2024年1月の広域機関の想定では、全国の需要電力量は2023年度から10年間で0.4%増となる見通しである。前年想定の2030年度1.4%減から転じた主因は、データセンター・半導体工場の新増設を東京、北海道、中国、九州の需要に個別に織り込んだことであり、増加は全国一様ではない。個別織り込みは2033年度に最大需要電力537万kW、需要電力量407億kWhとなる。データセンターの電力需要は世界でも増加が見込まれ、IEAは2022年から2026年に倍増する見通しを示す。
需要の性質は二つに分かれる。データセンターや製造プロセスの電化は特定地点で大規模な需要を生む一方、EV・蓄電池は各地点の規模が比較的小さくても、多数の地点・同じ時間帯に充電が集中すれば負荷となる。現時点でEVは国内自動車保有台数の1%未満で、送配電網への影響は顕在化していない。EV需要の全国合計が大きくなくても、時間・場所の集中は別途検証が必要である。
送配電設備の増強には数年単位のリードタイムと費用を要し、設備更新の施工力も限られる。他方、配電網は設備容量に余裕がある場所や、配電線間で負荷を再配分できる場所では需要増に対応できる。容量に加えて電圧変動も制約となり、需要・発電の状況によって電圧上昇と低下の双方が問題になり得る。
報告書が示す基本的な考え方は、設備増強をリードタイムと費用を踏まえて計画しつつ、既存ネットワークを効率的に使い、新規需要の立地・利用時間を誘導することである。大規模需要には、接続までの期間や増強費用が比較的小さい地点を示す情報開示が有効とされ、ウェルカムゾーンマップの充実や、自治体・工業団地との連携が提案されている。マップの目標設定などレベニューキャップ制度上の位置付けは、今後検討する事項である。
需要増が具体化した地点では、一般送配電事業者がレベニューキャップの事業計画に基づき増強できる。申し込み前からのプッシュ型整備も制度上可能だが、需要が実現しない場合は託送料金負担が増えるため、客観的な国・自治体の計画など社会的合意を踏まえる考え方が示された。接続地点までの送電路費用は需要家の特定負担となる場合がある一方、上位系統の増強は原則一般負担である。将来の利用者との費用分担や、電源が豊富な地域への需要立地を促す料金制度は、今後の検討課題である。
EV、ヒートポンプ給湯機、蓄電池は充電時刻を調整できるため、ピーク時間帯への集中を避けることが系統負荷の抑制につながる。普通充電は家庭の契約電力に近い出力であり、夕方の需要ピークに重なれば配電設備の増強が必要になる可能性がある。急速充電では、複数台の同時利用による最大出力や急な出力変化が課題となり、敷地内の充電管理と電圧対策が重要である。
対応策として、時間帯別料金による行動誘導、アプリ等を介した充電制御、遠隔制御や需給調整市場への低圧リソースの参加が挙げられた。V1G(充電制御)やV2G(車両から系統への放電)は、系統の効率的利用や再エネ抑制時の電力活用に資する可能性がある。国内では時間帯別託送料金を選択できるが、適用は一律ではない。2024年度末のスマートメーター全数設置を見込み、2028年度開始の第二規制期間に向け、時間帯別料金を基本とする是非を影響や実効性を含めて検討する案が示された。料金改定には小売・送配電双方のシステム対応が必要で、十分な準備期間を要する。
報告書は制度変更を決定したものではなく、選択肢と追加検討課題を整理したものである。主な課題は、①時間帯別・立地誘導型の託送料金、②遠隔制御、低圧リソースやDRの活用、③ウェルカムゾーンマップと需要家・自治体への情報提供、④第二規制期間に向けた関係者協議と需要地向けプッシュ型整備の扱い、⑤力率割引など電圧関連制度の見直し、充電管理の実証や調相設備支援である。今後、優先順位と時間軸を定め、関係する専門会合・審議会等で各案を具体化する必要がある。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「局地的電力需要増加と送配電ネットワークに関する研究会 報告書」(電力・ガス取引監視等委員会)(https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_system.html)をもとに当社作成
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