その他問題提起提案等 | 導入の理解を得るため必要性を記載 | 検討会資料で必要性を示すこと提案 | 調達面での課題を回避可能 |